竹原BLOG:奈良民話祭り ― グリム童話・メルヘン・語りの文化 とっておきの話。 

夏の奈良民話祭り:8月5日(金)午後3時より奈良町物語館で4回公演!
奈良燈花会に行きがてら、ぜひ来てくださいね!

2016年ブログ年賀状:年男です。今年もよろしくお願いします。竹原威滋

2015年12月31日 | 民話
みなさま、
明けましておめでとうございます。

年男です。今年もよろしくお願いします。

2016年元旦

竹原威滋




2015年を振り返って:私にとっての7大ニュース

1.ナーミン(奈良の民話を語りつぐ会)主催の民話祭りは年に1回、8月に開催していましたが、
   昨年は「春の民話祭り」を大和民俗公園内 旧臼井家住宅で、6月21日に開催できたことです。 
   ちょうど菖蒲園では、ハナショウブが見事に咲いていました。
ナーミン・テラーのみなさま、来年もレパートリを増やして、さらにお話の面白さを世に発信してくださいね!

2.グリム童話の全2巻誕生から200年記念の年に
   グリミン(グリムと民間伝承研究会)の研究仲間と下記の本が刊行できたことです。
     大野寿子編 『カラー図説 グリムへの扉』(勉誠出版)

3.丸山顕徳先生と比較民話研究会のみなさまと共にかつて吉野の民話調査のフィールドワークをした研究成果の一端が
  今回、一般向けの本として刊行できたことです。
     丸山顕徳編『語り伝える吉野の民話』『語り伝える吉野の民話』(金壽堂出版)

4.青木智史先生のご尽力で、奈良教育大学「語りの講座IV]が11月27日(金)より5回シリーズで2年ぶりに開講できたことです。
  とくに、地元の語り手、吉川紗代さんと額田美那子さんを講師にお迎えできたことです。

5.梅花女子大学で博士をおとりになった桝田静代さんが下記の書で「日本自費出版文化大賞」を取得されたことです。
      桝田静代著「絵双六 ― その起源と庶民文化」(京阪奈情報教育出版)

6.奈良民話地図の絵地図を制作してくださった増田恵子さんがが下記の絵本で「東吉野村絵本コンクール最優秀賞」を取得されたことです。
      マスダケイコ作・絵「ぼく、ニホンオオカミになる!!

7.梅花女子大に勤めているご縁で朝日カルチャー・くずは教室「グリム童話と昔話の世界にようこそ!」「グリム童話と昔話の世界にようこそ!」を開講できたことです。

本当にみなさまとのつながりで昨年も有意義な年を送れましたこと、感謝です。

今年も語りの文化について気づいたこと、考えたこと、見聞したことを綴っていきますので
是非、お付き合いくださいね!


皆さまのご健勝とご多幸をお祈りいたします。
本年も、よろしくお願い申し上げます。

96歳の母(年女)とともに新年を迎えることができました。

では、今週末にまたブログでお会いします。

来年(申年)もよろしく。今年の漢字は「安」

2015年12月26日 | 民話
今年もあと、1週間足らずになりました。
この1年もブログを毎週見ていただき、ありがとうございます。

来年もよろしく!


ナーミンの皆さまからいただいた来年の干支(えと):申(さる)の折り紙です。子ザルもかわいいですね。

先日の新聞によると、今年の漢字は「安」でした。

-------新聞記事より---------------------------------

2015年の世相を1字で表す「今年の漢字」が「安」に決まり、
目本漢字能力検定協会が15日、京都市東山区の清水寺で発表した。

協会によると、応募総数は12万9647票で、1位の「安」は5632票。
森清範貫主が「清水の舞台」で、縦1.5㍍、横1.3㍍の越前和紙に特大の筆で揮毫した。
安全保障関連法案の審議に国民の関心が高まったことや、
世界で頻発するテロが人々を不安にさせたことなどが理由に挙がった。

2位は「爆」(4929票)、3位は「戦」(4556票)で、それぞれ「爆買い」と「戦後70年」などが理由。
4~10位は「結」「五」「賞」「偽」「争」「変」「勝」と続いた。
森貫主は「来年は安全な社会をつくっていこうという皆さまの総意ではないか」と話した。

-------------------奈良新聞 2015.12.16.より-----------

来年こそ安心な社会であってほしいですね。

さて、「今年の漢字」の過去20年を同新聞より、ふりかえってみましょう。



ではでは、皆さま、来年もよろしくお願いします。

竹原威滋


新刊情報:高木昌史著『グリム童話と日本昔話 比較民話の世界』(三弥井書店)

2015年12月19日 | 民話
今日のブログは新刊情報です。
成城大学名誉教授 高木昌史先生の新著の紹介です。


『グリム童話と日本昔話 比較民話の世界』(三弥井書店) 四六判・並製・272頁 2800円+税

先ず、目次を載せましょう:

