虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

地獄の剣豪 平手造酒(1954/日)

2004年12月07日 | 映画感想さ行
監督:滝沢英輔
出演:辰巳柳太郎 山田五十鈴 島田正吾 南寿美子 宇野重吉

 天保水滸伝のうち、平手造酒の部分をクローズアップした映画。新国劇スター出演。
 肺病が原因で、家も道場からも放逐されすさんだ暮らしの中で死に怯える平手が、お吟という女と知り合い、安らぎを見つけたか思われたが、やはりどうにもならない孤独の中で死んでいくというドラマ。

 それにしても無常な映画。破滅にのめりこんでいく悲劇は市川雷蔵が得意だったように思うが、彼には孤独に悲劇の底を覗く感覚がある。この平手はすがる物を求めて、でも素直じゃない。まるで目をつぶって奈落へ突き進むみたいだ。
 大山克巳があまりにも若くてチンピラ役してるのにびっくり。女郎役は香川京子だろうか。宇野重吉が、生きる為に用心棒もやってる飄々とした浪人役を演じて、辰巳柳太郎との対比がよかったです。
 時代の違いと、私が女だからのせいもあるかもしれないが、山田五十鈴のほうに視点の重心がよってしまう。

 私が「何で日本の男ってこんなに甘ったれなんだろう・・・」 高校生「何で日本の女って、こんなに面倒見ちゃうんだろう・・・」

 実は、6日の昼のBSで島田正吾追悼「大利根の対決」を録画したので、そちらを見ていたのだが、辰巳の狂気の演技がいいじゃないですか、というので辰巳主演のビデオ引っ張り出して見たのでした。ここでも、男の矜持、甘ったれ、未練、目をむきながら演じてるんですが、迫ってきます。やっぱりいい役者さんですね。島田正吾は比べるとすごく端正に見える。
 新国劇映画も血が飛ばない、形だけのチャンバラには違いないけど、スターはスターですね。押し出しのいいおじさんが揃っている。

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