竹原BLOG:奈良民話祭り ― グリム童話・メルヘン・語りの文化 とっておきの話。 

夏の奈良民話祭り:8月5日(金)午後3時より奈良町物語館で4回公演!
奈良燈花会に行きがてら、ぜひ来てくださいね!

『世界の太陽と月と星の民話』が刊行されました。

2013年08月31日 | 日記
三弥井書店から『世界の太陽と月と星の民話』が刊行されました。



1997年6月に発行され、長らく絶版になっていましたが、
このたび、新装改定版がでました。

-------------
「月の兎」はどこから来たか? 太陽や月、星などにまつわる伝承を世界中から集め、
分布状況やヴァリエーションなどを調査。
人類の豊かな想像力の世界と、宇宙をめぐるイメージの多様化と共通性に思いをはせる。
-------------

グリム童話などには、よく、太陽のドレス、星のドレス、月のドレスが出てくるが、
メルヘンで特に好まれる「太陽と月と星」。

お姫さんは、「太陽のように美しい」という表現もよくでてきますね。

それにメルヘンの主人公は、太陽、星、月と、よく世界の果てまで、旅をしますね!


本書には「星と蛍の起源」というドイツの話も出てきますよ。

------------
神さまが天使を地上に遣わすと、その天使が人間に恋をした。
神さまは、困って、天使を天に放り投げると、天使は星になった。
恋に落ちた天使は、静に星としてまたたいておられず、いつも火花を打ち出し、
他の星に火の粉をかけた。
さらに困った神さまは、地上の人間に恋する星を地上に投げつけた。
すると、星は砕けて、火の粉になり、その一つひとつの火の粉が、蛍になって、
恋人のいる野原で飛び回っているという。
-------------

その他、太陽を射る話、隠れた太陽の話、月の中の男と女の話、
天の川、流れ星、オリオン座、金星、シリウスにまつわる話など、
どれもロマンチックな話、悲しいせつない話でいっぱい!

もちろん、日本、中国、インド、西洋、アフリカなど世界の話でいっぱい!

ぜひ、一度、手に取って読んでみてください。

ちなみに、私も比較民話研究会の仲間と世界の龍の話を刊行しています。

合わせて見てくださいね!

★リトアニアへの旅★その1:悪魔博物館で日本の鬼を見る!?

2013年08月24日 | 日記
今週木曜には教員免許更新講習「世界の中の奈良-比較文化の視点から-」があり、
80名の先生方が聴講してくださいました。
その先生方もこのブログの新たな読者になってくださるとうれしいです!

さてさて、今日は、リトアニアの旅シリーズ第1回目です。

7月初旬リトアニアに旅し、国際口承文芸学会に参加し、
素敵な異文化に触れてきました。

リトアニアの旧首都カウナスにある「悪魔の博物館」に行きました。



風景画家のジムイジナヴィチウスが収集した悪魔がたくさん陳列してありました。

彼は、友人の神父に悪魔の人形をもらったことがきっかけで、悪魔グッズを集め始めたそうです。
今では世界じゅうから悪魔グッズが届くそうです。


それでは、その一部を鑑賞してもらいましょう!


板に描かれた悪魔の絵


このお面は、角(つの)を生やし、どことなく、日本の鬼に似ていません?


このお面の角(つの)は、羊の角でしょうか。


これなんて、まさに日本のナマハゲとそっくりですよね。


悪魔も天使の真似をして、羽を生やして、空を飛ぶのでしょうか。


角(つの)もあれば、足には蹄(ひずめ)も生やしていますね。


ほし草刈りも持っていますね。これで人間を刈り取る死神でしょうか?


龍は悪の象徴(=悪魔)なので、それを聖人が退治するというシーンもよく見られます。


魔女も女の悪魔なのでしたよね。魔女は箒に載って空を飛ぶ。猫をお供にして。

日本の鬼は、季節の変わり目に異界からやってきて、悪霊を払い、新しい時(正月、節分)を寿(ことほいで)くれる来訪神です。
もちろん、ナマハゲなど恐ろしい面もありますが。まあ善悪の両義的存在ですよね。

ところが、ヨーロッパでも、昔はそのような来訪神であったのに、
キリスト教が入ってくると、異教の神々はみんな悪魔に貶(おとしめ)られたんですね。

だから、ヨーロッパの悪魔も、もとは両義的・神的存在だったのです。


これは、リトアニアから買ってきたおみやげです。

左前の2体の悪魔、よく見てください。なんだか親しみのもてる間の抜けたオニです。人懐(ひとなつこ)くて。
後ろのサンタクロースはまさに(クリスマスに来る)来訪神ですよね。
右手の天使は、どことなくくつろいだお行儀の悪い女の子みたいですね。

今日は、東西のオニの比較文化論でした。

暑さもあと少し、みなさま、一週間後にブログでお会いしましょう!


シンポ「伝承文学における父親像と母親像」 in ジェンダー学会<武庫川女子大・9月7日(土)>案内

2013年08月17日 | 日記
毎日、暑いですね。
民話祭り、絵本ギャラリーなど夏のイベントが一段落、ホッとしているところです。

我が家の庭では、今、夾竹桃が満開!! 

私も暑さに負けず、頑張らなくては!

