The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

再掲『ツタンカーメン 呪われた王家の血』

2021-05-14 | 海外ドラマ
ミニシリーズ ”TUT”

コロナ渦のなか観光産業が大きな痛手を受けていたエジプトですが、昨年あたりから新しい遺跡
の発見が続いています。
紀元前3,000年位の集落の遺跡、大量のミイラ等が発掘されたというニュースが出ていましたね。
又、
2021年4月には新しい考古学博物館へのミイラのお引越し等があり(ファラオのミイラ移転パ
レードはBBCニュースジャパンをご参照下さい)コロナ禍後の観光事業復活を期待しています。

そして、これは数年前から引き続きですが、ツタンカーメンの墓の奥の隠し部屋が 義母である
ネフェルティティの墓であるのではないかと云われ話題を呼んでいました。
相変わらずエジプトに対する根強い人気に刺激を与えていますね。

そんなせいかどうか分かりませんが、ツタンカーメンの謎の生涯を描いたミニシリーズドラマを採
り上げて書いた拙過去記事にコンスタントにご訪問頂いています。
3年以上前、2018年2月22日付けの記事ですが、チョコッと加筆、補整しつつ再掲いたしました。

↓ 以下が元記事です

”TUT”

1話88分 :全3話のミニシリーズとして 2015年米国放映

現在Huluにて配信中(6エピソードとして配信しています)
※ 2021年5月現在も配信しています

もう言わずもがなですねぇ。
配信予告が出て以来首を長くして待って居りました。
何てったんて大好きなジャンルですもん。
子供の頃からずっと色々と本で読んだり、情報番組を観たりしていたツタンカーメン(”Tut-ank-
amen又はTut-ankh-amon とも表示されています)の謎に満ちたの生涯を壮大なスケールで描いた
歴史スペクタクルドラマです。

既に良く知られている事ですが、この作品を観て久し振りに情報再確認してみました。

ツタンカーメン(Tut-ank-amen)は古代エジプト新王国時代第18王朝に在位したと云われる
ファラオ(紀元前1334年~1325年頃)。
歴代ファラオの名を記したカルトゥ-シュからも故意に消されたか或は書かれなかったのか そ
の名は記されていません。存在自体が謎であったなか、系図はなく、歴史的な資料にもその存在
が記されていないファラオ ツタンカーメン。
だが、エジプト考古学者であるイギリス人 ハワード・カーターが大富豪で貴族であるカーナヴォ
ン卿の支援を受け 1922年世紀の大発見と云われるツタンカーメンの墓を発掘した事により豪華な
埋葬品と共にミイラが発見されその存在が明らかにされた経緯がありました。
9歳で王位に就き19歳の若さで急死した悲劇のファラオ。 その死因も毒殺、病死等諸説あるも
のの不明とされています。

話が逸れますが、私自身最初にエジプトに行ったのは大昔、20年以上前になりますが、その時何に
一番感動したかと言えば、ピラミッドでもなく、考古学博物館でもなく、他の遺跡でもなく、ツタ
ンカーメンのお墓でした。 子供の頃から色々想像を巡らしていた場所に実際足を踏み入れた事
が信じられない思いでフワフワしていた事を思い出します。

話を戻しまして・・・。
そんな謎に満ちたツタンカーメンの生涯を描くこのミニシリーズは実在とされる人物を中心に、フィ
クション、オリジナル解釈を含め描いたドラマで、TVドラマとしてはかなり豪華な作りになって
いました。

一週間に一話づつの配信で、現在3話迄視聴済みです。
内容は細かく書かない事にしますが 少しだけ概略を書いておきます。


キャストは :
ツタンカーメン : アヴァン・ジョーギア
アイ : ベン・キングスレー
アンケセナーメン : シビラ・ディーン
ホルエムヘブ : ノンソ・アノージー
カー : ピーター・ガジオット
スハド : カイリー・バンバリー
ラグス : イド・ゴールドバーグ








↑ ホルエムヘブはアイの次、第18王朝最後のファラオになったのですが、アフリカ系と云う記録は
なかった様な・・・。

アヴァン・ジョーギアはインドの血を引くカナダ人俳優さんで、端正な顔立ちがツタンカーメン王の
雰囲気に合っています。
又、宰相アイに扮するオスカー俳優 ベン・キングスレーも父方にインドの血が入っていると(だか
ら”ガンジー”だったんでしょうね)、その他女優陣も皆かなり濃い顔立ちばかり。
エジプトの物語りなのにインド系の俳優が演じている点がチョット・・・・。

