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あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

徳政令でちゃらにしたい?赤城大臣の事務所問題

2007年07月09日 01時06分53秒 | 政治・選挙
6月に松岡大臣の後任として就任した松岡農水大臣ですが,実家を後援会事務所にするなど,実体のない経費報告をしているのではないかとの疑惑が出ています。大臣本人は,実家も事務所であると主張し,かつ法律に則って正しく報告しており問題はないと主張しています。

赤城農相、実家に後援会事務所 3年で経費1200万円(朝日新聞) - goo ニュース

李下に冠正さず

まず不思議な話ですが,この問題,なぜ今急に大きくなったのでしょうか。実は,この問題は就任直後に既に一部マスコミが報じていたのですが,残念ながら年金問題や強行採決等の陰に隠れてしまい,事実上握りつぶされてしまいました。せっかく報じていたマスコミはさぞ無念だったと思います。
一方で,その時は見向きもしなかった他のマスコミが今一斉に赤城大臣バッシングをはじめました。なぜこのタイミングなのでしょうか。選挙直前であり,暗に「自民党バッシング」となることは承知の上でのことですが,マスコミの本音が見えません。国会の閉幕を待っていたという気もしますが,国会閉会か否かは国民世論にはあまり大きな話ではなく,むしろならば6月の時点で野党議員がもっと騒ぐべきだったはずです。
もちろん,「参議院選挙の重要な争点である政治とカネの問題なので,国民世論を形成したい」という理由があるから,と善解したいとは思います。

さて,その上でこの問題ですが,真実は分かりません。ただ,いえること,それは「自分の事務所の経費もろくに把握できない人間に,国の台所たる財政再建などできるはずがない」ということです。自分の事務所の経費を十分に削減できる政治家になって,はじめて「国の財政削減」ができるというものです。
もっと言えば,舛添要一氏は,以前とあるバラエティ番組で「公費だけでは事務所経費が足らない。もっともらってもいい。」と主張していましたが,官僚がこの理論で予算をたくさんもらっていたから今財政破綻になっているわけです。自分の事務所経費が足らないのであれば,まず足らないなりの努力をすることが大切だといえます。事実,この経費でやりくりしている政治家も大勢いるのです。

話が少しそれましたが,とにかく自分の懐を管理できない人は,政治家失格であると言っても過言ではありません。
赤城大臣の問題については,法律上問題ないにしても,「自分は明朗会計で事務所経費もきっちりやっています。今は,こんな経費も削減して事務所のスリム化を図っています。」くらい普通に説明すれば何の問題もないはずなのです。それができないということは,どこかにやましい点があると思われても仕方ありません。

いずれにせよ,この一連の問題,すべてがうやむやのまま終わっています。これを許すかどうかは国民が判断することです。次の選挙の争点にしてこの問題もよく考えて投票しましょう。
今度の参院選は,本当に有権者の意識が問われる重要な選挙になるでしょう。

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さーっと情報提供したSAT公開訓練

2007年07月08日 19時10分26秒 | 災害・危機管理
テロリストなどに対抗するための組織である警視庁SATの訓練光景が公開されました。
人質救出訓練や遠距離射撃などの訓練光景を公開し,しかも訓練は実弾で行うという状態でした。

警視庁SATが訓練初公開 北海道洞爺湖サミット控え(共同通信) - goo ニュース

あれはほんのウォーミングアップです

SATは特殊部隊なので,そもそも警察内部でさえも誰が隊員なのか分からない状態です。映画「踊る大捜査線」においても,SAT突入シーンを見た一般市民を口止めするという場面がありましたが,あながち嘘ではないようです(ただ,実際そういう場面がないだけのことです。)。
そんな超極秘部隊の訓練を公開したのには訳があります。表向きは来年の洞爺湖サミット対策ということにしていますが,実際は「ロンドンテロに対する警戒」にあるといえます。すなわち,「東京でテロ行為を起こそうとしたら,日本といえども射殺しますよ。」というメッセージを世界中に発信していたといえます。
事実,訓練シーンの大半は射撃場面であり,しかもそのほとんどは「犯人の頭部に弾丸数発が見事に命中」というシーンをこれ見よがしに示しています。これは,すなわち「犯人の死」に当たるわけです。
ところが,これまでの日本警察は,「犯人は射殺しない」という絶対的スタンスを持っていました(かつてシージャックを射殺した警察官が,その後人権派弁護士らに殺人罪で告訴され,刑事裁判になったということすらありました。当然無罪となりましたが,それ以降,射殺には消極的になっています。)。当然,このスタンスは世界的にも有名となっているため,テロルにしてみたら,「日本なら殺されないで済むから楽勝」となめた態度でテロ行為に及ぶ可能性があるわけです。
今回の訓練公開は,「日本警察をなめるな」というメッセージが込められているとみていいでしょう。

