知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

外部撮影会社の新聞社に対する二次使用許諾の有無

2010-09-20 08:24:29 | 著作権法
事件番号 平成20(ワ)2813
事件名 損害賠償請求事件
裁判年月日 平成22年09月09日
裁判所名 大阪地方裁判所
権利種別 著作権
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 山田陽三

(1) 当事者
 原告P1は,昭和55年ころから,フリーのカメラマンとして活動していたが,昭和60年12月に,撮影した写真やフィルムの管理を行う原告会社を設立した。
 原告P2は,平成5年1月に,カメラマンとして原告会社に入社した。
 被告は新聞社であり,自社カメラマンが所属する写真部を有していたが,自社カメラマンが多忙で人手不足の時など,外部のカメラマンに撮影を依頼することがあった。
 ・・・

イ2次使用許諾
(ア) 再掲載の場合
 前記ア(エ)のとおり,被告新聞は,日刊新聞であって,日々の出来事を報道することを主たる目的としており,同一の写真を,複数回にわたって掲載したり,一定期間継続して掲載することは,通常は予定していない。したがって,被告新聞への掲載にあたっての著作権者の使用許諾も,合理的な期間内における1回的なものと見るべきである。
 これは,再掲載にあたりカメラマンの許諾を得るという,被告写真部における一般的な取扱い(証人P4)とも整合する。
そして,被告が,再掲載にあたり,原告P1らの個別の許諾を得て
いなかったことには争いがないし,著作権の譲渡の間接事実とされた前記アの各事実が,2次使用に係る包括的な許諾を裏付けるものとも認めがたい。
 したがって,本件において2次使用許諾があったとの事実は認められない。

(イ) 別カット写真掲載の場合
 別カット写真の使用は,2次使用とは異なる使用形態であるが,被告は,別カット写真の使用についても,2次使用の場合と同様に,使用許諾の抗弁を主張していると考えられる。
 しかしながら,前記(ア)のような被告新聞の性格や,複数枚の候補写真(フィルム)の中から適切なものが選択されるという掲載の形態からして,被告が受けた使用許諾は,「フィルムに感光された写真を,全て1回ずつ使用することができる」というものではなく,「撮影に係る出来事を記事にする際に,フィルムに感光されたどの写真を使用してもよい」というものと考えられる
 したがって,記事に使用しなかった写真を,後に別の記事に転用することは,許諾の範囲を超えるものといえるのであって,被告の使用許諾の抗弁は認められない

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