北朝鮮のICBM発射は、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長の現地指導で今年7月12日に行われた個体燃料式ICBM「火星砲18型」の2回目の発射実験以来、約5カ月ぶり。

2023-12-19 19:18:31 | 朝鮮を知ろう。
北朝鮮

5カ月ぶりに再びICBM発射…朝鮮半島のパワーゲームが危険水域に

登録:2023-12-19 06:22 修正:2023-12-19 08:01
 
 
今年7月12日、金正恩朝鮮労働党総書記兼国務委員長の現地指導で行われた北朝鮮の新型固体燃料大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星砲18型」の発射実験の場面/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮が18日、固体燃料式大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した。韓国と米国が核協議グループ(NCG)第2回会議(15日・ワシントンDC)で「核作戦シナリオ」を韓米合同演習に加えると明らかにしたのに続き、米国の戦略原子力潜水艦「ミズーリ」(SSN780)が17日、釜山(プサン)海軍基地に入港したことに対する反発の側面が強い。北朝鮮のICBM発射は、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長の現地指導で今年7月12日に行われた個体燃料式ICBM「火星砲18型」の2回目の発射実験以来、約5カ月ぶり。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は北朝鮮のミサイル発射直後に召集された国家安全保障会議(NSC)常任委員会に出席し、「韓国領土と国民に対する北朝鮮のいかなる挑発にも直ちに、圧倒的に対応せよ」と指示した。年末の召集が予告された北朝鮮労働党中央委第8期第9回全員会議を控え、南北間の「パワーゲーム」で朝鮮半島情勢の危機指数が急上昇している。北朝鮮の3回目の軍事偵察衛星打ち上げの成功(11月21日)をめぐり南北間の対立が深まる中、9・19南北軍事分野合意書が無効化し、偶発的な軍事衝突の危険性を懸念する声も高まっている。

 合同参謀本部(合参)は「韓国軍は今日(18日)8時24分頃、北朝鮮が平壌(ピョンヤン)一帯から東海上長距離弾道ミサイル1発を発射したことを把握した」とし、「高角に発射され、約1000キロメートル飛翔後、東海上に弾着した」と発表した。NSC常任委員会は「固体燃料を使った長距離弾道ミサイル」だと明らかにした。固体燃料式弾道ミサイルは液体燃料より燃料注入時間が短く、奇襲的な発射能力が強みとされており、有事の際に北朝鮮のミサイル発射の気配を把握し、発射前に破壊することを目指す韓国の「キルチェーン」の作動を困難にする。

 日本政府は「発射されたミサイルは大陸間弾道ミサイル(ICBM)級で、最高高度6000キロメートルを超えるもので、飛翔距離は約1000キロメートル、飛翔時間は約73分」だとし、「9時37分頃、北海道の奥尻島の北西約250キロメートルの日本海の、日本の排他的経済水域(EEZ)の外に落下したものと推定される」と発表した。飛翔距離を短縮するためにわざと直角に近く発射する高角発射の場合、最高高度の2~3倍を正常飛行距離と推定するため、最高高度が6000キロメートルを超えたこの日の弾道ミサイルを正常角度(30~45度)で発射した場合、約1万5000キロメートル飛行が可能だとみられる。北朝鮮で発射されると、米本土までミサイルが飛んでいくという意味だ。

 合参はこれに先立ち、北朝鮮が17日午後10時38分に平壌一帯から発射した短距離弾道ミサイル1発が「約570キロメートル飛翔した後、東海上に弾着した」と明らかにした。 米国の原子力潜水艦「ミズーリ」が停泊している釜山(プサン)海軍基地が平壌から550キロメートルの距離にあるため、この発射はミズーリ艦を念頭に置いた威力示威といえる。

