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科学者らは、氷の地殻の隙間から噴出する水の粒子を分析すれば、厚い氷の下の海の中に直接行かなくても、生命体の存在についての糸口を見出すことが可能だと期待している。

2024-10-15 18:58:01 | 科学最前線
 

氷の天体に生命体はいるのか…エウロパ・クリッパー、

29億キロを飛ぶ

登録:2024-10-15 06:37 修正:2024-10-15 09:25

 

[クァク・ノピルの未来の窓]
 
 
木星の氷の衛星エウロパを探査中の宇宙船「エウロパ・クリッパー」の創造図=米航空宇宙局提供//ハンギョレ新聞社

 地球から平均で7億7000万キロメートル離れている木星の氷の衛星「エウロパ」を探査する宇宙船「エウロパ・クリッパー」(Europa Clipper)が、5年半かけて合計29億キロメートルに達する壮大な宇宙旅行に出発する。

 NASA(米航空宇宙局)ジェット推進研究所は、エウロパ・クリッパーを14日(韓国時間15日)、フロリダのケネディ宇宙センターからスペースXのロケット「ファルコンヘビー」に載せて打ち上げた。エウロパ・クリッパーは月を除く惑星以外の特定の衛星だけを探査する初の宇宙船だ。

 50億ドルかけて製作されたエウロパ・クリッパーは、NASAの歴代の惑星探査機では最大の宇宙船だ。地球から太陽までの距離の5倍にもなる遠い距離から日光で動力を得るために、幅30メートルにもなる巨大な太陽電池パネルが取り付けられた。

 
 
宇宙船「エウロパ・クリッパー」を搭載したスペースXのロケット「ファルコンヘビー」がフロリダのケネディ宇宙センター39A発射台に立っている=米航空宇宙局提供//ハンギョレ新聞社

 地球の月より若干小さい(直径3130キロメートル)エウロパは、太陽系で生命体が存在する可能性がある有力候補の1つだ。15~25キロメートルの厚い氷の表面層の下に塩分が多い水の海があると推定されている。科学者らは、木星の強力な重力がエウロパ内部に生じさせた摩擦熱が氷を溶かし、地下の海を作ったと考えている。海の深さは60~150キロメートル、海水の量は地球の2倍を上回ると推定される。

 エウロパでは酸素も生成されている。木星探査機「ジュノー」が送った観測データを分析した結果によると、エウロパ表面では1日に約1000トンの酸素が生成されている。ただし、酸素の生成方式は地球とは大きく異なる。地球ではバクテリアや植物、プランクトンが光合成を通じて酸素を供給するが、エウロパでは宇宙から飛んできた荷電粒子が氷の表面層に当たり、氷の水を水素分子と酸素分子に分解する。

 
 
2022年9月29日木星探査船「ジュノー」がエウロパを近接飛行して撮影した写真=米航空宇宙局提供//ハンギョレ新聞社

■4年間で25キロメートルの距離まで49回の近接飛行

 科学者らは、氷の地殻の隙間から噴出する水の粒子を分析すれば、厚い氷の下の海の中に直接行かなくても、生命体の存在についての糸口を見出すことが可能だと期待している。

 ただし、エウロパ・クリッパーの主な任務は生命体を探すことではない。生命体が存在可能な条件が整っているかどうかを調査することだ。

 探査機にはそのために、カメラ、分光計、磁力計、レーダーなど9種類の科学装置が搭載されている。宇宙船が合計80万キロメートルにわたり近接飛行する間、レーダーは地下の海の存在を確認し、磁力計は海の深さと塩度を測定し、質量分析器は氷の隙間からわき出る水柱の構造を把握する。

 
 
エウロパ・クリッパーは2030年4月に木星軌道に到着する。その後4年ほどかけて、約3週間に1回、合計49回エウロパに近接飛行して探査活動する。エウロパの表面から25キロメートルまで接近し高解像度で観測する=NASAの動画より//ハンギョレ新聞社

