知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

発明者の認定事例

2012-12-16 11:06:00 | 特許法その他
事件番号 平成21(ワ)33931
事件名 発明対価等請求事件
裁判年月日 平成24年11月22日
裁判所名 東京地方裁判所  
権利種別 その他
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 高野輝久、裁判官 志賀勝,裁判官 小川逸
特許法35条

イ 発明とは,自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいうところ(特許法2条1項),特許を受ける権利を原始的に取得する発明者とは,特許請求の範囲に基づいて定められた技術的思想の特徴的部分の創作行為に現実に加担した者をいうと解するのが相当である。
・・・
(イ) そして,前記ア認定の事実によれば,本件発明に係る特許請求の範囲の請求項1の「・・・A・・・」する構成,同請求項2の「・・・B・・・」との構成は,本件発明に係る特許出願がされた当時,いずれも原告やG等の研究によって公知であったものであり,また,本件発明に係る特許請求の範囲の請求項1の芯材「の周囲に熱可塑性樹脂からなる柔軟なスリーブを設け」る構成,同請求項2の「複数の強化用繊維を混合粉末流動層に導入して,各強化用繊維間に混合粉末が包含された芯材を形成し,次いで該芯材を熱可塑性樹脂で被覆して芯材の周囲に柔軟なスリーブを設ける」との構成も,本件発明に係る特許出願がされた当時,いずれもアトケム発明の出願公開によって公知であったものである。

(ウ) 以上によれば,本件発明に係る技術的思想の特徴的部分は,前記の両公知技術を組み合わせたところにあるものと認められる。前記ア認定の事実によれば,この組合せを着想し,試作によってC/C複合材料用のプリフォームドヤーンを製作する見通しを付けたのは,被告Bだけであるから,被告Bが本件発明の発明者であり,原告が単独又は共同で本件発明をしたとは認められない

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