竹原BLOG:奈良民話祭り ― グリム童話・メルヘン・語りの文化 とっておきの話。 

夏の奈良民話祭り:8月5日(金)午後3時より奈良町物語館で4回公演!
奈良燈花会に行きがてら、ぜひ来てくださいね!

吉野・大塔村のお話「雀孝行」

2010年07月29日 | 日記
通勤途中、白庭台駅で燕が駅構内にとまっているのに出くわした。
早速、カメラに収めたのが、下記の写真です。



それで、思い出したのが、雀と燕にまつわるお話です。
原文のまま引用しましたので、ちょっと読みにくいでしょうが、
じっくり味わってみてください。


雀孝行

燕は、親が今、死に病でな。あの、なにしとんのに、
「来い」いうたら、化粧して、きれいにして、ゆっくり燕は来たんやて。
そんで、親の死に間にあえへんかってんて。

一方、雀は、もうな、そのまま、親の死に病にな、もう、すぐ来たんやて。着の身着のままで。
そんで、親の死に間にあってんて。

ほんで雀は、あんな格好でええし、村の近くでお米とって食べてええんやて。

燕は、きれいに紅つけたりな、おしろいつけたりして。
ほんでに、お大師さんが、
「もうお前はな、親の死に目にそんな化粧して、やつしとるんだったら、
もうお前はな、食物は食べられん。」て。
ほんであれは、虫となにと食べて、ほんで、
「土食って、虫食って、土くさい。」
って鳴くんやて。そして渡り鳥になって、遠くまで行かなあかんねんて。

わしら、子供の時、ようそんな話、聞かされたけど。

原話資料:比較民話研究会編「奈良県吉野郡大塔村の昔話(上)
     (『昔話―研究と資料』 14号 所収)
語り手:梅本マサノ

夏の民話祭りポスター公開!

2010年07月26日 | 日記
ナーミンちゃんのかわいい縫いぐるみは前回のブログで公開しましたが、
今回は素敵なポスターを紹介しましょう!


デザイナー:マスダ ケイコ

民話祭の当日、会場を飾ることになるでしょう!
語りの臨場感があふれているでしょ。
ナーミンちゃんも来て、聴いてますよ。

実物は以下のサイトを開いてみてください!

「奈良民話祭り」 8月11日・12日 国際奈良学セミナーハウス


ナーミンちゃんとともに語りの特訓中!

2010年07月24日 | 日記
私たち、奈良の民話を語りつぐ会では
現在、会員有志が新しいお話に挑戦中。


(写真説明:原話資料から日常語で語りやすいように
再話テキストをみんないっしょに検討中。
イメージキャラクター:ナーミンちゃんも応援しています。)

このあと、覚えて、自らの語りに仕上げていきます。

現在、挑戦中のお話:
中将姫、おふじ井戸、猿の肝、虫の知らせ、絵にかいた牛、おに女房などなど。

8月11日、12日「夏の民話祭り」聴きに来てくださいね。

モロッコで民話祭が復活!本日の朝日新聞記事より

2010年07月21日 | 日記
今日の朝日新聞を読んでいると、
「モロッコの山村で再び 先住民ベルベル人の民話祭り復活!」という
見出しが目に飛び込んできました。



私ども、奈良の民話を語りつぐ会では
奈良における語りの文化の復活に取り組んでいますが、
モロッコ・アトラス山脈の奥深い村々では、
北アフリカの先住民族ベルベル人が、年に一度の民話祭りで
独自言語での民話を語り継いできたそうです。
ところが近代化の波で10年前に祭りは途絶えたが、
今春、村人たちが仏人学生の協力を得て、復活してということです。