さて、今日は、秋口に開催されるシンポ「伝承文学における父親像と母親像」の紹介です。



以下、案内文から―

-----------
母性愛や父性愛は本能のごとく語られることが多いですが、
現実の社会では子どもを虐待する実の父母も存在します。
「女らしさ」や「男らしさ」が時代によって社会によって異なる性差であるのと同様、
母性愛も父性愛も生物学的な本能ではなく、社会や文化によって左右されるジェンダーなのです。
本大会では様々な国や時代の伝承文学を取り上げて、
そのなかの父親像と母親像を検証することによって、
母性愛や父性愛がジェンダーであることを明らかにしていきます。

------------

パネラー1 「御伽草子における母親像と父親像」 佐伯順子
パネラー2 「中国『花木蘭』における父親像と母親像-事詩から演劇へ-」 中山 文
パネラー3 「英国伝承バラッドにおける父親像と母親像」 鈴木万里
パネラー4 「グリム『ドイツ伝説集』における父親像と母親像」 野口芳子
コーディネーター  谷口 秀子

------------

日時:2013年9月7日(土)、13:30~17:00  
場所:武庫川女子大学マルチメディアホール(MMホール) 兵庫県西宮市池開町6-46

詳しくは、下記のサイトをご覧くださいね。

日本ジェンダー学会第17回大会案内

私も一聴衆として参加します。

今日は、ジェンダー学会の案内でした。

民話祭り2013盛会・多謝!/エフエムハイホー・ラジオ祭り8月14日出演!

2013年08月11日 | 日記
奈良民話祭り2013は、盛会のうちに終了しました。
年々、少しずつ、参加者が増え、市民に定着しつつあります。

感謝をもって皆様に報告いたします。


ぱーぷる8月号のEVENTに載せていただきました。


奈良新聞の8月8日の催しランンナップのイベントに載せていただきました。


語りに耳を傾ける人々


音声館のスタッフによるわらべ歌と手遊びに興じる人々


紙芝居に見入る子どもたち


夕方、燈花会のともしびに雰囲気満点の会場:奈良町物語館


8月8日にはNHK奈良放送局が「ならナビ」でニュースとして取り上げてくださいました。

奈良日々新聞にも記事が載るそうです。


ナーミンテラー(奈良の民話の語り手)のみなさま、お疲れでした。
そして、参加してくださった多くのみなさま、ありがとう、多謝、サンキュウ、ダンケ!


来年は5年目を迎えます。
奈良燈花会の風物詩として奈良県民に愛される「民話祭り」になりますよう
さらにナーミンテラーともども精進します!


---------------

さて、8月14日(水)には、
「第3回、エフエムハイホー ラジオ祭り」が
王寺駅前、リーベル王寺東館5Fりーべるホールで開催されます。
私が午後1時から30分間「奈良の民話を楽しむ」と題して講演します。

下記のサイトをご覧ください:

エフエムハイホー ラジオ祭り


ならまち、吉野、柳生のお話を語りつつ、
民話地図やこのほど出版された「子どもと家庭のための奈良の民話」も
話題にするつもりです。

よろしかったら、聴きに来てくださいね。


ところで、毎日暑いですね。
お元気でお過ごしください。




近刊の『子どもと家庭の奈良の民話Ⅰ』を民話祭り会場でご覧ください!

2013年08月03日 | 日記
いよいよ「奈良民話祭り」が奈良町物語館で開催されます。

8月8日(木)、9日(金)午後です。
詳しくは、7月20日のブログをご覧ください。

さて、ナーミン(奈良の民話を語りつぐ会)では、かねてから企画中だった『子どもと家庭の奈良の民話』の第1巻が
このほど、 京阪奈情報教育出版から出版の運びとなりました。



監   修:  奈良の民話を語りつぐ会 代表 竹原 威滋
再   話:  村上 郁
編   集:  青木 智史・竹原 威滋
挿   絵:  マスダ ケイコ・山崎 彩乃
編集 協力:  小西 雅子・吉本 京       
定   価:  900円(税別)/ A5判 130頁
発 行:  京阪奈情報教育出版株式会社
       〒630-8325奈良市西木辻町139-6
発 行 日: 2013年8月31日

出版案内より--------------

奈良には、多くの神社・仏閣がありますが、それには案外知られていない物語が秘められています。
元興寺には「退治された盗賊が鬼になって出没し、小僧が鬼と格闘の末、追い払い、
後に立派なお坊さんになった」というお話があります。
また東大寺の「良弁杉」、油阪の「蓮長寺の龍」、猿沢池には「采女の恋」、徳融寺には「中将姫伝説」、
そして興福寺の菩提院には鹿をめぐる悲しいお話「十三鐘の石子詰め」があります。
剣豪の里、柳生では「石舟斎と一刀石」、また山深い吉野では「伯母峰の一本足の鬼」や
「弁慶の隠れ塔」の伝説が語られています。
このように、歴史のある奈良には鬼や龍の話から、仏教説話、悲恋物語、
親子愛の物語と実に多くのお話があります。

しかし、このような奈良の人々が語り伝えてきた故郷(ふるさと)の民話が途絶えつつあります。
昔はおじいさんやおばあさんがお話を孫たちに伝えてきたのですが、
三世代同居の家族が少なくなり、核家族が増えてきて、地方の貴重なお話が聞かれなくなったのです。
本書は、民話調査に基づく伝承テキストを子どもたちに親しみやすい語り口で再話されたものです。

読者のみなさん、ぜひ声に出してお子さまの前で読んであげてください。
また、覚えて、お子さんの前で語ってください。家庭で、保育園で、幼稚園で、子ども園で、学校で、
図書館で、家庭文庫で、お話会で、歴史ある奈良の民話を語りついでください。


第1巻は、人間が主人公の話が50話入っています。
続いて、第2巻(動物たちの話)、第3巻(こわい話と笑い話)が今年度に刊行される予定です。 

-----------------------

出版に先立って、奈良民話祭りの会場で見本をご覧いただけますので、
手に取ってご覧ください。

では、みなさん、ぜひ、是非、「奈良なら民話祭り2013」にいらしてくださいね。

(追伸)
7月7日のブログでコメントを書いてくださった荒木さん、
もし、民話祭りにいらしたら、声をかけてくださいね。