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紀元前1000年以前の無文土器時代から紀元後7世紀の三国時代まで、朝鮮半島から日本列島に渡った移民の経路と、これらの人たちが日本の文化と社会の発展に寄与したことを、朝鮮半島からの「渡来人」の活動状況

2024-10-30 16:42:25 | 日朝関係史から未来をみる!
 

1500年前の日本の関西、朝鮮半島の祖先が住んだ場所だった

登録:2023-10-10 06:10 修正:2023-10-10 09:47

 

『渡来人の考古学と歴史』発刊 
米国の学者が古代韓日交流史をまとめた本
 
 
全羅南道咸平礼徳里にある新徳古墳の1990年代の調査時の姿。前方が四角で後方が丸い古代日本特有の前方後円墳だ。古墳の各所に石を積んだ跡(葺石)が見え、周囲を溝で囲む日本式の前方後円墳の典型的な姿をそのまま示している=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 最近、韓国人が最も多く訪れる海外の観光地の一つが、大阪のある日本の関西地方だ。日本で最大規模のコリアンタウンがあることでも有名なこの地域について、多くの韓国人は、20世紀初めに植民地となった祖国を離れた多くの朝鮮人が生計のために定着したところだと認識している。

 しかし、歴史的な真実は、関西に刻まれた古代の祖先の驚くべき足跡を伝える。『続日本紀』の8世紀初めの人口調査記録によると、1300年前の関西地方の中心だった南部の奈良盆地に住んでいた人の80~90%が百済系移民だった。それを立証するのが、関西地方に5世紀後半から登場する百済特有の墳墓の様式である横穴式石室墳で、6世紀まで爆発的に増加し、高安などの地域に「1000個の墓」という意味の千塚古墳群が雨後の筍のように登場する。一部のエリートの墓は王陵級であり、非常に大きいうえ、銅鏡、鉄製短剣、刀、金のイヤリング、玉・ガラス製品などが出土し、百済と馬韓系統の住民と支配者の存在を示している。未発掘の古墳は数百基にのぼり、関西地方だけでも少なくとも1000基を超える百済系の古墳群が造られたと推定される。歴史考古学者の石渡信一郎氏は「千塚と呼ばれる巨大な墳墓の主が朝鮮半島西南部出身の渡来人とその子孫であることを考えれば、紀元後475年から600年までの125年間に、少なくとも100万人が朝鮮半島から日本列島に渡ってきたものと考えられる」と推定した。

 
 
                                           『渡来人の考古学と歴史』表紙//ハンギョレ新聞社

 こうした事実は、米国で研究中の3人の考古人類学者が、韓国と日本で刊行された膨大な考古学と歴史学の刊行物の書誌情報をもとに分析・整理した学術書『渡来人の考古学と歴史』(周留城出版社)に出てくる内容だ。米国オレゴン大学のイ・ソンレ考古学名誉教授、オレゴン大学のメルビン・エイケンス人類学(考古学)名誉教授、英国ダラム大学のジナ・バーンズ日本学名誉教授が共同で執筆し、韓国伝統大学融合考古学科のキム・ギョンテク教授が翻訳した。この本は、紀元前1000年以前の無文土器時代から紀元後7世紀の三国時代まで、朝鮮半島から日本列島に渡った移民の経路と、これらの人たちが日本の文化と社会の発展に寄与したことを、朝鮮半島からの「渡来人」の活動状況を通じて集中的に探求する。

 この本は、古代の朝鮮半島からの渡来人の話を7つの質問を通じて解き明かしていく。これらの人たちはどこから来て、その歴史的・社会文化的な背景は何であり、なぜ朝鮮半島を去り、日本列島のどこに定着して何をしたのか。これらの人たちを日本列島の人たちはどのように待遇し、また彼らは日本社会にどのような貢献をしたのかについて、最近の研究成果をもとにわかりやすく解いていく。時代別に、稲作の伝来、青銅器文明の伝播、鉄器の伝播、宗教・文化的文物の大規模伝播などに区分される古代朝鮮半島の祖先の日本列島移住文化史は、絶えず流れる「河川のようなもの」であり、渡来人の話は、日本の始まりというミステリーの箱を開く重要なカギだとする洞察によってまとめられている。著者らは「日本が5~6世紀に古代国家の基盤をつくった革命的な変化は、技術と技能を持った人たちが入ってきて、技術的・文化的な革命を成し遂げたことによって可能だったもの」だとし、渡来人は古代日本の国家基盤を作った必須の要素だったと指摘する。

 
『古代韓日交流史』表紙//ハンギョレ新聞社

 今年上半期に出版された中堅考古学者のパク・チョンス教授(慶北大学)の力作である『古代韓日交流史』(慶北大学出版部)も、伽耶・百済・新羅からの文化伝播が4~6世紀の日本の古代国家成立の軸になったことを、考古学的な発掘の成果で論証した大作だ。3~5世紀の日本列島と隣接した朝鮮半島南部の伽耶圏の文化が日本との交流の主軸であり、金官伽耶と大伽耶の順に交渉の主体が移り、その後、新羅の伽耶吸収によって百済に交流の中心が移ることになる過程を、パク教授が集めた日本各地の詳細な考古学的な発掘成果を通じて論証し展開していく。日本とは敵対的な関係に変わったとされている新羅の日本との交易や文物交流は、一般的に言われているのとは違い、5世紀以降も活発に継続し、百済滅亡後は唐に対応する両国の外交的な必要によってよりいっそう深まったという事実を、日本各地の新羅系古墳遺跡の事例を通して示しているのが興味深い。

