多病息災発達障害者こよりの日常

両手で数えきれない障害と持病を抱えつつ毎日元気に活動中。発達障害の息子たちの子育ても終え、悠々自適の毎日です。

わが家のSST

2019-01-27 21:18:56 | 発達凸凹
小さなころの 自閉っ子の課題は、「時間の把握」だった。


視覚に難のある自閉っ子には、時計やカレンダーは使えない。


数字の理解ができないから、見えたところでわからない。


それでも 「朝」や「夜」を意識させる事から


少しずつ 少しずつ始めていった。


睡眠障害の自閉っ子には、「寝て起きたら朝」という感覚はない。


朝を意識させるのに 役に立ったのは、「鳥の声」だった。


「夜」の認識は 難しかった。外の暗さは 家の中ではわからない。


時間の認識で 一番早かったのは、「曜日」だった。


曜日を教えるのに使ったのは、色を塗った紙コップ。


7つのコップの底に穴をあけ、モールを通した。


紙箱に モールを固定し、右から左に、左から右に、移動ができるようにした。


朝 自閉っ子に コップを一つ移動させ、「今日は 赤、火曜日」と


教えた。


その繰り返しで、曜日と一週間の感覚が身についた。


何月何日、というのは 理解できていなかったようだが、


TVのアナウンサーの「4月8日、水曜日です」と言う声を聞き、


「4がつ~」と 繰り返して喜んでいた。


一度に全部を理解できなくても、いつかどこかでつながればいい、と思った。


昨日、今日、明日、の区別も 苦労したが、


きのう、きょう、あしたが連続している事、に気付いた時の


自閉っ子の嬉しそうな顔も忘れられない。


でも、よその人に「明日食べなさいね」ともらったお菓子を


いつ食べたらいいのかが なかなかわからなかった。


だって、今は「きょう」なのだから、「あした食べるもの」を


食べるわけにはいかない。


自閉っ子は もらったお菓子を箱にためこんでは、


「あしたたべる」を繰り返した。


「朝」や「夜」を理解できたのだし、


曜日もわかるようになったのだから、これもいつかわかるだろう、と


私は あせらずに見守った。


「昨日、お菓子もらったよね。今日は散歩に行こう。」


「今日はお散歩したね。明日バスに乗るよ」


昨日、今日、明日、を会話に取り入れるようにして様子を見た。


いつだったろう、「きのうのあしたは、きょう!」だと 分った日は。


徐々に 時間の観念が身につき、困る事は無くなった。


あきらめずに、こつこつと 声掛けを繰り返した日々。


普通の子どもに比べて、使える感覚が少なくても、発達に遅れがあっても、


その子にわかるように繰り返し関わる事で、マスターする事ができる、という


確信が私にはあった。


今 自閉っ子に 「昔はこんなことがわからなかったんだよ」と話すと、


「え~?昔の俺って変!天然!」と言って笑う。


一緒に笑いあえるようになった事が、うれしい。


何千回も繰り返し教えた事も、全部笑い話、昔話になった。









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花風社

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (メノウ)
2021-12-18 22:17:25
昔の自閉っ子ちゃん、かわいいですね☺️
人と比べたらゆっくりではあるけれど、何度も経験して時間をかけて着実にじわじわと高まり、ある瞬間突然理解する、そういうものなのですね。その理解に至った瞬間の喜びが伝わってきました。
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