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徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

渡辺あやさんはどうしてる?

2013-01-22 21:01:24 | テレビ
 朝ドラ「カーネーション」が終わってもう随分経つが、作者の渡辺あやさんの情報が全然伝わってこない。島根でおとなしく雑貨屋を営んでいるのだろうか。それとも次回作の構想でも練っているのだろうか。7、8年来の渡辺あやフリークとしては気になってしかたがない。折にふれて傑作ドラマ「火の魚」のDVDを楽しんでいるが、早く“渡辺あやワールド”の新作を観たいものだ。
 下は、以前にも取り上げたが「火の魚」のシナリオで僕が最も好きなくだり。オノマチ演じる折見とち子は、渡辺さんそのものじゃないかという気がしてきた。

老作家(村田省三):原田芳雄
編集者(折見とち子):尾野真千子
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   折見、最後のページを読み終えると原稿を閉じ、
折見「ありがとうございました。では、またゲラの方を後日・・・」
村田「どう思う」
折見「は」
村田「感想を言え。たまには」
   村田、目の奥に敵意を光らせ、折見を見る。
   折見、しばらく考えているが、
折見「大変素晴らしいと思います」
村田「どこが」
折見「まず金魚姫の存在感が光っていますし、展開と構成も・・・」
村田「お前の好きな作家は誰だ」
折見「は」
村田「三人あげろ」
折見「カポーティ、チェーホフ、横光利一、でしょうか」
村田「それを読んで素晴らしいと思うお前が、本当にこれを素晴らしいと思うのか?」
   村田、折見をにらみつける。
   折見、ややあって、口を開く。
折見「申し上げてよろしいのでしょうか」
村田「言え」
折見「実は思っておりません」
村田「なぜ嘘をつく?!」
折見「仕事でございますので」
村田「バカにするな!!言っとくがな、俺には全部わかってるんだ。自分の書くものが実に下劣な、なんら芸術的価値のない売文に過ぎんということも、お前ら編集者が俺という作家を内心見下していることもな!!お前、どうせ俺の本なんて、一冊たりとも読んだことないだろう?どうだ?!俺をなめるな!全てお見通しだ!バカ野郎!!」
   村田、思わず孫の手を壁に投げつける。
   折見、村田の目を見据え、口を開く。
折見「・・・お言葉ですが」
村田「なんだ?!」
折見「先生の作品はすべて拝読しております」
村田「まだ俺をコケにするのか?!」
折見「せっかくの機会ですので申し上げますと」
村田「ああ?」
折見「僭越ながら先生の最高傑作は42歳のときに書かれた<陰影>と存じます。とはいえ、あれに限らず当時の作品はどれも素晴らしいです。一見オーソドックスな官能小説でありながら極めて上質な文体。叙情性とアイロニー。まぎれもなく先生にしかお書きになれない小説世界でした。ところがそれが突然劣化するのは、島に引きこもられてからの作品群です。先生、私は先生を見下してはおりませんが失望はしております。や、正直もう腹が立って仕方ありません。あれほどの作家が一体何を怠けているのかと。真面目にやる気があるのかと。仰るとおり、売文の山です。とりわけ女性の描写のひどいこと。特に金魚娘、あれはいただけません。赤いミニスカートと白い太ももの描写ばかりなのはまだよしとして、あまりに頭がからっぽ。あまりに男に都合が良すぎます。あんなのはいわばメイドカフェのメイドと同じでございます」
村田「めいどかふぇのめいど?」
折見「はい。失礼ですが」
村田「・・・」
   村田、黙って折見をにらみ続ける。そして心の中で呟く。
村田N「・・・めいどかふぇのめいどってなんだ?」