まぁ、この点は他の映画、ドラマでも良くあることなんですけどね。

ドラマは、アクエンアテン王が病に倒れ9歳のツタンカーメン(以下TUT)新しいファラオ即位する
事になる場面から始まります。 
それに際し、姉であるアンケセナーメンが王妃となります。 (これは王家の血筋を残さなければ
ならないという為でもあり当時、特に王家に於いてははこの様な近親婚が割と当たり前の事だっ
たようですね。)

前王から仕える宰相アイがTUTの補佐をする事になるが このアイも野望に満ちているので心の中
が分からない存在。
アンケセナーメンもTUTの親友であるカーと相思相愛。

ドラマではミタンニとの合戦に自ら赴き(史実では虚弱体質で頑健な身体では無かったと云われて
いますが)瀕死の重傷を負ったTUTを介護したミタンニの娘スハドとのロマンスを含め、瀕死のTUT
を見捨て戦死したことにした将軍ホルエムヘブ。
ファラオが戦死したとの報を受け、次のファラオを決める際アンケセナーメンとの結婚を申し出る
宰相アイ、それを却下しカーとの結婚を決めるアンケセナーメン、等々。
もう、これでもかという程少年王を取り巻く陰謀、裏切りに満ち溢れています。
姉であり王妃であるアンケセナーメンでさえ信じられないTUTの孤独と苦悩。


副葬品の中にあった黄金の玉座に描かれたTUTとアンケセナーメンの姿や、棺の上に置かれ炭化し
ていた矢車草はファラオを悼んだアンケセナーメンが置いた物だろうと云われている事等から、2人
は仲睦まじい夫婦であっただろうとは言われていますが、このドラマでのアンケセナーメンは一筋
縄ではいかない野望に満ちた 本心が良く分からない姿で描かれているので、もしや彼女の裏切り
もあるのではないかと妄想しています。

3話でTUTが宰相アイに、”Whom can I trust ?”「誰を信じたらいいんだ?」に、アイは ”No one”
「誰も」と言います。 つまり宰相である自分の事も信づるなって事で、これがTUTを取り巻く全てを
表している様に思えます。

何せ3000年以上も前の事ですし、残された歴史的資料も殆んど無いTUTの時代は 史実と云われている
事でさえ何が本当だったか分からないので オリジナル解釈で描かれるのは当然ですが、メロドラマ風
な部分も多い点が少々気になります。

ただ、戦闘シーン等は少々グロい部分もあるもののTVドラマにしてはかなり迫力があり。
又一部刺激が強すぎる”大人”のシーンもあるので、お子ちゃまは観ないでね・・・。にもなって
います。

ただ、テーベ(現在のルクソール)の情景、色彩豊かな宮殿等CGやセットで再現されているので、今
は壁と列柱だけしか残っていないルクソール神殿やカルナック神殿の当時の状態をイメージ出来るのは
楽しいですね。(とは言え、古代エジプトの色彩としてはドギツすぎる様な気もするのですが、それは
それとして・・・・)。









史実では、アイが次にファラオになりアンケセナーメンを妻にしたとされているので結末は分かって
いるものの、一応史実として残されているTUTの最後は19歳で病死、又は怪我が元になった感染症に
よるもの、あるは毒殺などの説があり未だ決定的な結論はだされていないので、このドラマがどの様
な形で終結するのかは興味があります。
それにしても・・・。
第3話の最後のシーンの怖ろしかったことったら! 
後残り3話。 どうなりますかね?

 (結局後半に関しては書く余裕がありませんでしたが、3000年もの長い間 その存在すら知ら
れなかった悲劇の若きファラオの生涯に思いを馳せ、その最後のシーンが印象的で胸に響きました)

Trailerはこちらから ↓
https://youtu.be/7QFo3AZspQA

DVDはUS版のみ発売されています。





6 コメント

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ツタンカーメンに関して私の知っていること。 (mobile)
2018-02-23 14:25:08
確か父親はアメンホテップⅣ世、この人は都をアマルナに移し、それまでのアメン神官の支配を排してアテン神による一神教を広めようとした。自ら改名してアテンを読み込んだアクェンアテンと称し大改革を行ったが、死後は再びアメン神官の勢力が増し、息子ツタンカートン(トゥトアンクアテン)はやむなくアメン信仰に改宗させられ名前もツタンカーメン(トゥトアンクアメン)に改名させられた。
この事実からしてもあまり王権の基盤は強くなく、生涯はかなり悲劇的なものだったと思われる。死因は頭部の外傷ともいわれ暗殺説があったが、最近は足の骨折から敗血症説が有力。
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>ツタンカーメンに関して私の知っていること。 (Yam Yam)
2018-02-23 15:22:04
mobileさん、ツタンカーメンに関する造詣が深くていらっしゃいますね。
確かにアメン神に改宗した後Tut-ank-amenに改名したのだったと思います。
そして、テーベに王都を移したんですね。
死因に関しても諸説ありますが、ミイラのCT解析で仰る通り足の骨折による敗血症説も有力に
なったのはドキュメンタリーで見ました。ただ近親婚が原因の先天的疾患、虚弱体質による病気
が原因との説もありますね。
お墓もラムセス6世の物に比べ狭いものでした(隠し部屋が発見されたという報もありましたが)。
兎に角Tutに関しては解明されていない事実が多いので未だに研究が続いている様です。
王名標からも消された(或は書かれていなかった)短命で大きな事業もなさなかったファラオです
が 悲劇的な要素も含め色々と想像が膨らむのでしょうね。