もちろん,この公開については,異論はかなりあります。一番多いのは,「極秘部隊の手の内を示すな」という点ですが,今回公開している点は,実はSATのイロハのイの部分であり,世界中の特殊部隊が行っている基本訓練のレベルです。したがって,別に公開しなくてもテロルは知っているレベルの内容です。実際はもっと高度な訓練を積んでいますので,私たちの想像も及ばない手法や機材などでの犯人制圧方法は持っています。
むしろ,テロル以外のチンピラが立て籠もるという場合に「立て籠もったら死ぬぞ」というメッセージを伝えることができたわけですから,治安維持の観点からすれば,公開した効果の方が大きかったといえます。

ただし,SATにはまだまだ問題が多いです。今回公開したのはあくまでも警視庁のSATです。すなわち,「東京の警察」なのです。したがって,厳密に言えば,洞爺湖サミットの警備のメインたる北海道警の話ではないのです。北海道警がどのレベルの特殊部隊を持っているのか分かりませんが,少なくとも警視庁のSATは,洞爺湖サミットの警備は「お手伝い」レベルのことしかできません
SATをもっとレベルの高い国家規模にするのか,それとも47都道府県すべてに配置するようにするのかなど,SATのあり方については早急に考える必要があるでしょう。
また,当面の措置としては,「指揮命令系統のありかた」も考えなければなりません。先の長久手町の事件では,愛知県警,警視庁,大阪府警のSATや機動隊応援がありましたが,それぞれ指揮系統の統一が図られなかった点が,事件解決を長期化した要素になったといわれています。
さしあたり,洞爺湖サミットまでの間に,北海道警と警視庁との間で,明確な指揮系統ルールを確立する必要があるでしょう。もちろん,事件は突発的に発生しますから,どの地域であっても混乱しないような明確なルールづくりが求められます。
いくら優秀なSATチームを作り上げても,指揮官が3流では無駄な組織になってしまいます。この点だけは,警察官僚は肝に銘じておくべきです。

まあ,本当の理想は,SATのメンバーが毎日「暇だなあ,今日何しようか?」と言ってられるような世の中になることなのですが,それは無理な相談ですね。

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やっぱり消費税は増税する

2007年07月07日 13時54分09秒 | 増税問題
安倍首相が日本テレビの報道番組の中で,「消費税を上げないとは言っていない」と発言し,消費税増税を示唆しました。これにより,参院選の争点になるとする一方で,官邸サイドでは「税制はもっと幅広い議論が必要であり,消費税増税だけの薄っぺらい議論は争点に値しない」として参院選の争点にしない意向を示しています。

消費税上げ焦点に 首相「上げないとは言ってない」(朝日新聞) - goo ニュース

予想どおりの展開です

この問題は,私が従前から主張していたとおり,参院選の「隠しテーマ」だったのです。今回は,年金問題と相次ぐ閣僚不祥事という問題に完全に隠れてしまったために特に話題にならなかっただけのことで,実際は,昨年秋頃に「消費税増税議論は参院選後に」と明言していったん議論をクローズしていたに過ぎませんでした。

そもそも,消費税増税問題は,前回の衆院選直後にふってわいてきました。当時の選挙マニフェストには「サラリーマン増税はしない」とうたっていたこと,当時は郵政民営化が唯一絶対の争点になってしまったことなどから,増税問題について関心が低いままに投票をしてしまった有権者が多かったのです。ところが,選挙が終わった直後に,「選挙が終われば有権者は奴隷になる」という格言どおり,突如消費税増税話を持ち出したわけです。
今回もほぼ確実に同様なシナリオになります。確かに,単に消費税増税だけが増税問題ではなく,他の税制全体を踏まえて議論することは大切なわけですから,単純に「消費税増税=悪」とは言い切れません。しかし,消費税は庶民生活に一番身近なものであり,かつ家計に大きな影響を与えるものですから,やはりまずは有権者たる国民の真意を確認する必要があるといえるでしょう。
仮に,増税が必要なのであれば,うやむやにするのではなく,むしろ堂々と「こういう事情で増税をする。ただし,こういうメリットがあるため,結果国民生活は良くなる」とはっきり説明するべきです。国民に痛みを伴うような改革を行うときこそ,まずは「説明ありき」といえるでしょう。

