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亭主在宅拒否症候群

2009-06-17 10:40:00 | 家族・友人
 友人A嬢が深刻な顔をしてやってきた。
どうやら定年退職した夫が家にいるようになったことで、強いストレスを感じているようだ。
夫は一日中何もしないでテレビばかり見ているし、三度の食事の支度も大変。
どこへ行くにも一緒についてきたがるし、あれこれと細かく指図ばかりしてくる。
妻の行動が気になり視線は常に妻の姿を追う......となると、これはもう図体のでかい三歳児のようなものでうっとうしいばかり。
仕事以外は趣味も生き甲斐もなにひとつ持ち合わせてこなかった夫の生き様を知り、今さらながら愕然として失望する。
A嬢は食欲もなくなって、夫の顔を見ると胃が痛くなり息苦しくなるという。

 『亭主在宅拒否症候群』(主人在宅ストレス症候群とも言う)のことがクローズアップされたのはちょっと前のこと。
この話題はいささか旬を外しているような感がするが、団塊の世代がごっそり定年退職を迎えた今こそ、大きな社会問題として再浮上してくるのではないだろうか?
我が家の事情と照らし合わせてみても、この問題の対策が最重要課題になりつつあることは明白だ。

 しかし夫の側にしてみれば、言い分はたくさんあるだろう。
家族や会社のために粉骨砕身で頑張り、少ない小遣いに文句も言わず、自分の好きなことは何もかも諦めてきた。
無事勤め上げ「さあ、これからはゆっくり休みたい!」と第二の人生のスタートラインに立った途端に、信頼していた妻から「顔も見たくない!」と突き放される人生を予測していただろうか?
「一緒に家庭を築き上げてきたのではなかったのか?」
夫たちの自負は砕け散り、悪い夢を見ているのではとおろおろと......

 もちろん妻たちも、夫の功績は理解し充分感謝はしているのだ。
子どもたちが家を出て自活し、夫婦二人きりになった人生を見直し大切にしていかなければならないという自覚も持っている。
それでも忍び寄る『亭主在宅拒否症候群』

 夫たちは妻たちの実情をよく認識していない。
妻たちは.......子どもを育て夫や舅・姑の世話をし、学校関係や地域のコミュニティに参加し、また趣味やボランティア活動などを通して、生きていくために必要な知恵や様々な人間関係を学習してきた。
妻たちの豊富な人生経験は、仕事一途の会社人間の夫たちの比ではなく、実は揺るぎない自己を確立する努力をしてきたのだ。
退職したら抜け殻のようになって妻に依存し始める夫族とは訳が違うのである。
ごろごろとテレビばかり見ている夫、自分のことを自分で出来ない夫、なにかと口だしばかりしてくる夫、妻の行動を監視する夫、妻同伴でなければ買い物も外出も出来ない夫.......突然このような実態を臆面もなくさらけ出してくる夫には我慢が出来なくなって当然だ。

 『亭主在宅拒否症候群』は、日本独自の社会風土や文化(アメリカではあり得ないだろう?)が作り上げてきたものかもしれない。
また、コミュニケーション不足に鈍感であった長い夫婦関係の歴史が作り上げたものでもあるだろう。
夫婦間のコミュニケーションが成立していれば発生しないのではないだろうか?
一方だけの責任ではなく、夫婦で解決していかなければならない問題であることは確かである。
まずは理解と歩み寄り(難しいことだが)
そして夫族には、自立した夫婦関係とは何であるかということをもっと勉強してほしいと切に願う。
妻の方はかなり自立しているのだから。 

 
 

