知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

相違点と作用効果の違い

2012-12-22 17:41:59 | 特許法29条2項
事件番号 平成24(行ケ)10057
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成24年12月03日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 塩月秀平、裁判官 真辺朋子,田邉実

(2) 審決は,本件発明につき,請求項の記載に基づいて,「クエン酸,酒石酸及び酢酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸味剤を含有し,経口摂取又は口内利用時に酸味を呈する製品に,スクラロースを,該製品の重量に対して0.012~0.015重量%で用いることを特徴とする酸味のマスキング方法」と認し,かかる本件発明と甲3発明を対比して,一致点・相違点を認定しており,そこに誤りはない。原告の主張は,本件発明と引用発明の相違点を抽出する場合における本件発明の認定について,本件発明の効果も含めて認定することを前提とするものであるが,本件発明の要旨は,その特許請求の範囲の記載に基づいて認定すべきものであるから,原告の上記主張は採用することができない。すなわち,原告の主張は,顕著な効果の看過を相違点の認定誤りというものであり,この主張をもって相違点認定の誤りとすることはできない。作用効果に関しては,後記2(6)で判断するとおりである
・・・
(6) 原告は・・・顕著な作用効果を看過していると主張する。
 しかし,前記のとおり,・・・程度の効果は,これを予測できない顕著な作用効果ということはできない。
 ・・・このように,・・・長期安定性及び熱安定性という効果は,スクラロース自体の公知の特性であり,この特性は,酸味を有する製品の酸味マスキングにスクラロースを用いた場合にのみ生ずる特有の作用効果ではないことからすれば,この効果を酸味のマスキング方法についての発明における顕著な効果とすることはできない

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