ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

箸休め6

2016-02-28 09:33:51 | 日記
3月27日から始まるテレ朝の新ドラマ「ストレンジャー」は
萩尾望都さんの「ポーの一族」をモチーフにしたものだそうで
香取慎吾さん演じる「三杉晃」は
不老不死の肉体を持つ「バンパネラ」らしい

kainatsuさんは「慎吾ちゃんかあー、うーん…」と呟かれてましたが(苦笑)
監督は「踊る」シリーズの本広克行さんで
脚本は演劇界の異才「スズカツ」こと鈴木勝秀さん

…篠井英介さんの「欲望という名の電車」や大沢たかおさんの「ファントム」
山本耕史さんの「ドリアングレイの肖像」等を手がけておられる方…で

原作とは違った世界が見られるんじゃないかと
奥さんの「スイッチ」が入ったようです(笑)

このドラマの原案に使用されることを
快諾なさったという萩尾さん
まさか、主題歌が甲斐バンド?ってことは…ないか(笑)
あっ!そう言えば、香取さんのファンでいらしたような気が…???

甲斐さんは、萩尾さんの作品の中では
「11人いる!」がお好きみたいだけど
もちろん「ポーの一族」もお読みになってるでしょうし
「サー・段田」さんも出演なさることだし
興味を持たれるんじゃないかなあと…(笑)

その萩尾さんが、浦沢直樹さんの
「漫勉・シーズン2」の初回に登場されるそうで
某国営放送では、シーズン1の再放送に余念がございません(笑)

つい先日も最終回を飾った「ゴルゴ13」
さいとうたかをさん編が流れていたんですが
浦沢さんは、さいとうさんが下書きなしに
「ペン入れ」をなさるのをご覧になって
「衝撃映像」だと驚かれてました(笑)

さいとうさんによると…
キレイに下書きした画をなぞるだけだと「表情が出なくなる」
特にゴルゴは表情がない顔なので
目のちょっとした動きで表現していかないといけないんだとか…

ちなみに…デューク「東郷」という名前は、さいとうさんが中学生の時に
「試験なんかで個人の能力が判るはずがない」と
まともに試験を受けておられなかったことに対して

「白紙で出すのは君の意思だから構わない
しかし自分の責任の証明として名前だけは書け」とおっしゃった
先生の名前から付けられたらしい(笑)

必ずご自身で描かれるのは、ゴルゴの「顔」の他に
「吹き出し」の方向と「音(擬音)」だとさいとうさん

前者は「この人が喋ってるんだってことが
さっと読者の目に入るように」なさるためで
後者は「コマからコマへ
音で流れを出してることが多いから」と説明されてました

浦沢さんも「読みやすいっていうのが、まず第一」なので
ご自身で吹き出しの向きを描かれてるそうです

さいとうさんの「擬音」に関しては、以前にもご紹介しましたけど
「自分の感性で素直に聞こえる音を書いてるだけ(笑)」で

同じ「馬が駆ける音」でも堅い地面の時は「パカラン、パカラン」で
柔らかい砂の上を走る時は「ザッパ、ザッパ」という風に
使い分けておられるみたいです

浦沢さんは「ん」から始まる擬音なんて
誰も思いつかないとおっしゃってましたが
ネームを考えていらしたさいとうさんの映像を見ると
口元が動き、何やら呟きながら書かれているご様子…

でも、ご本人はそのことに全く気づいておられず(笑)
さいとうさんにとっては「衝撃映像」だったかも知れません(笑)

「ゴルゴ13・MEDIA GAME」に掲載されたインタビューで
甲斐さんが「貸本屋」時代から
さいとうさんの「台風五郎シリーズ」を愛読されていて
「さいとう・プロ」が出来る過程も全部知ってるんだよねと話されてたけど

さいとう・プロの前にも
「劇画工房」や「新・劇画工房」を結成なさっては
組織論や仕事配分、ギャラの分配などが原因で解散していらしたようです

今は「低賃金、長時間労働」というアシスタントの常識?を覆し
さいとう・プロの待遇の良さには定評があり
ビジネスモデルとなっているらしいんですが

当初は「映画で言えばチャップリンみたいな…
制作から監督、演者まで務める…人ばかりが求められていた」ため
集団で作品を生み出すという発想は受け入れられず

「目だけ描いてる漫画家」だとか
「不特定多数が寄ってたかって、線を描き集めているため
個人の思い入れが極めて希薄」などと取り沙汰されていたんだとか…(汗)

