知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

意味的な結び付きが強いとはいえず、識別力も大差ない結合商標の観念と称呼

2011-09-25 20:49:07 | 商標法
事件番号 平成23(行ケ)10085
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成23年09月20日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 塩月秀平

 本願商標は,「TV」の欧文字と「プロテクタ」の片仮名文字を結合した商標であって,標準文字からなる「TVプロテクタ」の文字を一連の横書きで表記したものである。

 本願商標は,「TV」と「プロテクタ」を組み合わせた造語と解されるところ,「TV」部分は,英単語である「television」の略語と一般に理解されるから,テレビジョン受信機の観念が生じる(乙4「コンサイスカタカナ語辞典第4版」参照)。また,「プロテクタ」部分は,英単語である「protector」の片仮名表記と一般に理解され,一般人にとって,保護するもの,保護する装置,防御物,防護用具,保護者,後援者等の観念が生じる(甲8「英辞郎 on the Web」,乙12「ベーシックジーニアス英和辞典」等参照)。

 そうすると,「TV」部分と「プロテクタ」部分の意味的な結び付きが強いとはいえないから,これらの単語を組み合わせた本願商標「TVプロテクタ」の全体からは特定の観念が生じないというべきであり,生じるとしても,テレビジョン受信機を保護する何らかの装置との観念を生じさせるにとどまり,指定商品の機械器具,部品の分野でみても,「TV」と「プロテクタ」のいずれかの部分に強い識別力が伴うものとすべき事情を認める証拠はない。そして,双方の部分ともに冗長ではなく一連に発音しても違和感のないものであるから,本願商標からは,全体として「ティーヴィープロテクタ」の称呼が生じるものと認めることができる。


最新の画像もっと見る