中国の歴代の外交基本方針と空母導入の関係
17日、中国の3隻目の空母「福建」上海の江南造船所で進水する様子が中国の中央テレビ(CCTV)を通じて放送されている/AP・聯合ニュース
中国は17日、3隻目の空母「福建」を上海沖合に進水させた。中国人民解放軍はこの日、甲板に大型の噴水で水をかけ爆竹を鳴らし、誇らしげに新空母の登場を祝った。24年前、製造を中断したソ連の空母をペーパーカンパニーを通じて秘密裏に購入した時とは、明らかに違っている。20年ほどの間に、中国に何かあったのだろうか。
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1980年代、空母保有欲が知られないように「戦々恐々」
「韜光養晦、才能を隠して内に実力を蓄える」
1980年代、中国の指導者の鄧小平・元中国共産党中央軍事委員会主席が採択した中国の主要外交方針だ。1970年代末に改革開放を始めたが、当時は自立の条件を揃えられなかった中国が、米国などの西側の牽制を受けずに成長するため、やむを得ず選択した外交路線だ。
実際、中国は空母を保有したい欲求が西側に知られないよう戦々恐々としていた。中国は、1980年代からオーストラリアなどの廃空母を購入し、研究用ではないくず鉄の再利用やレジャー用などを装った。
中国は1998年、ウクライナからソ連時代に建造が中断された空母を購入したが、この時はマカオの観光会社が海上カジノを作るために買い取ることにして、購入主体と目的を欺いた。マカオの観光会社は事務所のないペーパーカンパニーで、会社の経営陣には中国人民解放軍の元将校が含まれていた。
中国は2002年、この空母を当初明らかにしていたマカオではなく、軍港である大連に運び研究を繰り返した。当時、西側メディアを中心に、中国が空母を保有しようとしていると報じたが、中国は猛反発し否定した。2002年12月、中国共産党機関紙「人民日報」は、「中国の空母保有説は西側の『中国脅威論』の産物」だとし、「経済開発に重点を置いている中国は、周辺国の安定した環境が非常に重要であるため、(周辺国を刺激しうる)空母は必要ない」と書いた。「韜光養晦」の基本方針に忠実な釈明だった。
18日に人工衛星で撮影された中国の3隻目の空母「福建」の姿/ロイター・聯合ニュース
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2008年北京五輪以降「真剣に考慮中」
「和平崛起、平和裏に立ち上がる」
2003年に中国の指導者になった胡錦濤前国家主席は就任後、中国の外交路線として「和平崛起」を打ち出した。もはや実力を隠さず、平和裏に世界で抜きん出るという意向の表明だった。胡前主席の和平崛起が浮上したのは、5年が経過した2008年、中国で北京五輪が開催されてからだ。過去最大規模の開幕式を通じて、中国はもはや過去の中国ではないことを宣言した。空母を保有するという意向も、この頃明確にした。2008年12月、中国国防部は国内外のメディアとの記者会見で、当時議論になった空母建造計画について、「空母建造を真剣に考慮している」と明らかにした。
それから4年後の2012年9月、中国では、ウクライナから1998年に購入した空母が「遼寧」に生まれ変わって登場した。14年かけて研究・改造した結果だった。排水量約6万トン、ディーゼル推進、スキージャンプ台方式の旧型空母で、中国自身も「訓練用」と低い評価を下したが、中国は第2、第3の空母建造計画を立てて準備した。
中国初の空母「遼寧」。米国の空母と違いカタパルト(射出機)方式ではなくスキージャンプ台方式/新華社・聯合ニュース
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習近平主席の就任後、2隻目の空母が4年で完成
「一帯一路、一つの帯と一つの道で西側に進出する」
2013年に指導者になった習近平国家主席が打ち出した拡張的な外交戦略のスローガンだ。「韜光養晦」から「和平崛起」を経た中国は、この時には米国の牽制に対抗し、外部への拡張を推進した。ただし、米国の力がさほど及ばない中国の西側、東南アジア、中央アジア、欧州やアフリカなどがターゲットになった。これに先立ち、2010年に中国は日本を抜いて世界第2位の経済国家となり、習主席はアメリカン・ドリームから取った「中国夢」の実現を掲げた。
2隻目の空母「山東」の建造は、習主席の就任直後の2013年にただちに開始され、2017年に4年で完了した。1隻目の空母が70%建造された状況で持ち込まれ、最終完了まで14年を要したことに比べると、飛躍的な発展だった。山東は排水量約6万トン、ディーゼル推進、スキージャンプ台方式で、遼寧と似た形だ。中国は「山東」を進水させた2年後の2019年に実戦配備し、空母の運用においてもかなりのノウハウを蓄積したことを示した。
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米中対立の激化のなか、3隻目の空母建造
「米国の前庭、太平洋へ」
西に向いていた中国の視線は、いまや米国の前庭といわれる東の太平洋に向かっている。中国は4月、南太平洋のソロモン諸島と安全保障協約を結び、別の南太平洋の島国キリバスを支援し、古い滑走路を改善した。中国の王毅外相は先月末、他の南太平洋の国を訪問し、安全保障・軍事協約を結ぼうと試みた。中国が南太平洋に軍艦と戦闘機を配備可能な拠点を設けようとしているという疑いが強まった。中国もその事実自体は否定せず「平和な交流のためのもの」だと主張している。
このようなさなかに、中国は17日、3隻目の空母「福建」を進水させた。先に建造された2隻の空母に比べ、大きさと性能が改善され、戦闘機を飛ばす方式が現代式に変わった。先の2隻の空母は戦闘機の性能の最大化が難しいスキージャンプ台方式だったが、「福建」は戦闘機の性能を最大限発揮できるカタパルト(射出機)方式が採用された。外部の動力を利用して戦闘機を飛ばせるようになり、戦闘機の作戦範囲が広がり、攻撃力も高まることになる。
特に中国は、この空母の名称を台湾の対岸の省の名を取り「福建」としたが、台湾に対する牽制と警告の意味を込めたものだという見方が出ている。台湾は最近、米中戦略競争の中核として浮上している。中国は、2035年までに計6隻の空母を確保し、米空母船団が台湾海峡1000キロメートル以内に進入できないようにすることを目標にしている。
北京/チェ・ヒョンジュン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )