◆H18. 1.25 知財高裁 平成17(行ケ)10438 特許権 行政訴訟事件
条文:特許法29条2項
<争点>
審査基準によれば、選択発明の要件は、①刊行物に記載されていない有利な効果であって刊行物において上位概念で示された発明が有する効果とは異質なものを有し、②これが技術水準から当業者が予測できたものでないとき、又は同質であるが際だって優れたものを有し、③これが技術水準から当業者が予測できたものでないことである。
審決は、「引用文献1(判決注;引用例1)に記載されたヒアルロン酸以外のムコ多糖類であるコンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸及びヘパリンの中からヒアルロン酸と併用して最も効果のあるものを選択することは、当業者であれば容易になし得る程度のことである」(審決4頁第1段落)と認定したが、これが誤りであるかどうか。
<判示事項>
特許庁の審査基準によれば、選択発明とは、物の構造に基づく効果の予測が困難な技術分野に属する発明で、刊行物において上位概念で表現された発明又は事実上若しくは形式上の選択肢で表現された発明から、その上位概念に包含される下位概念で表現された発明又は当該選択肢の一部を発明を特定するための事項と仮定したときの発明を選択したものであって、前者の発明により新規性が否定されない発明をいい、刊行物において上位概念で示された発明が有する効果とは異質な効果、又は同質であるが際だって優れた効果を有し、これらが技術水準から当業者が予測できたものでないときは進歩性を有するとされる。 しかし、本願発明1は格別顕著な効果を奏するものであるということはできないことは上記のとおりであり、原告の引用する特許庁の審査基準によっても、本願発明1がいわゆる選択発明として進歩性を有するということはできない。
条文:特許法29条2項
<争点>
審査基準によれば、選択発明の要件は、①刊行物に記載されていない有利な効果であって刊行物において上位概念で示された発明が有する効果とは異質なものを有し、②これが技術水準から当業者が予測できたものでないとき、又は同質であるが際だって優れたものを有し、③これが技術水準から当業者が予測できたものでないことである。
審決は、「引用文献1(判決注;引用例1)に記載されたヒアルロン酸以外のムコ多糖類であるコンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸及びヘパリンの中からヒアルロン酸と併用して最も効果のあるものを選択することは、当業者であれば容易になし得る程度のことである」(審決4頁第1段落)と認定したが、これが誤りであるかどうか。
<判示事項>
特許庁の審査基準によれば、選択発明とは、物の構造に基づく効果の予測が困難な技術分野に属する発明で、刊行物において上位概念で表現された発明又は事実上若しくは形式上の選択肢で表現された発明から、その上位概念に包含される下位概念で表現された発明又は当該選択肢の一部を発明を特定するための事項と仮定したときの発明を選択したものであって、前者の発明により新規性が否定されない発明をいい、刊行物において上位概念で示された発明が有する効果とは異質な効果、又は同質であるが際だって優れた効果を有し、これらが技術水準から当業者が予測できたものでないときは進歩性を有するとされる。 しかし、本願発明1は格別顕著な効果を奏するものであるということはできないことは上記のとおりであり、原告の引用する特許庁の審査基準によっても、本願発明1がいわゆる選択発明として進歩性を有するということはできない。