ただ,この消費税問題,実は野党たる民主党も「増税容認派」でして,このことは前回の衆院選のマニフェストでうたっています。そういう事情もあり,消費税増税問題は,参院選の争点にしたくないという本音があると思われます。
しかし,民主党としては追い風ムードだからこそ,こういう問題も正面から突破する必要があるでしょう。この問題を回避してしまうと,仮に参院選で圧勝したとしても,「結局民主党も自民党と同じか」と有権者に思われてしまい,その後の選挙で勝つことはなくなるでしょう。当然,政権交代はもってのほかです。

なお,今のところ,消費税増税反対を参院選の争点と明確に掲げているのは共産党だけです。ただし,例によって現実的対案がないことが最大の弱点です。

今回の参院選では,こうした問題も踏まえて選挙に臨むべきでしょう。消費税増税が避けられない現状としては,参院選の選択肢として,「増税反対を主張している候補者を選ぶ」,「増税後の具体的プランを示している候補者を選ぶ」,「増税はあきらめて他の政策で選ぶ」という形になるといえます。

候補者がマイクで話していることだけが公約ではありません。所属政党の主張なども良く吟味する必要があります。あと,確実にいえること,それは「年金問題だけに振り回されない」ということです。政治家は年金だけがお仕事ではありませんから。

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急間な話?久間防衛大臣辞任もしょうがないか

2007年07月04日 01時15分01秒 | 政治・選挙
広島長崎原爆投下を「しょうがない」と発言したとして物議を醸してした久間防衛大臣が,突如大臣を辞任しました。後任は小池百合子氏とのことです。

久間防衛相辞任「参院選への影響も懸念して決めた」(朝日新聞) - goo ニュース

しょうがないか

まず「しょうがない」発言ですが,個人的にはあの発言が直ちに原爆投下や核兵器自体を容認しているとは思えなかったため,ここまで大きな話になるとは思っていませんでした。ただ,時期が悪かったという点と,やはり防衛大臣という立場にある以上,ちょっとした一言も非常に大きな影響力を持つという点は,大臣として自覚が足らなかったといえるでしょう。
ただ,久間大臣が正直だなあと思ったのは,辞任の理由として「真摯に反省した」というのではなく,この期に及んで発言の趣旨の言い訳と「選挙対策」という点を暗にほのめかしてた点です。よほどわびを入れたくなかったのか,それとももっと裏があるのか,逆に全く意味がないのかは分かりませんが,少なくとも本当に選挙対策ならば,「形だけでもしっかりわびを入れる」はずですから,この対応には不思議なものを感じます。
もっと言ってしまうと,公明党の浜四津代表代行からの一言をきっかけに一気に辞任に向かっていった点を見ると,「選挙に勝つために公明党を大事にしよう」という思惑が自民党内でも出ていたのかな,っていう気がします。
いずれにせよ,今回は早めにはらを切ったという点だけは評価できると思います。未だにはらを切らない柳澤大臣よりははるかに潔いです。

さて,後任は小池百合子氏となりますが,果たして防衛大臣が勤まるのか,疑問もあります。例えば,石破茂元防衛長官は,自民党きっての防衛通であり,軍事オタクと揶揄されるくらい国内外の軍事に精通しています。だからこそ,有事対応に絶大な信頼感がありました。
一方,小池氏は確かに中東情勢には明るいでしょうが,軍隊という世界とはおよそ無縁です。とすると,有事の際に正しい判断ができるのか,もっといえば官僚の意見を正確に把握して判断できるのか,少々不安ではあります。
いずれにしても,「有事が起こらない」のが理想なのですが,何かの時に迅速かつ正確に判断できるような大臣になってほしいものです。

さあ,この一連の動き,今後の選挙にどう影響してくるでしょうか。注目です。

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一世一代の大博打?母子殺害事件高裁審理

2007年07月01日 01時56分48秒 | 裁判・犯罪
光市母子殺害事件の差し戻し審が広島高裁で,被告人質問を中心に3日間集中審理が行われました。
被告人は,これまでの殺意について一転否定し,ただ甘えたかったなどと主張しました。