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第1章 果実からの誕生―三つのオレンジ(スペイン民話)/瓜子姫(島根県)
第2章 羽衣物語―七羽の鳩(ドイツ民話)/天人女房(島根県)
第3章 呪的逃走―水の魔女(KHM79)/三枚の御札(新潟県)
第4章 骨のフォークロア―歌う骨(KHM28)/踊る骸骨(新潟県)
第5章 兄弟を捜す妹―六羽の白鳥(KHM49)/七羽の白鳥(南西諸島)
第6章 橋の不思議―橋の上の宝の夢(ドイツ伝説)/味噌買橋(岐阜県)
第7章 比較民話―研究の歴史(グリム兄弟/柳田国男/C・G・ユング)
結語
初出一覧
図版一覧
参考文献
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次に本書のカバーの案内文を載せます。

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世界の口承文芸の基本文献『子供と家庭の童話集』グリムから柳田国男へ
ユーラシア大陸を挟んで日本からアイスランド、沖縄、南西諸島からサハリンまで
東西南北の空間軸を自由に羽ばたき、
時代や信仰の壁を難なく超える昔話の〈東西一致〉と神秘性
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高木先生は、『グリム童話を読む事典』(三交社)、
『柳田國男とヨーロッパ 口承文芸の東西』(三交社)も出しておられ、
マックス・リューティの翻訳者としても知られています。
また、グリム兄弟の評伝『グリム兄弟 生涯・作品・時代』(ガブリエーレ・ザイツ著)の
翻訳書(青土社)も出されています。


成城大学柳田文庫の資料やドイツ語のメルヒェン事典など、最近のドイツ・日本の研究成果を十分にいかし、
斬新な比較研究がなされており、とても勉強になりました。
これからの日本での説話研究にとって画期的なご論考だと思います。


是非、昔話愛好家、ストーリーテーラーにもお薦めしたい一書です。

前々回のブログで紹介した『昔話の人間学』(鵜野祐介著)と合わせて読むとさらに面白いですよ!

本日のブログは、新刊情報を話題でした。

では、来週末、またブログでお会いしましょう!



酒井董美編著『ふるさとの民話』鳥取県編の三部作(東部編:中部編:西部編)続刊が出ました!

2015年12月12日 | 民話
今日も新刊情報のブログです。

以前、「酒井董美著『民話に魅せられて ある田舎教師の歩み』(立花書院)を読む!」というブログを載せました。
よろしければ、まずここをクリックして見てください。

長年、山陰地方で民話の聴き書き調査をされてきた酒井董美先生は
これまでハーベスト出版より「さんいんの民話シリーズ」を9冊を刊行されてきました。
詳しくは、このサイトをご覧ください。

このたび、鳥取県編の三部作(東部編:中部編:西部編)の続刊が出されました。


ふるさとの民話 第10集 鳥取県東部編Ⅱ 酒井董美 ハーベスト出版 本体価格:800円+税


ふるさとの民話 第11集 鳥取県中部編Ⅱ 酒井董美 ハーベスト出版 本体価格:800円+税


ふるさとの民話 第12集 鳥取県西部編Ⅱ 酒井董美 ハーベスト出版 本体価格:800円+税

いづれも、小型(新書版程度)で持ちやすく、お話会で読み聞かせにも便利ですよ。

本書の民話は日刊紙『山陰中央新報』に平成17年11月1日から22年3月31日までの
4年4ヵ月の間「音読ふるさとの民話」のタイトルのもとに合計1544回にわたって
毎日連載を続けたものだそうです。

読者の方がどれだけ民話の連載を楽しみにしてこられたかは
次の文章でもよくわかります。

------本書「あとがき」より--------------
長期連載となったのは、多くの読者の支持があったからで、冬期の暗い朝でも
この連載を楽しみに配達されるのを外で待っておられた方もあり、
新聞配達の方に暗闇から声を掛けて、配達された方がびっくりされた話も聞かされたし、
「いずれ単行本にまとめられるのでしょう」との期待の声は、
連載当初からよく聞かされたものであった。
また学校教育の中で取り上げられ、話ごとに簡易製本をして小学校へ
届けてくださった方がいたり、老人介護施設で毎週声を出して朗読を続けることにより、
今まで黙っていた方が積極的に発言するようになったという話もよく聞かされた。
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いずれも、日本の昔話の代表的なものが、山陰地方に伝承されてきたのがよくわかります。

鳥取県東部編Ⅱから、その目次を載せてみましょう!

