猛暑の後よりこの方、暖かく穏やかな晴天が続いている。
冬が来るのを忘れてしまいそうになる心地よい秋日和だ。
とは言え、あと僅かで冬は確実にやって来る。
雪が降る前にどこかに出かけた方がよいのではないか? そうだ!
青森秋田をまたがる世界遺産・白神山地まで、今年最後の日帰り長距離ドライブに行こう!
...と思い立って出かけたのが先週の金曜日。
白神山地は、青森県南西部から秋田県北西部にまたがる広大な山地の総称で、このうち原生的なブナ林で占められている区域が1993年12月に世界遺産として登録された。
紅葉にはちょっと早過ぎたのが残念。
途中で○○博物館とか○○資料館とかを発見すると必ず寄って見学する。
もちろん道の駅は...すべて寄り道の駅となる。
計画的な行動が苦手な我らの予定はどんどん狂っていく。
日本海のロケーションを眺める五能線の列車に乗ったり、十二湖に寄るはずの予定が何ひとつ果たされないままいつの間にか午後4時となり、不老不死温泉に着いた。
不老不死温泉は、海辺の露天風呂に入りながら日本海に沈む夕日を見ることができる人気スポットだ。
この温泉を体験した人たちは皆、口を揃えて「一度は行った方がよい」と言うので楽しみにしていたのだが....
ああ、なんと! 日帰り入浴の受付は午後3時半で終了していた。ショック。
温泉側としては、このような形で宿泊客と日帰り客へのサービスの違いを明確にしているのだろう。
仕方ない。諦めるしかない。はたして次の機会はあるだろうか?
写真だけ撮らせてもらった。
不老不死温泉の入浴が不可能になり、急浮上したのが『白神ライン越え』
白神ラインは全長70㌔のうちの40㌔以上が未舗装のダートコース。
道幅は狭いし、タクシー運転手も嫌がるほどの悪路で有名。
当初の計画ではこの道は避けて弘前に出る筈だった。
しかし我らの頭は、不老不死温泉に断られたことで血がのぼっていたか?
世界遺産探訪の記念として無謀な山越えを選択してしまう。
悪路とはいえ、70㌔なら2時間で走破出来るだろうと思ったがたっぷり3時間はかかった。
道の起伏はジェットコースター並みで胃下垂になりそう。
途中、お猿の親子や得体の知れない小動物と出会ったりするものの、走っても走っても里の灯火は見えない。
そのうち日は落ち夜になった。
空には盆のように丸くて大きなお月様が浮かび、奥深い原生林を不気味に照らす。
走っても走っても進んでいる感じがしない。
山賊が現れても不思議ではない。
人虎となりさがった男(山月記 by中島敦)に、突然行く手を遮られても驚かないかもしれない。
夜の白神ラインは妄想を駆り立てるミステリーゾーンだった。