是非、7月21日(水)朝日新聞朝刊、8面を見てください。


高齢化社会ならではの笑い話「広岡の腰痛地蔵」  

2010年07月19日 | 日記
今日は久しぶりにお話テキストを載せましょう。
本来、このブログはお話の面白さを楽しんでもらうのが目的ですから。


広岡の腰痛地蔵   
  
奈良の広岡町に普光寺いうお寺があるねん。
そこに六体地蔵さんがあって、腰痛地蔵て呼ばれてるねん。



お参りすると腰痛が治るいうて、昔の人はようお参りに行かはったそうや。
あるとき、ひとりのおばあさんが、巾着に白いお米をちょっと入れて、
杖ついて、お参りに行かはったてんて。
そうして、お米をお供えして、「治してください」いうて、拝まはってん。
毎日毎日拝まはったけど、なかなか良うならへん。
おばあさんは、
「私はもう腰も痛いし、生きてても用がない。はよお迎えに来て下さい」
て拝みはってん。
そしたら、六体地蔵さんが現れて、
「わかった。明日早速迎えにきてやる」ていわはったんやて。
おばあさんはびっくりして、
「明日の今度のその今度で結構です」ていわはってん。
すると六体地蔵さんが、
「わかった。明日の今度のその今度に迎えに来てやる」
ていわはったんやて。
おばあさんは慌てて、
「明日の今度のその今度、もひとつ今度のその今度、またもひとつ今度のその今度」
て、繰り返し繰り返し拝んで、帰って行かはったいうことや。
この六体地蔵さんよう聞いてくれはるそうや。

原話資料:進藤秀樹・竹原威滋・丸山顕徳編 『奈良市民間説話調査報告書』 
     再話 : 村上 郁


この話は、高齢化社会ならではの笑い話ですよね。
語り手の村上さんは、昨年この話をNHKの「ラジオ深夜便」で語られて
大好評を博したのですよ!
  

ならまち民話地図をご覧あれ!

2010年07月16日 | 日記
夏の奈良民話祭り開催まであと一ヶ月をきりました。

特にならまちの民話をあらかじめ知っておいて欲しいのです。
と言うことで「ならまち民話地図」をご覧ください。



この地図の裏面、つまり、次のサイトでいえば、2ページ目に
ならまちの民話が9話載ってます。

ならまち民話地図

ぜひ、読んでくださいね。(少し拡大して見てください、読みやすくなります。)


そして、1ページ目の地図でお話のスポットを確認してください!



民話絵本『稗田の村と広大寺池』刊行される!

2010年07月13日 | 日記
奈良には大きな書店が今までなかった。
この春にビブレ奈良店に「啓林堂書店」が開店した。
児童書から専門書まで40万冊の品揃えという。
時々、私も通勤の合間に寄ることにしている。

お店の一番奥、つまり西端に児童書の売り場がある。
そこで民話絵本『稗田の村と広大寺池』を見つけ、思わず購入した。



写真の上段左端の本である。
こおりやま民話絵本の会がこのほど出版したものである。

絵:浜 朝子  文:辻野もと子
『稗田の村と広大寺池』

村人たちが日照りで稲が育たず、困っていたところ、
聖徳太子が稗田の村に来られ、その惨状を憐れみ、
広大寺池を造ってくださったという話である。
辻野もと子さんの文に浜朝子さんの絵も素敵である。
一読をお薦めします。

ちなみにこの村は古事記の語り部、稗田阿礼の出身地でもあります。

奈良なら民話祭・1ヶ月後に迫る!

2010年07月11日 | 日記
このブログを見ていただいている皆さま!

私たち、奈良の民話を語りつぐ会では
夏の奈良民話祭りを8月11日(水)、12日(木)に
国際奈良学セミナーハウスで開催します。
下記サイトをご参照ください:
「奈良なら民話祭り」

いよいよ、民話祭まであと1カ月です!

オンラインでお会いしている皆さま、
奈良なら民話祭りは、いわゆるオフ会です。
このブログの交流会です。

ネットでご縁を頂いている皆さま、
是非ぜひ、お子さま、お孫さまとご一緒にいらしてくださいね!

春の民話祭(4月1日・2日ならまち物語館)のスナップ写真を掲げます。



子どもさんも一生懸命、聴いてくださいましたよ。

今は家庭で伝承されなくなったふるさと奈良の民話のかずかずを
お届けします。

夏の民話祭の詳しいプログラムなどはまたブログで紹介します。






ふるさとに伝わる昔話を映像化!