でも「漫画は紙に描ける映画」とおっしゃるさいとうさんにとって
当然「一人じゃ作れない」ものであり

45年以上もの間、一度も休載されたことも
締切に間に合わなかったこともないのは
監督・構成・作画など、それぞれのエキスパートが「分業制」で
ひとつの作品を作っておられるからで

「作家名」も個人名ではなく「スタッフ一覧」のクレジットが
映画作品のように示されてます

さいとう・プロの中では、ご自身も書き手の一人であるが故に
「プロデューサーになり切れない」ものの
「書き手側より、売り手側の考え方が強い」とさいとうさん

1コマや4コマ漫画の時代のように
風刺やお笑いがメインの「子供の読むもの」ではなく
「ドラマを見せる画の世界・劇画」を
大人…特に団塊世代の方々に向けて描かれたのは

「人口が一番多い層なんだから、大学生や社会人になっていく際に
読者を逃してどうするんだ」と思っておられたからだという(笑)
ちなみに、今は「シニアコミックに力を入れている」そうだ(笑)

さいとうさんいわく…「芸術」と違って
映画や劇画は先にお金を取ってから見せるのだから
お客を満足させられないのは職業的に邪道

作品を作る上で、作者の意識や考えは出て来る
でも、それは満足させた後の話なんだと言ったら
それは邪道だと言われた(笑)

「新人時代から変化してないのは
進歩する意志を失った証拠」との批判には

「時代によって、観念や常識、善悪の解釈も変わっていく
普遍的な、人間の根源的な所からドラマを考えないと作品が色褪せてしまう」

「大いなるマンネリでも挑戦する気持ちは忘れない
時事ネタを題材にしたり、毎回知らないことを勉強して描いている
ただ、根底にあるのは普遍的なものなんです」とおっしゃってますが

紫綬褒章を受章なさった時には
「ずっとテロリストを描いて来たのに
そんなアホなことがあるか(笑)」と思われたんだとか…(笑)

甲斐さんは、先のインタビューで
ゴルゴの「決めのフレーズ」に触れられ

「あれは、ゴルゴが自分なりの流儀を持っていて
それを貫いているというのを打ち出すためにあるんだよね
…それは第一回目からずっと変わらないからね
どんなことにも侵されない、変わらない凄さがあるよね」とおっしゃって

甲斐バンドも「最初に決めたのは
徹底してクリエイティブをやっていくということ
俺はこれがやりたい!と思っても
やり過ぎると受け入れられないから
そこに時代の息吹みたいなものを取り込んで
消化してから表現していこうと思った」と話されていて

この記事の書き手の方も「ゴルゴにも甲斐バンドにも
変わらない凄さと同時に
変わっていくことを恐れない勇気もある」と記されてるんですが

「甲斐よしひろがデューク東郷とどこかダブって見える」という言葉には
「そこは、俺じゃなくて、さいとうさんでしょう
スタイリッシュでストイックを徹底して貫いている生き方は
さいとうさんの生き方でもあるから」と答えておられます

まあ、奥さんは
「甲斐さんはあんなに無口じゃない(笑)」と切り捨てておりました(笑)

余談ですが…「俺は博多の散髪屋のせがれだけど
さいとうさんは大阪の散髪屋のせがれで(笑)」との甲斐さんの言葉に惹かれ
ちょっとウィキってみたら…

さいとうさんは「5人兄弟の末っ子で幼い頃に父が出奔
母親が女手ひとつで育ててくれた」という方みたいで
思いっきりダブって見えてしまいました

ちなみに、さいとうさんのお父様が家を出られたのは
画家(彫刻家?)を目指されて挫折なさったからだそうで
それ以来、お母様は「芸術」を嫌っておられ

さいとうさんが漫画家になられた時も
「男が芸術で食べて行ける訳がない」と猛反対され
亡くなられるまで、さいとうさんの作品を
一度も手になさらなかったらしい(汗)

さいとう・プロの社長でいらっしゃるお兄様も
お子さんに「漫画など読むな!」とおっしゃっているんだとか…(苦笑)
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