ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

ジョン王その2(ネタバレあり)

2023-02-13 21:36:00 | ライブ
遅ればせながら小栗さんの魅力に目覚めた「非イケメン派」の奥さん(笑)
「そういえば…」と、以前に甲斐さんのラジオ番組に
ある投稿者の方が、ご自身のランキングで、そのセクシーさに心惹かれる有名人として
「甲斐さんがイチロー選手を抜いて第2位に浮上した」と報告なさった際に
第1位は小栗旬さんだと記されていたことを思い出し、急に納得したらしい(笑)

イヤ、小栗さんが出演されたテレビドラマや、蜷川幸雄さん演出の舞台の映像を拝見して
その演技力の素晴らしさは、もちろん存じ上げていたものの
吉田鋼太郎さんも評されている通り、いわゆる「憑依型」の役者さんではないということで
「のめり込み」系好きとしては、小栗さん個人に興味を持っていなかったというか(失礼!)
「吉田さんを映像の世界に招き入れた人」といった認識しかなかったみたいです(苦笑)

でも、この日は、平日の昼公演にも関わらず、初日の夜公演以上の客入りで
そのほとんどが、小栗さんのファンの方々で占められていたらしく
小栗さんが舞台に登場なさると、奥さんと同じく前方どセンターの席でも
オペラグラスを取り出され、じっと覗き込まれる方がいらしたそうで(笑)
奥さんは、いつも観劇の際に感じるという
「役者さんのファンは、生でご本人に会う機会が少ないんだなあ」との思いを新たにしたんだとか…

それはさておき…小栗さん演じる私生児が「リチャード」と名乗ることを許された時は
ジョン王の2番目の兄ジェフリーの未亡人コンスタンスが
我が子であるアーサー(ジョンの甥っ子)こそが、正統な王位継承者だと
フランス王フィリップ二世に訴え出ていた時で

フランス王からの「王位をアーサーに譲り、領地を引き渡すように」との要求
ジョン王が拒んだことから、フランスとの間に戦争が勃発しつつあり
リチャードは、前述のようにパーカー&ジーンズに鎧を着けて
フランス・アンジェの町に乗り込むことに…

この場面では、中村京蔵さん演じる皇太后エリナーと
玉置玲央さん演じる未亡人コンスタンスの激しい舌戦…か~ら~の取っ組み合いが繰り広げられ
「オールメール」ならではの迫力を堪能できたみたいだけど

両軍どちらの言い分が正しいか?観客をアンジェ市民に見立てて
2人の王がプレゼンテーションするも判断がつかず
両軍共に、城門の中に入ることすら出来ない膠着状態を打ち破ったのは
フランス皇太子ルイと、エリナーの孫娘ブランシュの結婚による和睦という市民からの提案

ここでまたミュージカルよろしく、ルイ役の白石隼也さんと、ブランシュ役の植本純米さんが
芹洋子さんの「赤い花白い花」を1コーラスずつお歌いになったらしく…って
それまで、はすっぱな感じでタバコを吹かしていたブランシュが
胸の前で両手を組み、上目遣いにパチパチとまばたきをしながら、超ぶりっ子状態となり(笑)

ウットリとした様子で、ルイの歌声に酔いしれたあと
植本さんが、ルイに歌を贈る段になると、もちろん男性の声ではなく
そのぶりっ子状態にふさわしい可愛い裏声で歌われたものの
やはり高音部は苦し気なご様子で、振り絞るように発声なさっていたみたいで
奥さんが思わず「頑張って~!」と念を送っていたら(笑)

「♪白い花白い花あの人の胸に~…い~♪」とナンとかサビを歌い上げられ
一瞬のブレイクの間に大きく息継ぎなさっていたらしいんですが
その植本さんの傍らで、苦し気なお顔で聴いておられた吉田ジョン王も
同じタイミングで大きくブレスなさっていることに気づき大笑いして(笑)
周りの皆さんをちょっと驚かせてしまったそうです(苦笑)

以前に甲斐さんが「ドラマの中で、自分が映っていないシーンでも、その場にいる設定なら
自分の役柄を演じ続けてる役者が良い役者だ」と話されたことがあったけど
同じシーンを別の角度から何度も撮影するドラマとは違い

そもそも舞台では、その場面で板の上に立たれている限りは
主演の方やセリフを発しておられる方以外の役者さんも全て
その場面に則した演技をなさってる訳で、観客が、どの役者さんに注目するかは自由だし
また、どのタイミングで照明やセットに目を奪われるか?判らないし
やはり「生」ならではの緊張感は半端ないでしょうね?