2010年07月08日 | 日記
昨日のNHKのならナビを見ていたら、
「ふるさとに伝わる昔話を映像化」という兵庫県宍粟(しそう)市の
取組みが紹介されていました。

インターネット関連会社の社長前野良造さんは
宍粟に伝わる昔話を映像化して、ネットで公開しています。

そのひとつを紹介しましょう。


鮎の友釣り発祥地 ~下駄屋甚平物語~

宍粟市山崎町五十波(いかば)の揖保川岸は、
なんと鮎の友釣りの発祥地だという言い伝えがあります。

昔、下駄職人の甚平は、木彫りの鮎をおとりにして
鮎を取ったところ、うまく釣れました。



それが面白くて、下駄作りの仕事をそっちのけにして熱中していたのを
奥さんが気づいて、木彫りの鮎を全部燃やしてしまいました。
そこで困り果てた甚平は、本物の鮎を使った友釣りをしてみると、
次から次へと面白いほど針に鮎がかかったのでした。

これが「鮎の友釣り」の起源ばなしです。

下記のサイトをみてください。その映像を見ることが出来ます。

「下駄屋甚平物語」

ほかにも面白い昔話が下記サイトで見れますよ!

「しそうの逸話」


なぜ無実の罪を「濡れ衣を着る」というの?

2010年07月05日 | 日記
昨日、今日と武庫川女子大で行われた昔話学会に行って来ました。
昨日は大雨、今日は晴れ、暑かったですが
民家の片隅にこんな花が咲いていました。



さて、学会は6月24日のブログでお知らせしたように、
多彩なブログラムでしたが、
森誠子さんの発表から学んだとっておきの話をしましょう!

なぜ、無実の罪を「濡れ衣を着る」というのでしょうか?
私も知らなかった由来譚があったのです。

濡れ衣

ある男が国守となって任国へ下るが、
京より伴った妻はその地で娘を残して死んでしまう。
その後、その国の女を後妻に迎える。
この後妻は継娘のことを憎み、
夫に様々な讒言をするが用いられない。
そこで、財宝を与えて海人を語らい、
継娘が密かに海人と通じていたように偽装し、
その証拠として、海人の濡れた衣を寝ている継娘にかけておく。
翌早朝、海人が後妻に言われたとおりに、
自分の衣を返してくれと言いに来る。
夫は娘が海人の衣をかけて寝ている姿を見て、
後妻の讒言を信じ大いに怒って娘を殺してしまう。
このことにより、無実の罪(無根の浮名)を負うことを
「濡れ衣を着る」というのである。

出典:大島由紀夫による梗概(『学習院大学国語国文学会誌』31号より)

「濡れ衣」説話は、貝原益軒編『筑前国続風土記』(元禄10年)ほか
謡曲・説話集に多様な展開を見せつつ伝承されてきたそうです。


『奈良ふるさとのはなし英訳本』が奈良新聞社より刊行される!

2010年07月02日 | 日記
以前に乾健治著『奈良ふるさとのはなし』を読んだことがあります。
25年前に出た奈良の民話・伝説など124話が収録された名著です。
それが、なんと英語に訳されたのです。
それがこの本です。



最近、奈良にも外国人観光客が増えてきましたね。
世界に奈良の語りの文化を発信するのに、格好の手引書です。

天理大学教授のマッシュー・アイナンさんとアジア生活文化研究家の高宮照子さんの翻訳です。
B6判 262頁 1890円

奈良の民話の定番:良弁杉はじめ、中将姫、おふじ井戸、久米の仙人など
面白い話が満載です。読みやすいので、英語の勉強にもなりますよ。

例えば、良弁杉の冒頭を挙げてみましょう!

23. The Eagle and the Child

In the old days in the village of Shiga of the area of Omi (Shiga Prefecture)
there lived a husband and wife who were quite close.
However, because they were childless for such a long time,
they prayed to the Kannon bodhisattva and were eventually blessed with a baby boy.
They raised their child with loving care,
and when he was two years old the baby followed his mother to the mulberry fields.
While the mother picked the leaves of mulberry trees
she placed the child in the shade of a tree.
Suddenly an eagle, flying out of nowhere, snatched the infant and flew off.

とても、読みやすいでしょ。

お薦めの一冊です。