厳寒の、山岳豪雪地帯。
雪のつぶて吹き荒れる、極寒の雪渓。
この、血みどろの手負い人喰い熊を、死闘の末、遂にしとめたのが
孤高のマタギ犬、その名も「マカ」
あなたさまの目にはひょっとして
「うすらはげちょびれの、白黒シーズーの男の子」
に、映っているのかもしれません。
ですけれど
それは気のせい。
幻影です。
この犬こそ、まぎれもなく
あの伝説のマタギ犬
その勇猛で名を馳せた
「鬼牙(オニキバ)のマカ」
鬼牙のマカ。
カンジキを履いた足が凍えぬうちに、さっそく熊の胆(クマノイ)を獲ってこい。
ビョォォォォォォォッ!
ああ、寒風が吠えている。
雪の嵐が、熊撃ち猟師の頬を打つ。