あれは,あれで良いのかなPART2

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さーっと情報提供したSAT公開訓練

2007年07月08日 19時10分26秒 | 災害・危機管理
テロリストなどに対抗するための組織である警視庁SATの訓練光景が公開されました。
人質救出訓練や遠距離射撃などの訓練光景を公開し,しかも訓練は実弾で行うという状態でした。

警視庁SATが訓練初公開 北海道洞爺湖サミット控え(共同通信) - goo ニュース

あれはほんのウォーミングアップです

SATは特殊部隊なので,そもそも警察内部でさえも誰が隊員なのか分からない状態です。映画「踊る大捜査線」においても,SAT突入シーンを見た一般市民を口止めするという場面がありましたが,あながち嘘ではないようです(ただ,実際そういう場面がないだけのことです。)。
そんな超極秘部隊の訓練を公開したのには訳があります。表向きは来年の洞爺湖サミット対策ということにしていますが,実際は「ロンドンテロに対する警戒」にあるといえます。すなわち,「東京でテロ行為を起こそうとしたら,日本といえども射殺しますよ。」というメッセージを世界中に発信していたといえます。
事実,訓練シーンの大半は射撃場面であり,しかもそのほとんどは「犯人の頭部に弾丸数発が見事に命中」というシーンをこれ見よがしに示しています。これは,すなわち「犯人の死」に当たるわけです。
ところが,これまでの日本警察は,「犯人は射殺しない」という絶対的スタンスを持っていました(かつてシージャックを射殺した警察官が,その後人権派弁護士らに殺人罪で告訴され,刑事裁判になったということすらありました。当然無罪となりましたが,それ以降,射殺には消極的になっています。)。当然,このスタンスは世界的にも有名となっているため,テロルにしてみたら,「日本なら殺されないで済むから楽勝」となめた態度でテロ行為に及ぶ可能性があるわけです。
今回の訓練公開は,「日本警察をなめるな」というメッセージが込められているとみていいでしょう。

もちろん,この公開については,異論はかなりあります。一番多いのは,「極秘部隊の手の内を示すな」という点ですが,今回公開している点は,実はSATのイロハのイの部分であり,世界中の特殊部隊が行っている基本訓練のレベルです。したがって,別に公開しなくてもテロルは知っているレベルの内容です。実際はもっと高度な訓練を積んでいますので,私たちの想像も及ばない手法や機材などでの犯人制圧方法は持っています。
むしろ,テロル以外のチンピラが立て籠もるという場合に「立て籠もったら死ぬぞ」というメッセージを伝えることができたわけですから,治安維持の観点からすれば,公開した効果の方が大きかったといえます。

ただし,SATにはまだまだ問題が多いです。今回公開したのはあくまでも警視庁のSATです。すなわち,「東京の警察」なのです。したがって,厳密に言えば,洞爺湖サミットの警備のメインたる北海道警の話ではないのです。北海道警がどのレベルの特殊部隊を持っているのか分かりませんが,少なくとも警視庁のSATは,洞爺湖サミットの警備は「お手伝い」レベルのことしかできません
SATをもっとレベルの高い国家規模にするのか,それとも47都道府県すべてに配置するようにするのかなど,SATのあり方については早急に考える必要があるでしょう。
また,当面の措置としては,「指揮命令系統のありかた」も考えなければなりません。先の長久手町の事件では,愛知県警,警視庁,大阪府警のSATや機動隊応援がありましたが,それぞれ指揮系統の統一が図られなかった点が,事件解決を長期化した要素になったといわれています。
さしあたり,洞爺湖サミットまでの間に,北海道警と警視庁との間で,明確な指揮系統ルールを確立する必要があるでしょう。もちろん,事件は突発的に発生しますから,どの地域であっても混乱しないような明確なルールづくりが求められます。
いくら優秀なSATチームを作り上げても,指揮官が3流では無駄な組織になってしまいます。この点だけは,警察官僚は肝に銘じておくべきです。

まあ,本当の理想は,SATのメンバーが毎日「暇だなあ,今日何しようか?」と言ってられるような世の中になることなのですが,それは無理な相談ですね。

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