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五分次郎             智頭町波多
吉吾どんの天登りと涙がこぼれる話 智頭町波多
夢買い長者            智頭町波多
腐った寒の風           烏取市用瀬町江波
犬婿入り             智頭町波多
庚申の夜の謎           智頭町波多
アブの命             智頭町波多
そら豆の腹が黒糸で縫われたわけ  智頭町波多.
天狗の隠れ蓑           智頭町波多
幽霊の飴買い           智頭町波多
桃太郎              鳥取市佐治町尾際
猿の生き肝            智頭町波多
音羽が滝のオトンジョロ狐     智頭町波多
鶴女房              智頭町波多
サル地蔵             智頭町波多
辰巳峠のオトンジョロ狐      鳥取市佐治町尾際
弘法機              智頭町波多
目をくれた龍           智頭町波多
天道さん金の鎖          智頭町波多
魚女房              智頭町波多
田螺息子             智頭町波多
天福地福             智頭町波多
瘤取り爺             智頭町波多
産神問答             智頭町波多
馬方山姥             智頭町波多
京の蛙と江戸の蛙         智頭町波多
化け物報恩            智頭町波多
猿蟹合戦             智頭町宇波
大歳の火             智頭町宇波
犬の足              智頭町波多
「笑う」という字         智頭町波多
鴉と雀              智頭町波多
瓜姫               智頭町波多
食わず女房            智頭町波多
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よろしければ、みなさまも、読んでみてください。
このシリーズは、是非、公共の図書館にも入れてほしいですね。

本日は、これまで。
ますます寒くなります。ご自愛ください。

では、来週末のブログでお会いしましょう!

新刊情報:鵜野祐介:『昔話の人間学 ― いのちとたましいの伝え方』

2015年12月05日 | 民話
今日のブログは新刊情報です。
立命館大学の立命館大学文学部教授 鵜野祐介先生の新著の紹介です。


『昔話の人間学 ― いのちとたましいの伝え方』(ナカニシヤ出版) 4-6版:270頁、本体2,100円+税

先ず、目次を載せましょう:

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プロローグ――昔話学へのいざない――  

第一講 「運定めの話」 ―誕生と運命―
第二講 「たにし長者」 (たにし息子)―子ども―
第三講 「鼻たれ小僧さま」 (竜宮童子)―子ども―
第四講 「蟹の仇討」 (猿蟹合戦)―親と子―
第五講 「糠福と米福」 (米福・粟福)―親と子、きょうだい―
第六講 「桃太郎」 ―少年―
第七講 「瓜姫コ」 (瓜姫)―少女―
第八講 「へやの起こり」 (屁ひり嫁)―嫁と姑―
第九講 「舌切り雀」 ―夫と妻―
第十講 「こぶ取り爺」 ―老人―
第十一講「食わず女房」 ―いのちと食―
第十二講「雉むかし」 (鳥食い婆)―いのち・食・性―
第十三講「山寺の鐘」 (蛇女房)―たましい―
第十四講「花咲か爺」 (犬むかし- 花咲か爺型)―たましい―
第十五講「うぐいすの里」 (鶯の浄土)―たましい―

エピローグ  
さらに学びたい人のための文献リスト 
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以上の目次でわかるように、「糠福と米福」「瓜姫コ」「こぶ取り爺」「花咲か爺」 など15の昔話を題材に、
先人たちが語るいのちやたましいのありようについて考えておられます。

その際、最初にそれぞれの話の「話型」と「モチーフ」を押さえ、
次に、国内の分布状況、書承の古典資料、海外、特にアジア諸国・諸地域における類話や類似モチーフなどを確認することで、
その話の起源と成立の背景、「伝承」と「伝播」の様相を考察しておられます。
その上で特筆すべきモチーフやトピックスについて解説を加えておられます。
そして最後に、語り手が、聞き手、特に子どもたちに対して伝えようとした「原感動」とは何だったのかに
耳を澄ませるとともに、今日の子どもたちにその昔話からどんなメッセージを受け取ってほしいかという
筆者自身の考えについても説得力をもって語っておられます。

戦後の日本昔話の膨大な資料を整理・考察した『日本昔話通観』(稲田浩二/小澤俊夫編著)の研究成果を踏まえて、
説話学上の手堅い考察を行い、その上で臨床心理学・教育人類学的研究にまで及ぶ論述は、
今のところ、他に類書はありません。

是非、昔話愛好家、ストーリーテーラーにもお薦めしたい一書です。


最後に、著者自身からのメッセージを載せましょう!

-----「今こそ昔話を!」------------

今日改めて注目される「昔話の力」について、三つの位相に分けてまとめておきたい。
第一には、昔話が持っている「語りの力」である。
「語ること」によって、
①いやし、はげまし、なぐさめる、②想像する、③創造する、
という力が生まれる。
第二には、昔話が持っている 伝承の力」である。
「伝承すること」によって、①つなぐ、②記憶する、③新たに発信する、
という力が生まれる。
そして第三には「声の力」である。
「声」によって、①相手のこころに呼びかけ、たましいを揺さぶることができる、
②いのちの鼓動を感じることができる。
これら三つの位相からなる「昔話のカ」は、携帯やスマホでのやりとりで事足りると錯覚しかねない
今日の人間関係係を、もっと深くうるおいのあるものにするために、とても重要だと思われる。
とりわけ、これから出産・子育てを迎えようとしている入たちや、保育・教育・福祉・心理臨床をはじめとする対人援
助の現場に立とうと志している人たちに伝えたい。
「今こそ昔話を!」

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本日のブログは、新刊情報を話題にしました。

みなさま、前回のブログで話した「皇帝ダリア」を見かけられました?!

では、来週末、またブログでお会いしましょう!