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マダムnihaoのフレッシュ搾りたてブログ。お気軽にお立ち寄りください。

オペラの秋

2010-10-04 10:45:00 | Weblog

           


 ウィーンの森バーデン劇場のオペラ、プッチーニ作曲『ラ・ボエーム』を観に行ったのが10月1日。



               




 ソプラニスタ岡本知高コンサートに出かけたのが10月3日。
切なく美しいオペラのメロディーが今朝もまだ頭の中に響き渡っている。

 
 『ラ・ボエーム』は珍しく夫と一緒に出かけた。
オレは一度もオペラを観たことがない!
と頑固に言い張る夫だが、以前夫が大病する直前に二人で観に行ったことがある。
実は病気のショックで記憶が喪失している部分があって、話がかみ合わないことが結構ある。

 『ラ・ボエーム』は詩人ロドルフォとお針子ミミの哀しく美しい愛の物語。
19世紀初頭の革命で自由を得たパリの若き芸術家たちの青春群像を描いた名作で、劇中のアリアや二重唱曲が有名な聴き所満載の演目だ。

 でもなぜか...演出のせいなのか...盛り上がりに欠けていてあまり面白くなかった。
当然ながら夫もつまらなさそう。例の如く
オレはもうオペラには行かない!お前ひとりで行ってこい!
絶対にそう言うと思っていたが、この場合は大歓迎だ。
「では謹んで、今後はそのようにさせていただきます!」


 ソプラニスタ岡本知高コンサートは実に素晴らしかった。
話題をさらったTVドラマ「牡丹と薔薇」の主題歌ヘンデル作「涙のアリア」や、東レCM曲のカッチーニ作「アヴェ・マリア」などを耳にし、その奇蹟の歌声を一度はライブで聴いてみたいとずっと思っていた。

 コンサートは矢巾町にある『田園ホール』の開館20周年行事のひとつだったので、チケットは割安の2500円。
『田園ホール』は、ベートーヴェンの交響曲第六番からその名前をつけたのだろうと考えていたが、行ってみたらなんと本当に稲刈りの終わった田園地帯のど真ん中にあった。


 ドラゴンクエストのボスキャラをイメージしたと言う豪華な衣装に身を包んだ岡本さん。
男性でありながら女性ソプラノの音域を持つ歌手ソプラニスタは、世界でたった3人しかいないそうだ。
ちなみに米良良一さんの場合は、もう少し低いメゾソプラノの音域。
裏声ではなく地声なので、岡本さんは話し声もソプラノだ。

 一見すると悪人顔だが、歌い始めると顔中に優しい笑みが広がりとてもお茶目でチャーミング。
心に染みる温かいトークにも人柄の良さが偲ばれる。
クラシックだけではなく、人々の心に届く歌を提供したいと日本の古い愛唱歌などもたくさん歌ってくれた。
得意とする宗教曲はやはり圧巻だ。
その澄み切った敬虔なる歌声に、歌は祈りであると深く感じ入った。

 当日は矢巾町にある中学校や高校の合唱部も参加したので、会場は押しかけた老若男女で立錐の余地もなかったが、おそらく全員が一瞬で岡本知高さんの大ファンになったと断言できる。
聴衆が気持ちよく聴けるような構成と演出を心がけてくれていたような気がする。
特異な存在ではあるが誰からも愛されるアーティストだと思った。

 「しまった!こちらの方に夫と一緒に来るべきだった...
と後悔したが、今さらもう取り返しがつかない。