日本水工コンサルタント 社員ブログ

自然との調和に配慮し、農村と都市の新たな風景を創造する

「鬼首かんけつ泉」

2023年10月30日 | 旅行
 先日、こけしで有名な宮城県の鳴子温泉に行った帰りに鬼首かんけつ泉を観てきました。一度、学生の頃に訪れたことがあったので2度目の訪問となります。

 鬼首かんけつ泉には、約10分間隔で15m程噴出する間欠泉「弁天」と、10~20分間隔で2~3m噴出する間欠泉「雲竜」の2つの間欠泉があります。
 間欠泉とは火山性熱源により地下水が温められ水蒸気が発生し、その圧力が限界に達すると垂直に地上高く吹き上がる現象です。

-間欠泉が噴出する仕組み-
 そもそもなぜ地上10mを超えるほどの凄まじい勢いで地中から水蒸気が吹き出すのでしょうか?間欠泉の仕組みには、2通りの仮説が存在します。
一つ目は「空洞説」。
 空洞説概要図より空洞説を説明すると、図の通り、地下に空洞Aが存在し、噴出管aを通じて地上と繋がっています。空洞内の水が地熱により加熱され、空洞A内の水蒸気圧が上昇すると、噴出管aに溜まった水を押し出す。ある程度の量が噴出されると、噴出管a内の水蒸気圧が低下し、噴出が停止します。導管cから地下水が供給され、再び空洞Aの水蒸気圧が上昇すると、再噴出が起こります。何度か噴出・休止を繰り返すうちに、導管bおよび導管cから空洞Aに低温の地下水が供給されて空洞Aの水蒸気圧が大幅に低下して、長期の休止期間に入るというものです。
 空洞説は、大量の温泉を長時間噴出する大規模な間欠泉は説明できますが地下空洞の認められない小規模な間欠泉の原理を説明することは難しかったようです。

二つ目は「垂直管説」。
 垂直管説は、ドイツ人のロベルト・ブンゼンにより1847年に提唱された説で、地面に対して比較的垂直に噴出管aがあり、噴出管a内に地下水が溜まり、溜まった地下水は、地熱により加熱され、下層部が沸点に達する。下層部が沸騰を始めると、生じる水蒸気の泡が噴出管a内を上昇し始め、それに押し出される形で緩やかな湧出が地表で開始します。
 噴出管a内の泡が増すにつれ、管内の水圧が低下する結果、下層部の沸点が下がり、一気に沸騰を始め、激しい噴出が始まる。しばらく噴出が続くと管内の熱水が無くなって噴出は終了し、休止期間に入る。噴出管aにつながっている導管bから新しい地下水が流入し、次の沸騰開始まで加熱されるというものです。

 鬼首の間欠泉は「弁天」が「空洞説」、「雲竜」が「垂直管説」ではないかと考えられています。
 間欠泉とは、温泉水と地熱が作り出す天然の噴水であり、温泉大国である日本では、全国各地で間欠泉を楽しむことができます。その迫力を間近で体感してみてはいかがでしょうか。

by 東北支店 T.K.




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