多病息災発達障害者こよりの日常

両手で数えきれない障害と持病を抱えつつ毎日元気に活動中。発達障害の息子たちの子育ても終え、悠々自適の毎日です。

何千回も再生した「となりのトトロ」と「舌きりすずめ」コレクション

2018-05-30 15:56:18 | 発達凸凹
小さな子は アニメや子ども番組が好きだが、自閉っ子は


アンパンマンや NHKの子ども番組にも


さほど興味を示さなかった。


しかし ただ一本、自閉っ子がのめりこんだアニメが


「となりのトトロ」だった。


飽きずに そればかり観るので、最後にはビデオテープが擦り切れて、


2本目を買った。


セリフや場面を 全部覚えていて、「次はあれだ」と


わかると うれしそうに笑った。


そのうちに 好きなセリフを 画面に合わせて


しゃべるようになった。


自閉っ子は これと思った物にしか 興味を示さず、


様々な物に 興味を持ち、次々試してみる兄ちゃんとは


全くタイプが違った。


絵本も、病院の待合室にあった「舌切りすずめ」の本が


大好きで、診察が終わっても その本を抱えたまま


帰ろうとしないので、様々な本屋さんを回って


それと同じ本を買った。


毎日 それを読み聞かせると、うれしそうに笑っていた。


たまに 買い物ついでに 本屋さんに寄り、


子ども達に好きな本を選ばせた。


兄ちゃんは 毎回興味を持った本を買ったが、


自閉っ子は 毎回「舌きりすずめ」の本を持ってきた。


文字は読めないが、絵や 雰囲気でわかるのか、


家にはない別バージョンの「舌きりすずめ」を買い、


しばらくは それを読み聞かせである。


そのうちに「舌きりすずめ」の本が 10冊くらい揃った。


その中から 気分に合う物を選んで 自分で見たり、


読んでくれと 本を抱えてきたりした。


ストーリーが似てはいるが、細かい部分に違いがあり、


挿し絵ももちろん違う。


芝居も役者が違えば 雰囲気が全く変わるのと同じで、


自閉っ子は 様々なバージョンの「舌きりすずめ」を


楽しんだ。


何年か「となりのトトロ」を 見続けた後、違う事への興味が出始めた。


絵本も、舌きりすずめではなく、別な本にも興味を示すようになった。


フィクションの世界を十分堪能した事で、現実の世界への


興味や意識が出始めたのかもしれない。


自閉っ子に 聞いたが、「となりのトトロ」を見た記憶はあっても、


何千回も見たという覚えはないそうだ。舌きりすずめの本の事も、


覚えていないと言っていた。


偏食がひどく、食も細かった自閉っ子には、


「何か食べたら 怖い事が起きる」という感覚が


あったのかもしれないとも思う。


おばあさんが作った糊を食べて 舌を切られたすずめに、


自分を重ねていたのかもしれない。


周囲の刺激に敏感な面と、全く反応しない鈍感な面の


両方を持っていた自閉っ子も、嫌な刺激の避け方や、


好きな感覚の味わい方を覚え、徐々に 様々な刺激がある


この世界になじんでいったように思う。


私が一番好きな写真は、兄ちゃんが友人と


写真を撮るために 並んでいるのを見た自閉っ子が、


カメラの位置とそれを構える人を認識し、


何が起こるか 理解した上で、その場所に


自分から 近づいて 一緒に並んでポーズを取った写真である。


遠くにあるカメラ、 整列した兄ちゃんとその友だち、


カメラを構えた人、その位置関係と 目的を察知して、


ちゃっかり 割り込んでいる。カメラの後ろにいる人の視線が、


自分達に向いている事を理解している。それ以前には、


カメラの方を向いてと 言われても、できなかった事である。


自分から顔が見えない人の目線が 自分に向けられている事など、


説明されても理解できなかっただろう。


いろんな成長の節目があったが、言葉を発した日、人から言われた「こんにちは」が


自分に対する「コミュニケーション」だと理解した日。


自分の「お父さん」と よその子の「お父さん」は、呼び方が同じでも、


違う存在だと 理解した日。


自閉っ子が 理解しがたい事を、一つ一つ経験し 繰り返しながら


自分のものにしていった日々の上に、今日の自閉っ子があるのだと思った。


兄ちゃんにも 自閉っ子にはない課題があり、それをクリアしながら、


自分の道を選び、成長してくれたことを嬉しく思う。















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