The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

『シャーロック・ホームズの不均衡』 読んでみまして

2016-02-23 | ブックレヴュー&情報
『シャーロック・ホームズの不均衡』
(Disportion of Sherlock Holmes)


似鳥鶏著 講談社タイガ(文庫)2915-11-18


最近頭が凝る(?)小説ばかり読んでいて 少し気分転換をしようと手に取った いきなり
軽めのミステリー(著者には失礼ですね)です。
内外問わずミステリーを読み漁る者として、特に”ホームズ”と題された作品はもれなく
手を出してしまうもので、今回の作品もタイトルに惹かれて読みました。

先ず、表紙が余りにも ”可愛い” ので、チョット躊躇しましたが・・・・
最近の文庫本の表紙はどれも可愛いイラストばかりで、もしやコミック本ではあるまいか
と思わされる様な傾向がある様に思いますが、どうなんでしょうねぇ・・・
内容とは裏腹(?)な場合も多く、購入者が手に取りやすい、取っつきやすいとの思惑な
のでしょうか。 若い方達には良いんでしょうね。(オバサンは気恥ずかしくて手に取りに
くい ← 汗)。 
まぁ、表紙で文句タラタラ言っても仕方ないし、いずれにしても 今回も ”シャーロック・
ホームズ” と銘打たれたら外すわけにはいかないのですわ。

内容は、サラッと・・・
両親を殺人事件で亡くした天野直人、七海の兄妹は児童養護施設で暮らしていた時養父に
なると言う人に長野のペンションに呼び出される。
そこで待ち受けていたのが殺人事件。しかも関係者全員にアリバイが成立すると言う不可
能状況の中 兄妹はこの不可能犯罪を解決する。 実は妹の七海が名探偵の遺伝子を持っ
ていた事が判明。 そして、この名探偵の遺伝子を持ち覚醒した者達が世界各地で諜報機
関から追われ 非人間的に利用されている事が判明する。
これに立ち向かうのが世界的コングロマリットの御子柴財団会長の息子、その執事、メイド
といった毛色の変わった人たちで、兄弟を利用しつつ、身辺を守りながら諜報機関と戦って
いく。

といった内容で、一言で云えば肩の凝らない、面白い発想のストーリーですね。

分かりやすいキャラクター :
クールな財閥御曹司、
メイド服をひるがえしてアクションシーンをこなすメイド兼ボディーガード幸村さん
(何でもフィギュアスケーターに例える発想が面白い!)
普段は質実剛健でいざとなるとスナイパーに変身する執事、
障害を持ち 言葉を発する事が出来ない妹と、その妹を過保護なほど心配する 某魔法
学校のハリー某に似たお兄ちゃん
等、可視化しやすい ある意味ステレオタイプの主人公達 → 何れシリーズ化、ドラマ
化されるのではないかと予測出来る様な内容ではあります。
それと、筆者の脚注、ツッコミはかなり楽しいですね。

で、その中で個人的にはストーリーより興味を持ったのが(あ、スミマセン)文中で問題
になっている『友田=メンドルフ遺伝子群』と言われる物が存在し、これが即ち『ホームズ
遺伝子』と呼ばれる特殊なDNAである。と言う事で、これは「生理学的天才の一群」と説明
されていて、一見不可能に見える問題を現場を見ただけで解決する天才探偵のDNAだと
位置付けているのです。
勿論、この理論はフィクションだと思いますが、コナン・ドイルがシャーロック・ホームズ
を造形するにあたりモデルにし参考にしたと言われる 師であるジョセフ・ベル自身もこの
遺伝子を持っていたのではないか・・・
と言っています。
なかなか面白い発想だし、確かに常人とは異なる頭脳を持っていますね。ベル教授もホームズも。

あ、そうそう、このベル教授に関しては ドラマの 『コナン・ドイルの事件簿:シャーロック・
ホームズ誕生秘話」 ”Murder Rooms : Mysteries of the Real Sherlock Holmes” で描かれていて
大変興味深くドラマを観ておりまして、近い内にご紹介を書こうと思いつつ途中になっております。
なるべく早く機会を見つけて書くつもりです。


↑ コナンドイルとベル教授です(既にホームズそのものです)









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