◆H14. 3.28 東京高裁 平成12(行ケ)180 特許権 行政訴訟事件
特許法29条2項
(注目点)
請求項1に係る発明に引用文献1が通知され、請求項5に係る発明に引用文献2が通知されて拒絶査定された際に、審判請求時の補正により、請求項1に請求項5の記載をとりいれて新請求項1とした。
そのときに、審判官は、請求項1に対して引用文献1及び2を組み合わせて、特許法29条2項の規定で審決したが、これは、違法か。
(判示)
請求項1に係る発明が,形式上,請求項5に係る発明と別発明であるとしても,拒絶査定で引用刊行物2に記載された発明に基づいて進歩性がないとされている技術事項を,請求項1に係る発明に加えたことで,当該技術事項が進歩性を帯びるなどといったことは,あり得ないことである。
当該技術事項の加わった請求項1に係る発明は,当然に,引用刊行物1,2に記載された発明に基づいて進歩性がないとされていたことになるというべきである。
原告は,審査段階において,引用刊行物2は,請求項5の発明の「海綿状のセラミックフォーム」という構成について引用されておらず,鋳型の「突起」に関して引用されていたにすぎなかった,と主張する。
拒絶理由通知において,引用刊行物2が引用されたのが,「海綿状のセラミックフォーム」という構成との関連においてでないことは,原告主張のとおりである。(拒絶理由通知時の請求項5は「海綿状のセラミックフォーム」の構成を有していなかったから,いかなる刊行物であれ,これとの関連で引用されることはあり得ない。)。
しかしながら,前認定のとおり,拒絶査定においては,引用刊行物2は,上記構成の進歩性を否定するためにも引用されていることが明らかであり,原告は,この拒絶査定を不服として審判の請求をしたのである。
仮に,同刊行物を上記構成との関連でも引用することをあらかじめ明らかにしないままで,拒絶査定をなした点を,手続上の瑕疵と呼ぶとしても,これをもって,審決を違法にするほどのものとすることはできない,というべきである。
特許法29条2項
(注目点)
請求項1に係る発明に引用文献1が通知され、請求項5に係る発明に引用文献2が通知されて拒絶査定された際に、審判請求時の補正により、請求項1に請求項5の記載をとりいれて新請求項1とした。
そのときに、審判官は、請求項1に対して引用文献1及び2を組み合わせて、特許法29条2項の規定で審決したが、これは、違法か。
(判示)
請求項1に係る発明が,形式上,請求項5に係る発明と別発明であるとしても,拒絶査定で引用刊行物2に記載された発明に基づいて進歩性がないとされている技術事項を,請求項1に係る発明に加えたことで,当該技術事項が進歩性を帯びるなどといったことは,あり得ないことである。
当該技術事項の加わった請求項1に係る発明は,当然に,引用刊行物1,2に記載された発明に基づいて進歩性がないとされていたことになるというべきである。
原告は,審査段階において,引用刊行物2は,請求項5の発明の「海綿状のセラミックフォーム」という構成について引用されておらず,鋳型の「突起」に関して引用されていたにすぎなかった,と主張する。
拒絶理由通知において,引用刊行物2が引用されたのが,「海綿状のセラミックフォーム」という構成との関連においてでないことは,原告主張のとおりである。(拒絶理由通知時の請求項5は「海綿状のセラミックフォーム」の構成を有していなかったから,いかなる刊行物であれ,これとの関連で引用されることはあり得ない。)。
しかしながら,前認定のとおり,拒絶査定においては,引用刊行物2は,上記構成の進歩性を否定するためにも引用されていることが明らかであり,原告は,この拒絶査定を不服として審判の請求をしたのである。
仮に,同刊行物を上記構成との関連でも引用することをあらかじめ明らかにしないままで,拒絶査定をなした点を,手続上の瑕疵と呼ぶとしても,これをもって,審決を違法にするほどのものとすることはできない,というべきである。