ノ・ヒョンソク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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 研究チームは今回の発見が、宇宙で活動する宇宙飛行士を放射線から保護したり、核汚染を浄化したりすることだけでなく、がんの治療法を改善することにも役立てられると期待している。

2024-10-30 14:24:02 | 科学最前線
 

1ミリのクマムシ、

人間の致死量の放射線にも耐えうる3つのシステム

登録:2024-10-30 06:53 修正:2024-10-30 08:56

 

クァク・ノピルの未来の窓 
 
戦争が起きると軍需品工場に変身するかのように 
放射線被曝時には2800個の遺伝子が発現
 
 
放射線から自分の体を守るクマムシの生体分子メカニズムが明らかになった=ピクサベイ//ハンギョレ新聞社

 地球最強の生存力を持つ動物とされるクマムシは、成体になっても1.5ミリメートルにも満たない、きわめて小さな節足動物だ。

 左右の8本の脚でゆっくり動くことから、緩歩動物(Tardigrada)と呼ばれるクマムシは、マイナス270度の極低温や150度を超える高温でも死なず、水がない環境でも数十年耐え抜く。大気圧の1000倍を超える圧力や人間の致死量の約1000倍になる3000~5000グレイ(Gy)の放射線量にもびくともしない。このような驚くべき能力のおかげで、過去5億年間に起きた5回の大絶滅でも強く生き残った。

 極限の環境で生き残る秘訣は、新陳代謝の活動を止めて体を休眠状態(Cryptobiosis)にする能力にある。このような能力は、老化と寿命延長を研究する科学者にとっての良い研究対象だ。

 これまで科学者たちは、極限環境に置かれる場合に生体物質を保護するトレハロースという糖分や、新陳代謝を遅らせるタンパク質などを発見した。しかし、1500種にのぼるクマムシが持っている生存能力の大部分は、いまだ解明できていない状況にある。

 中国の北京遺伝学研究所の研究チームが、放射線から自分の体を守るクマムシの生体分子メカニズムを解明し、国際学術誌「サイエンス」に発表した。

 研究チームは6年前、中国河南省の伏牛山で採取したコケの標本から、学界に未報告のクマムシ「ヒプシビウス・ヘナネンシス」(学名Hypsibius henanensis)を発見した。今回の研究はこのクマムシの遺伝子の分析結果だ。

 
 
                        クマムシはコケや川、湖の堆積物に主に棲息する=ピクサベイ//ハンギョレ新聞社

■放射線に耐えるための3つのシステム

 研究チームがクマムシのゲノムを解読した結果、このクマムシは1万4701個の遺伝子を持っており、このうち30%は緩歩動物にだけある遺伝子だということがわかった。

 研究チームは、クマムシに人間が耐えられるよりはるかに強力な200~2000グレイの放射線に露出させた後、クマムシの遺伝子に起きる反応を調べてみた。すると、DNAの修復、細胞分裂、免疫反応に関与する遺伝子2801個が活性化することを発見した。研究チームはこの過程で、クマムシが放射線を耐えられるようにする3つの分子システムを発見した。

 1つ目と2つ目は損傷したDNAの修復能力だ。1つ目の「TRID1」という遺伝子は、特殊なタンパク質を集め、放射線で損傷したDNAの二本鎖を修復するのに役に立つタンパク質を作る。また、2つ目の遺伝子は、ミトコンドリアのATP合成に重要だとされる2種類のタンパク質を生成する。このタンパク質もDNAの修復を助けるものとみられることを、研究チームは明らかにした。

 3つ目は抗酸化タンパク質の生成能力だ。クマムシの遺伝子の0.5~3.1%は他の有機体から得たものだと推定される。これを「水平的遺伝子移転」と呼ぶ。研究チームはこのうち、バクテリアから得たとみられる遺伝子「DODA1」が、ベタレインという4つのタイプの抗酸化色素の生産に関与することを発見した。この色素は、放射線に露出するときに細胞内で作られる有害な反応性化学物質の一部を除去する。放射線による細胞障害の60~70%は、この反応性化学物質に起因する。

 研究チームがベタレインの一種で人間の細胞を処理したところ、実際に放射線に対する生存力が大幅に高まることが確認された。

 
 
インド洋のモーリシャス島のコケから採集したクマムシの走査型顕微鏡写真=ウィキメディア・コモンズ//ハンギョレ新聞社

■宇宙探査、がん治療などの応用に期待

 25年間緩歩動物を研究してきたノースカロライナ大学のボブ・ゴールドスタイン教授(細胞生物学)はネイチャーで、「(放射線に対するクマムシの反応は)遺伝子の発現が作動するしくみを再調整するようなものだ」として、戦時に工場を軍需品工場に全面改造することに例えた。

 研究チームは今回の発見が、宇宙で活動する宇宙飛行士を放射線から保護したり、核汚染を浄化したりすることだけでなく、がんの治療法を改善することにも役立てられると期待している。

 クマムシの生存力の特徴は、極限の環境に対する適応進化の産物ではなく、極限の環境に耐え抜く能力だということだ。クマムシは極限環境で棲息する生物(Extremophile)ではない。したがって、極限環境に露出する時間が長引くほど、死亡の可能性は高くなる。

 極限の気温や酸素の欠乏、脱水、飢餓のような異なる苛酷な環境に耐えられるようにするクマムシの分子システムを研究すれば、よりいっそう広範囲な応用分野が見いだされる可能性もある。ゴールドスタイン教授は、ワクチンのようにすぐに傷みやすい物質の有効期限を延ばすことにクマムシの生存の秘訣を活用できると述べた。

*論文情報
DOI:10.1126/science.adl0799
Multi-omics landscape and molecular basis of radiation tolerance in a tardigrade.

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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