徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

ラジオドラマ 「 ぬれわらじ 」

2015-08-21 20:25:55 | 文芸
 一昨日の記事で紹介したラジオドラマ「ぬれわらじ」の脚本を、作者の木村雄章氏のご子息理郎様よりお送りいただいた。さっそくじっくりと読み込んでいるところだ。
 NHK第2で全国放送されたのは昭和38年6月8日(土)21:30~22:00 「ラジオ小劇場」の枠内だった。当時、僕は高校3年生、水球に明け暮れていた時代で聞いているわけもない。考えてみれば、からゆきさんを描いた山崎朋子のノンフィクション「サンダカン八番娼館」が世に出る10年も前に、既にこのラジオドラマが制作されていたわけだ。脚本を読むと、プロローグに肥後琵琶が使われていたり、「福連木の子守唄」などの民謡が挿入されていたりと、音源が残っているならぜひ聴いてみたいという気持がますます強くなってきた。
 この番組の紹介記事が添付されていたので、その部分のみ紹介したい。

ぬれわらじ
 キリシタンの島、夢の島などと呼ばれ、人びとの旅情をさそう天草島だが、この島には貧しいがゆえに悲しい一生を送った乙女たちの哀話がある。身体を張って出稼ぎをする、からゆきさんと呼ばれる彼女たち。そして故郷を後に彼女たちがたどる運命は数奇なものだ。“ぬれわらじ”とは彼女らが出稼ぎのため後髪をひかれる思いで故郷をたち、最初に旅装をといた宿をいう。
 6月8日のラジオ小劇場(後9:30 2)はこのからゆきさんの物語を綴った「ぬれわらじ」。作家で、熊本県文化財委員をかね、肥後地方の郷土史に詳しい木村祐章氏が、去る4月天草に取材、書き下ろしたドラマで、昔外地に働いた人びとの話をもとに創作している。ドラマの最初には現在残り少なくなっている肥後琵琶を琵琶師の山鹿良之さんがひいている。
 ドラマはそうしたからゆきさんの一人かめさんの17才から79才までの一生を回想形式で描く。物心ついてから、唐芋といわしの外は、腹一杯喰ったことのないかめさん。彼女は村の若者忠平との恋も割かれ、行方も知らされず、石炭船の底に乗せられて外地に身を沈める。忠平との思い出を胸に秘めての香港、シンガポールでの生活、そうした中に咲いた恋も、戦争によってふみにじられてしまう。……
 故郷天草にもどったかめさんの生活は甥夫婦のお情けで、漁具を入れる小屋に畳を二枚敷いてもらい、甥たちのとって来る小魚を売り歩くというみじめなもの。
 出演は渡辺富美子(かめ)ほか今福正雄、中川豊子、加藤正之など。

▼劇中挿入される「福連木の子守唄」(クリックすると動画を再生します)