このドラマもどの様に描いているのが興味があり 後半を楽しみに待っている所です。
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追記 (mobile)
2018-02-23 15:49:03
>ルクソール神殿やカルナック神殿の当時の状態をイメージ
>ああ、これイイですね!当時のブルーは宝石(ラピスラズリ)を砕いて顔料にしていたンでこれで正解だと思います!
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>追記 (Yam Yam)
2018-02-23 17:40:51
mobileさん、
仰る通り当時ブルーはラピスラズリを使っていたんですよね。
王家の谷にあるファラオのお墓の中の壁画は色鮮やかな色彩が残っているのですが、当時は天
然顔料を使っていたので 鮮やかとは言え現代の色彩とは異なり深い色合いでした。
ラピスラズリはツタンカーメンの黄金のマスクにも多く使われていますね。
私自身ラピスラズリが好きで 昔トルコでラピスラズリの指輪を買ってしまいました←余談でした。
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昔々 (篠田真由美)
2018-02-25 08:54:19
日本にツタンカーメン展が来たのが1965年のことでした(たぶん)。上野の山でぐるぐる行列した記憶があります。確か日本がアブシンベル神殿の移築に協力したお礼として、ほぼ門外不出の黄金マスクが貸し出されたのだったと思います。篠田は一時「考古学者になる」と騒いで、関連本を読みあさり、ハワード・カーターの発掘記に胸を躍らせたのでした。
今回書いていた『レディ・ヴィクトリア』4で、レディ・トラベラーとエジプトの話題が出てきたので、その後のツタンカーメンの研究について新しい本も読んだのですが、青年王の実像とか死因とか、結局全然確定的なことはわかってないらしいです。ミイラの調査も、科学手法は進化したものの、一長一短に政治的理由が絡んだりして。図書館で借りた『ツタンカーメン 死後の奇妙な物語』2014 文藝春秋 という本が詳しいです。
やけに良いタイミングだったので、コメントさせてもらいました。エジプト、行ったこと無いんでうらやましいです。ラピスラズリは私も好きで、ロンドンで買ったケルト風デザインのブローチを持ってます。
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>昔々 (Yam Yam)
2018-02-25 15:52:23
篠田先生、
わッ、先生も考古学者になりたかったって伺ってチョット感激でした。 実は私も子供の頃から考
古学を勉強したくて 大学もその方面に進みたかったのですが、当然親から猛反対されやむなく
別の道に進んだ経緯がありましたんですよ。
その後、機会があって携わった仕事で思いもよらずエジプトに行く機会を得て、大感動でした。
まさか実際に見る時が来るとは夢にも思っていなかったので・・・。 ただ、観光旅行ではなかった
ので駆け足でしたが、王家の墓はかなりジックリ見る事が出来ました。トリハダもんでしたよ。
W大学の発掘現場も行きたかったんですけど時間が無くて断念。 その後都内某所のレセプショ
ンでY教授とはお目にかかる機会がありました。お話しする時間は殆どありませんでしたがちょっ
とミーハー入ってしまいました(笑)

そう言えば、ユネスコによるアブシンベル神殿の移築の情報も覚えていたので、実際に見た時に
あの巨大な岩山を解体して上流に移築した事が信じられませんでした。 でも、ブロックは継ぎ目
分からない程素晴らしく組建て直されて、各ブロックにチョークで書かれた番号を見て初めてパー
ツに切り分けられたことが分かります。 物凄い技術ですね。

>『ツタンカーメン 死後の奇妙な物語』2014 文藝春秋
情報有難うございます。 図書館探してみます。

ラピスラズリはお守り石でもありますよね。 色も美しいし大好きです。
実はワタクシ、ツタンカーメンの黄金のマスクのペンダントヘッドも持っているんですよ。結構大き
いものです(頂きモンですが)←自慢か? いえ、そういう意味ではないんですよ(汗)

思いがけない場所でエジプト談議になってしまいましたね(笑)
先生も是非是非機会を作って現地を訪れて頂きたいです。
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