竹原BLOG:奈良民話祭り ― グリム童話・メルヘン・語りの文化 とっておきの話。 

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吉野の民話「義経の隠れ塔」

2010年08月29日 | 日記
吉野の人々は心やさしい。
政治の表舞台で敗者になって山深い吉野に逃げてきた人をやさしく迎えてきた。

頼朝に追われた義経は、吉野山の奥深くに遁れた。

それにはこんな話が伝えられている!


義経の隠れ塔

源義経は頼朝の弟で、はじめは兄弟仲がよかってんて。
けど、義経の勢いがあんまり強かったので、頼朝が、
(これはうかうかしとったら、自分もやられるかも分からん)
と思うようになってん。
とうとう、義経は頼朝に追われる身になってしもうてんて。

義経は、頼朝に追われて吉野山まで逃げて来てん。
吉野山の吉水神社に逃げこんだんやけど、
蔵王堂の横川(よがわ)の覚範いう坊さんが攻めて来たんや。
義経と弁慶はまた逃げだし、奥千本のほうまで逃げていった。
そこに、役行者が行場として作った塔があったから、
ふたりはそこに逃げこんだんや。



それで、その塔のことを隠れ塔て言うようになってん。
けど、敵が塔のまわりを取り巻いて攻め立てるので、
こんどは塔を蹴破って逃げてん。
そやから蹴破りの塔ともいわれてる。

そのあと、安宅の関越えて平泉まで逃げていったんやな。
義経の隠れ塔は行場やから、今でも大峰山にお参りする人は
塔にはいって行をするねん。

   吉野山 御山の奥の隠れ塔
   本来空の 住みかなりけり
   オン アビラ ウンケン ソワカ

いうのを三回お唱えしてお祈りするねんて。


原話:『奈良県吉野町民間説話報告書』 
再話:村上郁       不許転載



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