母子殺害・遺族の本村さん「聞くに堪えない3日間だった」(読売新聞) - goo ニュース

弁護団大博打に出ましたね。

この裁判においては,弁護団に対し,全国から非難が集中しているようです。
ただ,大前提として,被告人無罪推定の原則」がある以上,安易な弁護団批判は相当ではないと思われます。いつも言うとおり,「もしも自分が突然理由なく逮捕されたときにどうするのか」という点を踏まえた上で,弁護団の行動がどうなのか考えてみるのがよいでしょう。
さて,この裁判,感情論は完全に排除して,弁護団の戦略を検証したいと思います。

1 弁護団の取れる態度は限られている
  今回の裁判は,最高裁において,「無期懲役は相当と思えるべき情状が見あたらない」として,暗に「死刑が相当であるが,手続保障の機会を与える意味で,高裁で死刑にするかどうか判断せよ」との趣旨で差し戻し決定となりました。
  したがって,この高裁裁判は,通常の裁判と異なり,「死刑前提」でスタートしているのです。
  とすると,弁護団としてやれること,それは「無期懲役以下の刑となるべき情状があること」を探すこと,または「そもそもこれまでの裁判では重大な事実誤認があること」のいずれかで攻めるしかありません。
  そして,これまでの裁判資料や被告人との面会の結果,前者に該当するような情状を見いだせず,後者を選択したと思われます。

2 この手法は「大博打」である
  ところが,「事実誤認」で争うという手法には,大きなリスクがあります。それは,「反省している情状にならない」ということです。
  そもそも,今回の広島高裁においては,争点はあくまでも「情状」にあります。したがって,通常ならば,情状以外の主張立証は無駄になります。
  しかし,無駄になるかもしれないことを承知の上で,事実誤認を選んだと言うことは,仮に事実誤認が認められなかった場合,裁判所は「被告人は全く反省をしていない。」と認定することになり,最高裁の言う「無期懲役とするべき情状はない」として「死刑」にせざるを得ないことになります。
  一方,仮に事実誤認が認められたとすれば,事実認定をやり直すべく地裁に更に差し戻すことになります。そうなると,裁判は事実上1からやり直しとなるばかりではなく,殺意がないことになれば殺人罪ではないため,最高刑が死刑ではなくなります。そうなると,法律上死刑になることは絶対にないということになります。
  以上の流れから,弁護団はわずかな望みをかけて「大博打」に打って出たと推測されます。

3 弁護人のお仕事は被告人の利益を守ること
  なお,たまに誤解している人がいますので,ここで再度確認しますが,弁護人の仕事は「被告人の利益を守ること」です。したがって,この弁護団がどういう理由であるかは別にしても,この被告人の死刑を回避するためにいろんな手段を使うことは,当然の職務なのです。
  ただし,当然ですが,「だから嘘をついていい」ということはありません。また,弁護人の職務にも「実体的真実発見」はあります。さらに,裁判の迅速に協力する責務もあります。

4 被告人はすべてりかいしているのか?
  弁護団は大博打に出ていますが,被告人は果たしてこの博打の意味を理解しているでしょうか。もし,十分理解していないとしたら,これは大問題となります。
  ただ,これは勘ぐりすぎかもしれませんが,今回の裁判が最高裁で死刑が確定した場合,この高裁の裁判における弁護団とのやりとりにに重大な錯誤があったとして「再審請求」をする余地を意図的に残しているという可能性も否定はできません。仮にそうだとしたら,それは完全に弁護士倫理に反する行為となります。

5 今回の裁判の報道のあり方
  間もなく始まる裁判員制度も踏まえ,今回の報道を検証してみると,ちょっとだけ不思議な部分があります。
  それは,「被害者本位の報道」であるという点です。もちろん,今回の事件は絶対に許されるべきものではありませんし,被告人は犯罪それ自体は認めています。したがって,被害者本位になる報道はある程度はやむを得ないといえるでしょう。
  しかし,一方で,今回の裁判では,弁護団は「捜査機関の捜査内容と被告人の供述の矛盾」についても追求しています。もちろん,これを「弁護団の捏造」と主張する人もいますが,いずれにしても捜査機関の捜査の妥当性については裁判の争点になっている訳ですから,報道機関としては,少なくとも「弁護団はこういう主張をしている」という点はもっと広く知らしめてよいのではないかと思います。
  その上で,はじめてこの弁護団の弁護方針の妥当性について議論すれば良いのではないでしょうか。被害者本位で裁判を見ると,当然弁護人は悪人に見えてしまいます。
  さらに,マスコミ報道を鵜呑みにしないという態度を私たち自身身につける時期に来たといえるでしょう。そうしないと,裁判員制度は「マスコミ報道追認機関」になってしまうおそれがあるからです。

