いやはや、とんだ試合になったものだ。昨夜というより今朝のサッカーのアジア・カップのことだ。薄氷を踏む思いの日本の勝利だった。“マン・オブ・ザ・マッチ”には決勝点のPKを決めた本田が選ばれたが、日本にとっての最大の功労者は、僕は主将の長谷部だと思う。もちろん先取点となったゴールを決めたこともあるが、岡崎が取ったペナルティを引き出したのは長谷部のヘッドワークによるものだと思うからだ。微妙な判定のPKを取られ、それによってGKの川島が一発退場となった。もちろん日本は猛抗議した。しかし、一度下った判定は覆るわけもなく、日本はPKで同点にされ、さらに一人少ないという窮地に立たされた。先頭に立って抗議していた長谷部は騒ぎが一段落した後、レフェリーと笑顔さえ浮かべながら会話を交わしていた。何を話したのかはわからない。しかし、実はこれが非常に重要なのである。レフェリーは心のどこかで「しまった!」と思っているに違いない。その思いは試合再開後のレフェリングで微妙に影響してくる。しかも不利な判定を下したチームの主将から笑顔で声を掛けられたら、何とかせねばと思わないはずがない。案の定、ゴール前でのシリア選手二人がかりでの岡崎へのディフェンスに、待ってましたとばかりにPK判定を下した。もちろんそういう場面に持ち込んだ岡崎もえらいが、レフェリーの心の動きを読んだ長谷部の頭脳プレーが効いたのは間違いないと思う。あくまでも僕の推測に過ぎないが。