福島ズボラーヌ

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大阪市福島区(並びにその周辺)をうろうろ徘徊。

懐メロ日記 04

2015-10-31 | ■懐メロ日記

英国を代表する女性シンガーの一人、ケイト・ブッシュ(Kate Bush)。
数々のヒット曲の中で、日本で一番知られている曲と言うと『嵐が丘』(Wuthering Heights)。
明石家さんまが司会をつとめたバラエティ番組
『恋のから騒ぎ』のオープニングテーマに使用されていました。

この曲がリリースされたのは1978年。
1986年に発表された彼女のベストアルバム『ケイト・ブッシュ・ストーリー』(The Whole Story)に
新しいバージョンがおさめられています。
『恋のから騒ぎ』で使われていたのは、この新バージョンの方ではないかと思う。
商品名は忘れましたが、かなり前にオーディオ製品のCMに使用されていました。。

野田阪神のイオンのBGMでは
複数のケイト・ブッシュの曲が流れているのを耳にしたことがあります。
『嵐が丘』は聴いた覚えがないのですが
ピーター・ガブリエルとのデュエット『Don't Give up』、
前述のベストアルバムに収録されている『Sat In Your Lap』も使用されていたと思う。
日本国内ではそんなにメジャーな曲ではなかったので
この2曲が流れてきたときはちょっとびっくりしました。

Kate Bush - Wuthering Heights - Official Music Video - Version 2

(ケイト・ブッシュ『嵐が丘』)

Heathcliff, it's me,Cathy.
Come home. I'm so cold!
Let me in-a-your window.

Heathcliff, it's me,Cathy.
Come home. I'm so cold!
Let me in-a-your window.


妙になめらかな不思議なダンスですが、
彼女は優れたパフォーマーとしても知られています。
デビュー前にはリンゼイ・ケンプにダンスとパントマイムを教わっていました。

この曲は彼女のデビューシングルです。
リリース当初、彼女はわずか19歳でした。
詩の題材は曲のタイトルの通り、エミリー・ブロンテの小説『嵐が丘』。
ケイトは『嵐が丘』のテレビドラマを見て、この曲を書き上げたと言われています。
10代でこんな曲を作ってしまうとは、なんて恐ろしい子…!

『嵐が丘』はイギリスの荒野を舞台とした男女の愛憎劇。
名作として知られていますが、私は高校時代に途中(どころか早々に)挫折し
よくは知りません。
エミリー・ブロンテの姉、シャーロット・ブロンテの代表作『ジェーン・エア』は
何とか読了したものの、物語に流れるあの重苦しさには辟易しました。
今でもブロンテ姉妹が苦手という意識は変わりません。
大人になった今では違う視点で読めるのかも知れませんが、手が出ない。

『嵐が丘』のあらすじはウィキペディアにも掲載されていますが
ちょっと分かりづらい文章です。
(そもそも原作の構成が複雑すぎる)
あらすじの解説文を読む前に、
登場人物の項目に掲載されている英文の関係図を見ながら読むと分かりやすいです。

Kate Bush - Wuthering Heights - Official Music Video - Version 1


ケイト・ブッシュの『嵐が丘』のサビの部分は、
ヒロインであるキャサリン(キャシー)の幽霊の台詞だそうです。
キャサリンとヒースクリフは恋愛関係にありましたが、色々あって二人は破局。
ヒースクリフは復讐の鬼となって、キャサリンを追い詰め、彼女は発狂して死亡。
幽霊となって、嵐が丘をさまようのです。
上記の『Version 1』のビデオでは白いドレスを着用しているので
より幽霊らしく見えます。怖い・・・

物語の背景となるのは厳しい自然環境におかれた閉鎖的な土地柄。
厳格な階級社会に翻弄された男女のドロドロした復讐劇です。
「moor」と呼ばれる土地は決して豊かな地ではありません。
ネット上の英和辞典で「moor」を調べると
『イングランドやスコットランドで heather の生えた排水の悪い高原地帯』とのこと。
heatherはheathとも呼ばれる植物です。
ヒースクリフの名のもとになるヒース(heath)は園芸店でよく売られているエリカのこと。
可憐な花ですが、ヒースが群生する土地は痩せていて水はけの悪い耕作には向かない荒地です。
当然、そこに住む人々は貧しい。
低温高湿な環境は健康上にも良くないでしょう。

そんなわびしい場所に建っているのですから、日が暮れると外は当然真っ暗闇。
地名に「嵐」と付くからには、強い風が吹きすさぶ場所だと思われます。
(強風が悲鳴のような音をたてて吹き荒れると何かで読んだような…)
そういうシチュエーションで、うら若い女性(の幽霊)が窓のすぐ外に現れて
「寒いわ、窓を開けて中に入れて…」と声をかけてくる…
ドアじゃなくて、窓っていうのが怖さ倍増です。
まるで『雨月物語』のような1シーンを歌いあげているのがこの曲なのです。

悲惨な死に様をした女性の幽霊が登場する曲を
なぜ、バラエティ番組の主題歌にしたのか、長い事不思議に思っていました。
しかも番組のタイトルはブロンテ姉妹とは関係ない、シェイクスピアの喜劇です。
『よしもと新喜劇』の幕開けに、演歌の恨み節がかかるようなものです。

しかし、今回この曲の歌詞と訳を改めて読んでみて、
「もしかして」とひらめいたことがあるのです。
キーワードは、明石家さんま、若い女性、寒い、家の中に入れてほしい。

かつて明石家さんまは『オレたちひょうきん族』という人気コント番組に出演していました。
当時のさんまは若くて独身、人気もありましたので、女性に非常にもてており
プレイボーイとして知られていました。
女性との交際におけるいろいろな失敗談を番組で揶揄されることがあり、
その中のひとつが定番のギャグになっていたのです。

それは、さんま宅のドアの前に若い女性(島田紳介が演じていました)が佇み、
「さんまちゃん、寒い…」とドアをノックするというもの。
さんまがどんなに嫌がってもしつこく迫ってきます。
(当時は笑って見ていましたが、今は笑えません)
ウィキペティアの「タケちゃんマン」の記事内では
『洗濯女』というキャラクター名で説明文が書かれています。

この『洗濯女』の台詞と
『嵐が丘』のキャシーの言葉「 I'm so cold! Let me in-a-your window.」を
リンクさせているのではないか…
と思うのですが、考えすぎでしょうか。
単に番組関係者のエライ人がケイト・ブッシュのファンだっただけかも知れませんが。


【参考】
・ワーナーミュージック・ジャパン|ケイト・ブッシュ
ケイト・ブッシュ - Wikipedia
嵐が丘 (ケイト・ブッシュの曲) - Wikipedia
嵐が丘 - Wikipedia

おまけ。
これが『洗濯女』です。
女性の扮装には、いろいろなバリエーションがありました。

オレたちひょうきん族 さんまチャン・・・さむい!

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