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24 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (風の又三郎)
2009-06-17 14:00:56
定年後の夫が「濡れ落ち葉」と揶揄されるのはまさにこのような、梅雨のようにうっとおしい纏わりつきなのであろうと察します。でも、定年は突然やってくるわけではないし、会社勤めがなくなる事も前もって解っていることですから、、nihaoさんが言われるように、夫婦が二人で定年後の生活を話し合い、かつ、その日が来るまでに、それぞれが具体的に努力することがとても大切なのではないかと思い始めています。それに定年直後の気持ち悪さだけではなくて、次にやってくるのは、どちらかが先に逝ってしまったあとは、気持ちの面や生活のスキルだけでなく、それぞれが(特に夫が)本当の意味で自立していないと次は、子供に迷惑をかけることになります。そういう意味では、私は3年前に大阪転勤となり、初めて家族と離れて今も、単身赴任生活をしているわけですが、「単身」という「ひとりぼっち疑似体験」を体験することが出来たことで、掃除をする、洗濯をする、ゴミを捨てる、料理をする、クリーニングを出す、引き取る・・・・などの日常生活のなかで、ほかにやってくれる人がいないということで「自分のことを自分でやる」ということが自然に出来るようになっただけでも大きな収穫であったと考えています。たまに帰省して自分で料理を作ったりすると嫁や子供が驚きます。数年前に、会社で定年後のライフプラン研修を受けましたが、80歳までの収支を含めたシミュレーションをベースに嫁と話し合ったことで現実を共有できたかもしれません。結論として、妻は「言いにくい話を先送りにせず、夫を自立させる訓練」を決意し、夫は「俺は家族のために長い間働いてきたんだから当たり前だ」という気持ちを改め、「自分のことを自分でやる」決意をすれば八割がたは前向きな話になるんではないかなあなんて思ってます。
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なんとなく・・・ (すずめ)
2009-06-17 14:48:16
この気持ち、最近ちょっとわかりかけた所です。
お互いにビミョ~なズレが生じてくるんです。
どちらも長い間の生活パターンというものがあったわけですから
それをいきなり変えようとすると無理があるのでしょうね。
我が家はまだ数年ありますけれど、春から一緒に生活してみて
最初はお互いに緊張というのも変ですが、とても気を使っていました。
宿直の夜、見たいテレビを見て一人ぼ~っとして和んでいる私がいました。
今はようやく落ち着いてきた所です。
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又三郎さんへ (nihao)
2009-06-17 15:52:54
男性には不快に思われるのではと覚悟していましたので、このような明快なご意見をいただけて大変嬉しく思います。
『亭主在宅拒否症候群』は、何と言っても夫側の意識の変革なしには解決できない問題です。
妻にとっても、理屈ではなく感情に支配された症状だから厄介です。
最近の日本の家族が抱える病巣は、親子関係にしても夫婦関係にしても、とても複雑かつ深刻で出口を見つけるのが難しいですね。

又三郎家はご夫婦の意識が確立されているので、全然心配はありませんね。
又三郎さんは、自分のことは自分で出来るスキルや、なによりも趣味や生き甲斐をお持ちです。
実は妻たちが一番夫に望んでいることは「趣味と生き甲斐」
又三郎さん、ほら、だいじょうぶでしょう?
気を使って「おまえも一緒に!」などと妻を巻き込むのはタブー。
簡単に言ってしまえば「亭主元気で留守がいい」に尽きるのですが(笑)
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すずめさんへ (nihao)
2009-06-17 16:09:11
すずめさんのところは、長期間の単身赴任生活が明けたばかりですものね。
最初はお互いに希望に溢れた生活のスタートだったのに
>お互いにビミョ~なズレが生じてくるんです
......って、ホントにそうですよね。
それでもまだご主人が現役だから問題が深刻にならないけれど、A嬢のような問題を抱えているご夫婦はたくさんいます。
ストレスで癌になることもあるという『亭主在宅拒否症候群』
輝かしいはずの第二の人生のスタートが、そんな苦しい結末にならないように、お互いの生き方を今から検討しておかなくてはなりませんね。
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Unknown (京こまめ)
2009-06-17 18:02:30
『亭主在宅拒否症候群』それらしき話はよく耳にしますね。