 最後に繰り返しますが,私は別に弁護団の今の弁護方針を擁護しているわけではありません。むしろ,被害者である本村さんの苦悩は筆舌に尽くし難いということは十分理解しています。
 あとは,この弁護団の大博打が吉と出るか凶と出るか,すべては裁判所が判断するでしょう。

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よく分かる(?)シリーズ ブルドックvsスティール対決東京地裁決定

2007年07月01日 00時59分58秒 | よく分かる(?)シリーズ
ブルドック社が企業防衛策として講じた新株予約権発行は違法であり無効であるとしてスティール社が新株予約権無効確認の仮処分申立てについて,東京地裁は「ブルドック社の対応は相当である」として申立てを却下する決定をしました。
スティール社は東京高裁に抗告しました。

東京地裁、総会決議経た防衛策の合理性認める(ロイター) - goo ニュース

判断した裁判長はライブドア事件と同じ

この決定,ライブドア事件と非常に似ているため,裁判所がどのように判断するのか非常に注目を集めましたが,結果的にはブルドック社に軍配をあげました。
しかし,今回の決定は,ライブドア事件の際にライブドアの主張を認容した時と同じ裁判官が裁判長として担当しました。したがって,一見すると真逆の判断をしているようですが,実は今回の判断はしっかりと筋が通っています。そこで,今回はこの決定や周辺事情について解説したいと思います。

1 今回の決定の超要旨
(1) 株主平等原則に反するのでは?

  スティール社にもお金を渡しているので,対価はある。よって,株主みんなに同じ利益がいっているため,不平等とはいえない。
(2) 株主予約権発行は明らかに買収対策ではないか?
  買収対策の必要性の判断は株主が行うべきである。今回,株主の特別決議で「OK牧場」と言ったので,問題はない。ただし,株主がOK牧場といったから無条件に許されるというものではなく,株主に情報を提供して正しい判断をさせること,株主に不利益になるような場合は認められないこともある。

2 ライブドア事件との比較(私見)
(1) 株主平等原則の点

  ニッポン放送は,フジサンケイグループだけに株式の第三者割り当てを実施しようとしたため,株主たるライブドアにはそれに対応する利益を交付しませんでした。だから,ライブドアは不公平に扱われたため,株主平等原則に反するといえます。
  一方,今回は,スティール社には現金で対価を支払っているため,一応株主に全員に同じだけの利益がいっていることになります。だから,「みんな平等」といえると判断したと思われます。
  おそらく,高裁では「株と現金とでは価値は本当に同一か」という点が争点になると思われます。
(2) 新株予約権に経済的対価がない点
  まず前提として,ライブドア事件時には今の会社法が施行されていなかっため,企業防衛策としての新株予約権(新株引受権)は明文化されていませんでした。この点が,判断として変わる点にはなります。
  その上で,ニッポン放送はあくまでも取締役会での決議であったこと(もちろん,当時の商法では問題のない手続)に対し,今回は取締役会の決議をさらに株主総会の決議でお墨付きをもらいました。そういう点では,「株主の意向を確認した」といえるため,裁判所としては尊重に値すると判断したと思われます。
  ただし,株主総会が万能とは言っておりません。この点は,新旧会社法を通じて「株式とは本来は会社の資本金の問題である」という考え方をとっており,安易な保身目的の新株は認めないよ,という裁判所の強い姿勢が出ているといえます。ここは,ライブドア事件の思想は受け継いでいるといえるでしょう。
  したがって,高裁では,「はたして本当に株主に不利益はないのか」という点が争点になると思われます。

3 今後の行方
  高裁の判断は全く検討付きませんが,仮にブルドック社が勝てば,事実上スティール社のTOBは失敗で終わることになるでしょう。
  一方,仮にスティール社が逆転勝利したとしても,株主総会では80%の株主が買収反対の意向を示している以上,TOBに応じるとは思えず,やはり結果的にTOBは失敗に終わる可能性が高いと思われます。
  どちらにしても,スティール社にはかなり不利な状況にあるといえます。

4 他の企業への影響
  「株主総会の特別決議」をいかに得られるかという点を考えるようになるでしょう。
  ただし,繰り返しますが,裁判所は決して「株主総会の決議が万能」とは言っておりません。この点を誤解した企業があったとすれば,そこはとんだしっぺ返しを食らうでしょう。
  究極の防衛策は,いつも主張しているとおり,「企業業績に見合う株価の維持」にあります。

以上です。果たして,高裁はどう判断するでしょうか。注目です。

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