そのジョン王が、こんな苦肉の策の政略結婚にも関わらず、瞬時に恋に落ちたらしいルイに
「本当にこの娘を愛せるのか?」と訊ねると
「むしろ『愛さずにいられるのか?』とお訊ね下さい」とルイ皇太子
「ずいぶんとご都合主義な…」と思った一方で
写真のない時代、宮廷画家の描いた…つまり、かなり「盛った(笑)」肖像画を眺めるくらいで
各国の王族が直接顔を合わせる機会などほぼ皆無に等しかっただろうし
本性はどうであれ?(笑)植本ブランシュは可憐な姫君だし…とも考えたんだとか…(笑)

ただ、この和睦はその後、ジョン王がローマ法王から破門されたことで
法王を畏れたフランス王によって破られ、再び戦が始まり
結果、アーサーはイギリスに幽閉される羽目となり、コンスタンスは半狂乱…って
この場面での玉置さんの演技は、本当に我が子を失った母親そのものにしか見えなかったらしい

ちなみに…吉田さんは、法王の帽子を引っぺがして、ステージ際まで出て来られ
最前列の観客の方に「要る?(笑)」といった感じで差し出されるそうですが(笑)
東京公演の時の観客の方の反応はいざ知らず
「そんな風に大阪の客をイジったら…」と奥さんが思った通り(笑)
「要る!要る!」と言わんばかりに、何度も大きく頷き、手を差しのべる方ばかりで(笑)
吉田さんは「イヤイヤ…(笑)」と首を振られてクスクス(笑)

ともあれ…この壮絶な場面を最後に第1部が終わると、休憩に入り
その余韻に浸る間もなく、バタバタと席を立たれる方多数…(苦笑)
毎度お馴染みのトイレ争奪戦が始まったそうで
奥さんもいつも通り(笑)圧倒的に女性客が多かった頃の甲斐バンドのライブ会場を思い出しつつ
ロビーに出て、その行列に並んだみたいだけど
それは、女性用トイレではなく、女性用に開放された男子トイレへの行列だったらしく
個室が2つしかないため、席に戻った途端に第2幕が始まったんだとか…(苦笑)

さて、第2幕は、ローマ法王の使いであるパンダルフ枢機卿(廣田高志さん)が
ルイ皇太子に、今のこの不利な状況を逆に利用し、イギリスに進軍するよう勧め
一方、ジョン王は、アーサーの存在を疎ましく感じており
それを腹心ヒューバート(高橋努さん)に匂わせ
ヒューバート自身から、アーサー暗殺を口にするように仕向け…といった不穏な展開で始まり

…って、この吉田さんと高橋さんの密談のシーンでは
「吉田さんの距離の詰め方が激しいなあ(笑)」と思っていた奥さん
うっすら予想していた通り、高橋さんの唇にブチュー!(笑)
全くのアドリブではなかったみたいですが、そのあとの高橋さんが
ちょっと困ったような?照れたような?表情で口元を覆われ
それから、そっと唇を拭っていらしたらしく、またまた大笑い(笑)

イヤ、奥さんは最近のドラマ…「日本沈没」や、甲斐さんご贔屓の「ドクターホワイト」
「祈りのカルテ」…などで、高橋さんをよくお見かけしていて
その風貌が今回の「ズーズー弁で話す」朴訥なヒューバートに「ピッタリ!」と思ったらしく
そのリアクションが、役柄だけじゃなく、高橋さんご本人にもマッチしている気がして
「ミョーにツボに入っちゃった(笑)」そうです(笑)

ちなみに、高橋さんはプログラムの中で…「ヒューバートはジョン王ともよく絡むので
それぞれ全く違う(2人の)ジョン王と相対するのもすごく楽しみです
鋼太郎さんは本番が始まっても絶対に芝居を変えてくる人なので
全てにおいて対応してやろうと心に決めています(笑)」と話されているんだけど

やはりアーサーを亡き者にすることが出来ずに
密かに逃がしてやり、アーサーは死んだと噂を流したことから
ジョン王の周囲の貴族たちは次々と離反して行き、孤立してしまったジョン王が
アーサー暗殺をほのめかした際に、何故それを諌めなかったとヒューバートを責める場面では

吉田さんが、高橋さんの頬をそこそこの強さで何度もハタかれ
そのたびに高橋さんが「痛っ!」「あっ!痛っ!」と頬を押さえて逃げ回られる件があり
その高橋さんのリアクションが面白くていらしたのか?(笑)
回を重ねるごとに、その件が長くなっていたんだとか…(笑)

この件のあと、ジョン王は、アーサーが生きていると知り、ホッとしたのも束の間
アーサーは自ら命を絶ってしまい、貴族たちは和解を受け入れず、フランスに加勢するに至り
ジョン王は、ルイ皇太子率いるフランス軍を追い払って欲しいと
パンダルフ枢機卿に頭を下げるも、ルイ皇太子は引かず…

…が、離反した貴族たちが、戦が終われば、いずれ処刑されると知って
再びイギリス軍につき、次第にイギリス軍が優勢となると
ジョン王は修道士の盛った毒で、命を落とす…という場面で、物語は終了…

イヤ、アーサーがヒューバートに懇願する場面や、城壁から身を投げる場面
そのアーサーの亡き骸を発見した貴族たちが嘆き悲しみながら
岡林信康さんの「自由への長い旅に出る」を歌われたり
ジョン王から権限を与えられた私生児が、斎藤哲夫さんの「悩み多き者」を口ずさまれたり