”そのとき”になってみないとわからないものなんでしょうね。
それも夫婦で乗り越えていかないといけない大きな課題。アハァ~。
いっしょに乗り越えて行けるような状態を保っていないとね。
ああ・・それもお互いの努力なんですね。
なんだか私の方が、濡れ落ち葉状態になるような気がする~。
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こまめさんへ (nihao)
2009-06-17 19:57:02
もちろん『亭主在宅拒否症候群』とは無縁の妻も大勢いるから、こまめさん、「アハァ~」なんてため息はつかないで(笑)
いつも夫婦で何かをする習慣のある人は、夫の退職を心待ちにしているのかもしれないけれど、ほとんどの妻たちは自分の世界を確立しているような気がします。
それに比べて自分のことも自分でできない夫。
だからどうしても夫が濡れ落ち葉のようにうっとうしく感じてしまうんですね。

>なんだか私の方が、濡れ落ち葉状態になるような気がする~。
うふふ、とても面白い所感です。
妻の生き方としては、それもなかなか楽かもしれませんよ。
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Unknown (A嬢)
2009-06-17 22:30:47
夫は仕事をしているから夫としての存在感があり、叉必死になって家族の為に働いている夫に何一つ文句も言わずに従えて来た。昔の母は、女を作るわけでもなく、賭け事や酒に飲んだくれるわけでもなく、せっせと家族の為に働くだんな様に文句を言うなんてバチがあたる・・・。そんな教えのもとに育った私は、家の事は何もさせな過ぎたと今更ながら反省しています。仕事を辞めたらああしたい、こうしたいと思ってもいざその時がくると、明日明日って言ってるうち何もしないで終わってしまうと言う事が案外多いと思う。ところが妻は、常に進化を続けようといろんな事に興味を示し、「夫婦・・家族」と言う絆にお互いに甘んじて生活していた。いない間はお互いに見えない部分が良しとされたが、夫の退職を機に常に見えてしまう。言いたい事を言い合ってきた夫婦は、どちらかが気持ちを察しそれなりに対処できるだろうが、相手の嫌がることを言わないですましてきた夫婦は、これからも言わずお互いが自分を変える努力をして行くしかないのではないだろうか?
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A嬢さんへ (nihao)
2009-06-18 09:29:59
まさかA嬢さんからコメントくると思っていなかった
でもA嬢はどこにでもいるし、私も現在スモールa嬢。

>これからも言わずお互いが自分を変える努力をして行くしかないのではないだろうか?
コミュニケーションが不足したまま形成された夫婦関係であれば、今さら話し合いをすることは難しいですね。
夫たちは、常に自分の尺度でしか判断しないし勉強不足も甚だしいけれど、でもいつかきっと妻の心中に気がついてくれるはず。
夫たちにとっても『亭主在宅拒否症候群』問題は、今まで家族の問題を真剣に考えてこなかった罰のようなものかもしれません。
互いの行動を観察ばかりしていると気分が悪くなるから、見たくないことは見ないようにする訓練も必要ですね。
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いい話^^ (umi)
2009-06-18 12:22:04
私にピッタリな話^^
定年が60なのが解せないと思うんです、昔ならヨボヨボな60歳がイメージがあったけど、今の60歳は20~30年前の40歳くらいにしか見えないと思うですが。
後10年、70歳までが現役でも大丈夫!?働け~~とダンナに向かって叫びたい!
実際自営なら70過ぎても働くのが当然ですもん。
でも当の60歳たちは充分働いたと思ってるんでしょうね。
我が家はお互いに放し飼い状態だからまだいい方と思うようにしてるんだけど、それでも日中に家に居られるとストレスばかりな今日この頃・・・・。
nihaoさんがスモールa嬢。なら私はプチA嬢。

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umiさんへ (nihao)
2009-06-18 14:54:48
確かに60歳退職は早すぎますね。
第二の職場ばあればいいのですが、今はそんな恵まれた時代ではありません。
向き合って暮らしてきた経験のない夫婦たちが向き合うことになるのだから大変です。
『亭主在宅拒否症候群』は、これからますます深刻化していくと思います。

>我が家はお互いに放し飼い状態
それが一番!
要は、夫たちが退職後の人生を積極的にエンジョイすることが大切よね。
楽しんでいないから妻たちに疎まれるのだと思います。

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