中国の他の省(自治区・直轄市)の医療チームが個人の防護装備と医療設備を携えて湖北省へ支援に駆け付け、なかには病院全体を引き継ぐケースもあった。

2020-02-29 09:30:08 | 中国を知らなければ世界はわからない

WHO専門家調査チームが中国で目にした

7つの事象

 

人民網日本語版 2020年02月28日17:09
 

2月25日、世界保健機関(WHO)の中国調査専門家チームの責任者で、WHO事務局長補・高級顧問を務めるブルース・エイルワード氏はスイス・ジュネーブのWHO本部で記者会見を行い、中国・WHO新型コロナウイルス肺炎合同専門家調査チームの中国での調査状況について説明し、中国の感染拡大防止の経験を共有し、世界の感染予防・抑制への提言を行った。専門家調査チームは先ごろ中国で9日間にわたって行った調査で、以下の7点に注目していた。

1. 中国の強力な介入措置で感染蔓延の「曲線」が明らかに変化

一般的な疫学的法則に基づくと、新型コロナウイルスによる肺炎のような感染症は流行後に症例が急激に増える期間が現れる。専門家らは、中国の強力な介入措置は明らかに感染蔓延の「曲線」を変えたという認識で一致した。

2. 中国は地域ごとに「差別化」された予防・抑制措置を実施

武漢市と湖北省以外の場所に対してはレベルを分けた予防・抑制措置が取られ、「症例がない」、「症例が分散している」、「集団的に症例が出ている」、「コミュニティ内感染現象がみられる」地域に分けて、差別化した対応措置が実施されていた。

3. 中国の感染拡大防止の良策:全国民の動員と科学的な予防・抑制

中国の強力な動員力と行動力、民衆の大局観念、奉仕の精神、ポジティブな態度は特に称賛すべきだ。

ビッグデータや人工知能(AI)、5Gなどの技術を総合的に活用し、発熱外来を設け、オンラインの遠隔診療を行い、自治体が発行する「健康QRコード」を外出時の通行証にするといった中国の方法はシンプルかつ効果が高い。

4. 科学とエビデンスを基礎とした中国の感染拡大防止

中国は新型肺炎診療プランの第6版を発表しており、調査チームが接触したすべての医療従事者はこの最新版診療プランを使っていると述べていた。中国は非常に実務的でシステマティックなプランを用いて感染拡大を予防・抑制しており、こうした予防・抑制措置は強く印象に残ると同時に、実際的な効果の面でも極めて重要だ。

5. 調査チームの聞き取り調査の合間に眠ってしまうスタッフも

感染拡大防止の第一線で奮戦する医療従事者とスタッフは全力で任務に当たっており、非常に疲労している。調査チームの聞き取り調査の合間に眠ってしまうスタッフもみられた。また、中国の他の省(自治区・直轄市)の医療チームが個人の防護装備と医療設備を携えて湖北省へ支援に駆け付け、なかには病院全体を引き継ぐケースもあった。これは他の国では想像できないことだ。

6. 中国国民の粘り強さと貢献により、新型コロナウイルス感染拡大が大きく鈍化

武漢の街には人の姿が見られず閑散としていたが、建物のどの窓の向こう側にも感染拡大防止に協力する市民がいた。中国は驚くべき集団行動力と協力精神を示した。一人一人が動員され、統制がとれており、まるでウイルスとの闘いにおいて、ウイルスの蔓延を防ぐ共同責任を担っているかのようだった。中国国民の粘り強さと貢献は、新型コロナウイルスの感染拡大を極めて大きく鈍化させた。

7. 世界のために貴重な「感染拡大阻止のための時間」を稼いだ中国

WHOの一部協力専門家が提供したデータモデルによると、中国で行った人の移動を制限する措置により、中国国内のウイルス感染拡大のスピードは2日から3日遅くなり、中国国外への感染拡大のスピードを2-3週間遅らせた。(編集AK)

「人民網日本語版」2020年2月28日 

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米国・日本・欧州の先進国で防疫体制がしっかり確立されておらず、これらの国で起きなかった拡散傾向が現実化するとの憂慮が高まっている。

2020-02-29 08:38:53 | いったいどうしていたのか?

米・日・欧の“新型コロナ”対策は不十分…

WHO「今が拡散防止の決定的時点」

登録:2020-02-28 20:52 修正:2020-02-29 00:26
 
新型コロナ、中国以外でさらに多く発生 
米国の隔離施設で保護装具未着用 
カリフォルニアには診断キットが200個のみ 
日本は休校など遅れて対応
 
世界保健機関(WHO)の国際専門家チームを率いて中国を訪問したブルース・エールワード博士が25日(現地時間)、スイス・ジュネーブの世界保健機関本部で開かれたマスコミブリーフィングで「世界がまだ新型コロナ(COVID-19)と戦う備えが不十分だ」と説明している=ジュネーブ/ロイター・聯合ニュース

 世界保健機関(WHO)が、新型コロナの発生は「決定的時点に到達しており、パンデミック(爆発的大流行)の可能性がある」と明らかにした。だが、米国・日本・欧州の先進国で防疫体制がしっかり確立されておらず、これらの国で起きなかった拡散傾向が現実化するとの憂慮が高まっている。