■生命体の「居住可能領域」の定義が変わる可能性はあるか

 探査活動の最大の障害は木星の磁場だ。木星では、地球より2万倍も強い磁場が回転しながら帯電した粒子を捕獲し、加速して放射線を生成する。NASAは放射線から宇宙船を保護するため、宇宙船に丸い保護板をかぶせる一方、エウロパ・クリッパーが放射線の多い領域に長時間留まらないよう、飛行軌道を調整した。

 NASAは打ち上げに先立ち、記念行事の一環として、エウロパ・クリッパーに自分の名前を載せて送りたい人たちの申込みを受け付けた。昨年末までに、韓国(1万9000人)を含むほぼすべての国から合計262万人が自分の名前を書き送った。人々の名前はマイクロチップに入れられ宇宙船に搭載された。

 エウロパが生命体に適合する条件を備えていることが明らかになれば、生命居住可能領域(ハビタブルゾーン)についての定義が変わる可能性もある。現在の生命居住可能領域は、表面に水が存在できるくらい恒星の暖かい光に十分近い、大気に囲まれた世界だけを指す。しかし、エウロパの海が居住可能な空間だとすれば、生命体は恒星から非常に遠く離れた場所に存在する可能性があるという話になるためだ。

 NASAの科学担当副局長のトーマス・ザブーケン博士(天体物理学)は科学誌「サイエンス」に、「エウロパが生命体に適していることが判明すれば、その次の任務はエウロパで生命体を探すこと」だと語った。

■地球中心の世界観を揺るがした「ガリレイ衛星」

 1610年、ガリレイはエウロパを含む木星の4大衛星を発見することによって、「地球が宇宙の唯一の中心」とする既存の世界観を揺るがした。

 天動説が支配していた当時、ガリレイの発見は、太陽系で初めて地球以外の天体を回る衛星を発見した一大事件だった。別名「ガリレイ衛星」とも呼ばれる4大衛星は、木星との距離を基準にして、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの順で木星を公転する。

 400年が経った今、エウロパ・クリッパーは、エウロパからもう一度世界観を揺るがすほどの発見ができるだろうか。ジェット推進研究所のローリー・レシン所長は「サイエンス」に「宇宙における私たちの地位に対する認識を変えたエウロパが、クリッパーによってもう一度そのようなことを起こしたら素晴らしいではないか」と述べた。

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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「核保有国の主権が、米国人が手なずけた雑種犬によって侵害されたとすれば、それらを育てた飼い主が責任を取らなければならない」とし、韓国と米国を同時に非難した。

2024-10-15 12:25:01 | 朝鮮を知ろう。
 

北朝鮮、3日連続で「無人機ビラ」談話発表…

「米国に韓国を制止するよう要求」

登録:2024-10-15 06:24 修正:2024-10-15 09:41

 

「韓国軍が事件の主犯…雑種犬を飼った飼い主の責任」 
「米の連帯責任」·「無人機浸透の再発防止要求」メッセージ
 
 
北朝鮮外務省が11日夜、朝鮮中央通信を通じて「韓国が無人機を平壌に侵犯させ、反共和国政治謀略扇動ビラ(対北朝鮮ビラ)を散布」したとして公開した写真/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮は14日、「平壌(ピョンヤン)への無人機(ドローン)ビラ散布」の企画と実行の主体を「大韓民国軍部」と名指しし、米国に対しても「主権侵害」に対する責任を問うと警告した。ドローンを北朝鮮領空に飛ばしたのは韓国軍の行為であることが明白なので、停戦協定管理の責任を負う米国がこれを統制すべきだという趣旨とみられる。南に向けては連日強硬な談話を発表し、相応の軍事措置を警告する一方、米国に対しては軍事的緊張がこれ以上拡大することを北朝鮮も望まないというシグナルを送ったわけだ。

■米国に韓国の「制御」を要求

 朝鮮労働党中央委員会のキム・ヨジョン副部長は14日夜に発表した談話で、「我々は平壌(ピョンヤン)への無人機事件の主犯が大韓民国軍部のクズどもであることを明確に知っている」としたうえで、「核保有国の主権が、米国人が手なずけた雑種犬によって侵害されたとすれば、それらを育てた飼い主が責任を取らなければならない」とし、韓国と米国を同時に非難した。これに先立ち、北朝鮮は13日、北朝鮮軍事当局が軍事境界線一帯の前方部隊に「完全射撃準備態勢」を整えるよう指示した事実も公開した。