…と、見せ場は数々あったそうですが、翻訳家の松岡和子さんが
「『対立』『対決』という関係性に挟まれて『選択』という行為が生まれます
すると、選択する人を『説得』する行動が出て来るし、選択を迫られた人間には
どちらを選ぶかという『葛藤』が生じる
この作品の魅力は、老若男女を問わず、登場人物たちがあらゆる言葉を尽くして
相手を動かそうとする『言葉の応酬』にある」とおっしゃっている通りとはいえ

以前に、甲斐バンドの「からくり」の歌詞に触れた寄稿文をお書きになった浜矩子さんは
「昨日の敵は今日の友、今日の友は明日の敵
この連中は、何と言う節度の無さを持って喧嘩と和解を繰り返すのか
ジョン王もフランス王も、舌の根の乾かぬ内に、手のひら返しの立場変更を連発する

『あれよあれよ』展開の原動力となっているのが『私利私欲』というキーワードだ
ひたすら私利私欲に基づいたご都合主義が貫かれる時、人は高潔な魂を失う
そして、全ての登場人物が高潔な魂を失った時、何が起こるか
『ジョン王』がそれを我々に語りかけて来る

台本を読む限りでは、このお芝居には、どうも辻褄が合わないところがあるように感じる
これは、翻訳台本の問題では全くない
だから、その辻褄の合わなさは、超僭越ながら、シェイクスピア先生の作劇の問題だろう
先生の作品には、意外とこういうことがままある。むら気なのかも知れない」と記されていて
奥さんが、チラッと感じた「ご都合主義」は、まんざら的外れでもなかったみたいです(苦笑)

ちなみに、この浜さんのレビューのタイトルは「全部シェイクスピア先生のせい」…(笑)
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、小栗さんが撮影現場で着用されるマスクに
様々な文言やイラストをお書きになっていたことが話題になってたけど
一番バズったのは「全部、大泉のせい」だったのを思い出し「さすが浜先生!」とクスクス(笑)

それはともかく…ジョン王の最期をもって終演となり
亡くなられていた吉田さんが起き上がられると
他のキャストの皆さんも舞台に出て来られ、全員で観客の拍手に応えていらしたそうですが
ただ1人、小栗さんだけは、最後の場面の表情を保たれたまま、立ち尽くしておられ
「えっ!?なに?どーゆーこと?みんなもうステージから降りちゃったよ?」と思った途端

クラブで流れているような派手なサウンドと、まばゆいばかりの照明と共に
現代風の「戦士」の出で立ちのヒューバート高橋さんが銃を構えて登場され
小栗さん演じるリチャードに、その銃口を向けると
小栗さんは、一瞬、戦う素振りをお見せになったものの、すぐに戦意を喪失なさったご様子で

武器を投げ捨て、鎧やブーツを脱ぎ捨て、元のパーカーとジーンズ姿に戻られ
そのまま、ステージを降り、客席の通路を通って、ロビーへと続く扉の向こうに去って行かれ
その小栗さんの背中に、ずっと銃口を向け続けていらした高橋さんだけが
舞台上に残っておられるのを拝見して

「また誰かが出て来るの?」と後ろを振り返ったり
「えっ!?私、狙われてる!?」とビビったり(笑)
この幕切れに戸惑ったのは、奥さんだけじゃなかったみたいだけど
一番残念だったのは、ダブル、トリプルのカーテンコールがなかったために
もっと拍手したり、スタンディングオベイションで演者の皆さんをねぎらえなかったことらしい

ただ、吉田さんは、今回の「ション王」の演出に際して
コロナ禍で中止を余儀なくされた2020年とは世相が大きく変わってしまったことを受け
「全編戦争を背景にした作品を、現実に起きている戦争と切り離して考えることは出来ない」
…と、上演台本も自ら手掛けられたそうですし
この最後の「無言劇」には「現実」に対する思いが込められているんじゃないかと…?

余談ですが…今回の公演では、マスク着用の上、検温や手指消毒はもちろん
「場内での飲食や会話はお控え下さい」などの感染拡大防止対策がなされていたものの
規制退場はなくなっていたみたいで、徐々に規制緩和されつつあるのは喜ばしいですね♪

…と、この記事を完成するまでに、半分過ぎた辺りで1度、ほぼ書き終える直前で1度
保存したはずの記事が消え去るという事態が勃発して(汗)
心が折れるを通り越し「サバ折り」にして丸められたくらいのダメージを負ったんだけど
ナンとか完成させた自分を思いっきり褒めてやりたいと思ってます(笑)

そうそう!埼玉会館での大千秋楽公演がWOWOWでライブ配信されるらしいんですが
奥さんは「ネタバレ防止」のために見送った東京公演の配信の再配信を熱望中(笑)
「フランス王役の吉田さん」もさりながら、小栗さんが渋谷の街から入って来られるという
「登場シーンが観たい!」と騒いでおります(笑)

ちなみに…甲斐さんのパネルが当たったら、その受け取りに行く口実(笑)として
埼玉大千秋楽公演を観に行こうと計画していたのは、残念ながらお流れとなりました(笑)
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