徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

南西は海雲漫々として万古心のうちなり

2023-07-06 21:15:22 | 古典芸能
 玉名からの帰り、河内から山越えのルートを通る場合、時々、岩殿山山頂の黒岩から有明海とその向こうの雲仙岳を望むことがある。そんな時、必ず思い出すのが次の一節。


 これは謡曲「檜垣」の冒頭、ワキの僧による名のりの一節である。僧は自らが参籠する岩戸山(岩殿山)周辺の風景を「この上なくすばらしい絶景であり、南西方向に見える海面も天空もひろびろとしてはてもなく、往古の趣きをそのまま心に味わうことができる。」と言っているのである。
 これは世阿弥の創作なのだが、僕が初めてこの地に立った時、まるで世阿弥がこの地に立って謡ったかのように感じられ鳥肌が立つのを覚えた。
 実際には世阿弥が「檜垣」を創作したのは佐渡に流された後らしいのでここへ来るはずもないのだが。謡曲「檜垣」にはその他にも
 この部分が、戦国武将鹿子木寂心の作、いやもっと古い時代の人の作など諸説があり、世阿弥が創作に当たって典拠とするものがあったことが推察される。今後も引き続き調べてみたい。


岩殿山黒岩から遠く有明海と雲仙岳を望む


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