 キム・ヨジョン副部長の同日の談話は「ドローンによる(対北朝鮮)ビラ散布」を韓国軍の仕業と断定すると同時に、国連軍司令部を通じて停戦協定の維持・管理を担っている米国が韓国を制御し、ドローンが北朝鮮に来ないよう制止すべきという要求とみられる。北韓大学院大学校のヤン・ムジン教授は「キム・ヨジョンが3日連続で異例の談話を出したが、荒々しい言葉を使う一方、再発防止のための武力示威に重点を置いている」とし、「米国が停戦協定の管理監督を疎かにしたと非難しながらも、『ドローンの浸透』の再発防止に積極的に乗り出してほしいというメッセージが含まれている」と分析した。ソウル大学統一平和研究院のチャン・ヨンソク客員研究員も「韓国側がドローンを送ったなら、米国が知らないはずがないと判断し、米国に連帯責任を問うと同時に、米国に韓国を制止するよう求めている」と診断した。

 国連軍司令部はこの日、キム副部長の談話が出る前に「国連軍司令部は現在、この問題について停戦協定を厳格に遵守しながら調査している」と明らかにした。

■心理戦から「斬首作戦」への局面転換と判断か

 北朝鮮は今回の「ドローン事件」を、以前の対北朝鮮ビラ対応とは根本的に異なる局面と判断し、「武力衝突も辞さない」軍事的対応態勢に切り替えた。北朝鮮の国防省報道官が、国境線付近に「戦時定員編制で完全武装した8個砲兵旅団を13日20時までに射撃待機態勢に転換させ、各種の作戦保障事業を完了せよ」という指示が下されたと発表したのがその例だ。

 ドローンはロシア・ウクライナ戦争、イスラエル・ハマス戦争で「21世紀戦争」の最も重要な武器として使われている。北朝鮮は、対北朝鮮ビラ散布とは違って、ドローンの侵入を「軍事的攻撃行為」(11日、キム・ヨジョン談話)として捉え、以前とは異なる対応に乗り出した。北朝鮮は今月3日と9、10日に大韓民国のドローンが平壌市中区(チュング)域上空に侵入し、ビラを散布したと主張したが、専門家らはこの主張どおり、韓国側が送ったドローンが朝鮮労働党中央委員会本部庁舎がある平壌中区域まで到達したとすれば、「金正恩斬首作戦」を遂行する能力を示したものだと指摘する。今年5月以降、韓国側が北朝鮮に向けてビラを送り、北朝鮮側が韓国に向けて汚物風船を飛ばすなど、南北間で「心理戦」が日常と化していたが、ビラではなく弾頭を積載した自爆ドローンが中区域に到着したとすれば、これは北朝鮮の最高指導者を狙った作戦実行能力を裏付けることで、はるかに危険な局面への転換を意味するとみているのだ。

■「二つの国家」に向けて国内政治に活用

 北朝鮮が「ドローン侵犯」を掲げて対南強硬対応を強調するのは、国内的に統一を消し去り、「敵対的な二つの国家」を実現しようとする政治的思惑が大きく働いた結果とみられる。特に北朝鮮は、これまで公の言及を避けてきた対北朝鮮ビラ問題を、住民全員が読む「労働新聞」を通じて大々的に報道するなど、以前とは全く異なる姿を見せている。チャン・ヨンソク研究員は「これまで『南半部統一革命』を掲げ、住民たちにいつかは統一を通じて豊かに暮らせるようになると言ってきた北朝鮮が、統一を消し去り二つの国家にしようとする憲法改正をするのは、アイデンティティを変える非常に難しい作業」だとし、「ドローンの状況を国内政治に利用しようとする政治的意図がうかがえる」と分析した。

パク・ミンヒ、クォン・ヒョクチョル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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