 テドロス・アダノム・ゲブレイェスス世界保健機関事務総長は26日、記者会見で「私たちは、私たちが新型コロナにどのように対処するかによって、その拡散がどんな方向に進むか、きわめて微妙な状況にいる」と話した。彼は「今は様子を見る時ではない」とし、「今は感染を防ぎ、生命を救うために行動する時だ」と強調した。彼は「中国広東省では32万個以上のサンプルを検査したが、そのうち0.14%だけに陽性反応が出た」として「これは抑制が可能だということを暗示している」と紹介した。

 27日基準で新型コロナの確定診断者発生数は、中国以外でより多くの事例が報告されており、今や中国以外の国家での対処がカギになっているためだ。だが、米国・日本などの先進国でさえも、新型コロナへの対処で足早な動きはなかなか見られずにいる。

 新型コロナ事態について言及しなかったドナルド・トランプ米大統領が25日に公式記者会見を持った後、行政府次元の対処が始まっている。新型コロナ・タスクフォース(TF)が27日、マイク・ペンス副大統領の総括体制に格上げされ、新型コロナ防疫のための予算および資源の確保に乗り出した。

 だが米国内では、今までの消極的対応で新型コロナの拡散をすでに引き起こした事態が明らかになっている。米国政府のある内部告発者は27日、武漢からチャーター機で帰国して、カリフォルニアのトラビス空軍基地およびマーチ空軍基地に隔離中の米国市民を支援する保健福祉省の公務員たちが、必要な保護装備も着用せず適切な訓練も受けていなかったと暴露した。 ジミー・ゴメス米民主党下院議員は最近、この内部告発者に会い、こうした事実を確認し、この告発者がこうした実態に問題提起をしたところ、高位層から報復されたと明らかにした。

 この告発者は、隔離施設に派遣された保健福祉省チームに所属して仕事をしたが、手袋とマスクを着けただけで、防毒呼吸器などの必要な装備は備えていなかったと話した。反面、この隔離施設に派遣された疾病管理予防センター(CDC)の要員たちは完全な装備を備えて活動したということだ。これについて、アレックス・エイザー保健福祉省長官は、武漢滞留者などがカリフォルニアに来た時、「現場は混乱のようなものがあった」として、対処が不十分だった可能性を示唆した。

 感染源を特定できない初めての確定診断者も発生し、米国内で新型コロナウイルスが広がっているとの憂慮も出てきた。カリフォルニア州政府は、カリフォルニアの北部に住む女性が海外旅行もせず、感染者との接触もなかったのに、新型コロナの感染者であることが明らかになり、この女性の動線を追跡していると明らかにしたとAP通信が27日報道した。感染源を特定できない確定診断者の発生は、米国内で新型コロナが感染者の隔離施設と防疫対策を突き抜けて広がっているかもしれないという意味だ。

 現在60件の確定診断者が報告された米国では、まだ新型コロナ検査費用を個人が負担しなければならないだけでなく、検査方法と手段の不備のために十分な検査と対処がなされずにいる。感染源が不明な確定診断者の発生により非常事態になったカリフォルニア州のギャビン・ニューサム州知事はこの日の記者会見で、州政府が保有する新型コロナの診断キットは200個に過ぎないとして、対処への困難を訴えた。彼はカリフォルニアでは8400人の住民が観察対象だと明らかにした。

 これまで新型コロナに対し消極的対処で一貫してきた日本の安倍晋三首相は27日、小中高校の臨時休校発表を皮切りに一歩遅れて対処に乗り出した。安倍首相は28日の衆議院予算委員会で、全国の小中高校の臨時休校について「今後1~2週が重要な時期」として「必要な対策を躊躇なく実行していく」と繰り返し強調した。安倍首相は、電撃的な休校措置のために保護者が大きな混乱を被るという批判に対し「今回の措置で発生する多様な問題について、政府が責任を負って対応する」と明らかにした。登校しない子どもたちを世話するために、政府が保護者の有給休暇支援に乗り出すとも明らかにした。

 日本では28日11時現在、集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客・乗員705人、日本国内での感染者と中国人旅行者200人、チャーター便による帰国者14人、計919人の確定診断者が発生したとNHK放送は報道した。このうち死亡者はクルーズ船の乗客4人を含め8人だ。47都道府県(広域団体)基準では19カ所で感染者が出ている状況だが、最北端の北海道から最南端の沖縄にまで、事実上全域で患者が発生した。

 全国的に感染者が増加している状況でも、日本政府が診断能力を一日3千件以上に高めると明らかにしたが、依然としてその水準に達し得ない状況だ。大阪に住む40代の女性は、新型コロナ確定診断後に回復判定を受けたが、再び陽性反応が出てきた。ヨーロッパでも初の確定診断者が出た国家が続々と増えている。オランダで初めての確定診断者が報告されたが、彼はイタリア北部地域を訪問していた。英国の北アイルランドでも初の確定診断者が出てきて、英国内の確定診断者は16人に増えた。

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は「迫り来る危機である大流行に直面している」として、フランスが世界で最も訪問客の多い国の一つであることを指摘して、防疫の困難性を認めた。

 欧州各国の新型コロナ患者の多くがイタリア訪問者であり、イタリアが欧州の拡散の中心地になっている。自由往来政策が施行されるヨーロッパ連合の会員国は、各国の相異なる保健体系ゆえに体系的な防疫に困難を来している。

チョン・ウイギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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