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徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

俚奏楽 「山鹿湯籠踊り」

2012-04-17 15:03:14 | 音楽芸能
 先日、熊本城本丸御殿で行われた「春の宴」初日の「山鹿をどり」の演目の中で目玉は俚奏楽「山鹿湯籠踊り」。民謡・端唄三味線の第一人者で本條流の家元、本條秀太郎さんが提唱する「俚奏楽」として、山鹿の古い民謡に新たな命が吹き込まれた。そもそも俚奏楽(りそうがく)とは何かと言うと、邦楽の中の一つのジャンルで、「俚」は「さとび」とも読み、「雅(みやび)」の対義語でもある。「雅」が優雅とか都会風な意味合いを持つのに対し、「俚」は世俗的とか田舎風と言った意味合いを持つ。つまり「俚奏楽」というのは古来、一般庶民の間で伝承されてきた民謡・俗謡などを見直し、あるいは掘り起し、新しい解釈で甦らせていこうというムーブメントの一つと理解している。
 この「山鹿湯籠踊り」には山鹿に伝わる五つの古い民謡が組曲として構成されている。出端(プロローグ)に始まり、「いらんせ」、「古調よへほ節」、「山鹿ねんねこ節」、「山鹿盆踊り」、「よへほ節」、そして入端(エピローグ)。また出端にも「でたげなたん」という山鹿の古謡が引用されているという。中でも僕が興味深かったのは「古調よへほ節」。現在歌われている「よへほ節」は昭和8年に野口雨情によって改作されたものだが、このオールドスタイルの「よへほ節」はより端唄っぽくて粋な感じがする。いずれにせよ、まさに「温故知新」。古い文化が新しい解釈で甦るのはとても意義深いことだと思う。