 北朝鮮は短距離弾道ミサイル発射直前、朝鮮中央通信が発表した「国防省報道官談話」で、「15日、ワシントンで『核協議グループ』謀議(会議)やらを開いた米国と大韓民国の好戦狂たちは、翌年8月の『乙支フリーダムシールド』の大規模合同軍事演習期間に核作戦演習を実施することを公開した」とし、「ワシントンに集まって核戦争の謀議をした直後、原子力潜水艦『ミズーリ』を朝鮮半島に出現させた米国の意図は明らかだ」と主張した。さらに「米国と大韓民国の無分別な軍事的威嚇行為で、朝鮮半島の安全環境はなかなか安定を取り戻せていない」とし、「朝鮮半島地域で核衝突の危機は、可能性の問題ではなく、時期の問題に変わりつつある」と主張した。そして「敵対勢力のいかなる武力使用の試みも先制的かつ壊滅的な対応に直面することになるだろう」と脅しをかけた。北朝鮮官営の「労働新聞」は「空元気で威勢を張っているうちに、虚を突かれることもある」という見出しの「朝鮮中央通信社論評」を掲載し、9・19南北軍事合意をめぐる南北間の対立と関連し「最近、傀儡軍部の好戦狂たちが反共和国(反北朝鮮)対決策動にさらに躍起になっている」とし、「弱い犬ほどよく吠えるものだ」と韓国を非難した。

 北朝鮮のICBM発射は、軍事技術的な必要性、対外シグナルの発信、内部の政治的需要の3つの要因の関数をいかに解いていくのかによって決まると専門家たちはみている。北朝鮮が国防省報道官の談話を一般人民にも読まれる「労働新聞」に載せるなど、韓米に対する非難と敵対心の鼓吹に乗り出したことから、北朝鮮の2日間にわたる弾道ミサイルの発射には内部結束を狙った政治的考慮も働いたものとみられる。実際、「労働新聞」は「火星砲18型」の発射実験と「核武力の地位と核武力の建設に関する国家活動原則」を社会主義憲法に明示した事実などを取り上げ、「主体112(2023)年は主体朝鮮の輝ける国力と国威が誇示された意義深い年」だと自画自賛した。

 尹錫悦大統領は「韓米連合防衛態勢を堅固に維持し、北朝鮮ミサイル警戒情報をリアルタイムで共有する体系を活用し、韓米の共同対応を積極的に推進せよ」と指示した。さらに、「年末年始における北朝鮮のさらなる挑発の可能性に備え、対応態勢に万全を期すべきだ」と述べた。これを受け、イ・スンオ合同参謀作戦部長(陸軍少将)が同日午後、「今後発生するすべての事態に対する責任は、全面的に北朝鮮にあることを改めて厳重に警告する」という内容の「北朝鮮に対する警告声明」を発表するなど、韓国政府は強硬対応の方針を重ねて強調した。チョン・ハギュ国防部報道官は同日の定例ブリーフィングで、「韓米日のミサイル警戒情報(発射原点と飛行方向・速度、弾着予想地点)をリアルタイムで共有する体系の構築は最終検証段階にある。数日内に正常稼動させるため、3カ国が緊密に協議している」と述べた。

 米国のホワイトハウスは、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)がチョ・テヨン韓国安保室長、日本の秋葉剛男国家安全保障局長と北朝鮮のICBM発射について協議し、「国連安全保障理事会の決議を明らかに違反した発射実験を糾弾した」と明らかにした。

 一方、中国の王毅共産党中央政治局委員兼外相は同日、中国を訪問中の北朝鮮のパク・ミョンホ外務次官と会談し、「紛争が交差する国際情勢に直面し、中国と朝鮮は常に互いを支持し信頼し、友好協力の戦略的意味を明確にした」とし、両国間の協力拡大を約束した。

 元韓国政府高官は「南北が『拳には拳を』流のせせこましいプライドのぶつかり合いで、朝鮮半島の8000万人の住民の生活を危険にさらしている」とし、「何より深刻な問題は、一寸先も分からないほど危険な朝鮮半島情勢を積極的に管理しようとする主体が見えてこないことにある」と語った。

イ・ジェフン先任記者、キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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