竹原BLOG:奈良民話祭り ― グリム童話・メルヘン・語りの文化 とっておきの話。 

夏の奈良民話祭り:8月5日(金)午後3時より奈良町物語館で4回公演!
奈良燈花会に行きがてら、ぜひ来てくださいね!

追悼:比較(宗教)民俗学の第一人者 井本英一先生

2014年05月23日 | 民話
みなさん、お元気ですか?

前回は、我が家の庭ににひっそりと咲く勿忘草を話題にしましたが、
私が日頃から手塩にかけて育てている薔薇「クイーンエリザベス」も見事に咲いてくれました。
やはり「うるわしの5月」ですね!




ところで、今日は、それに引き替え、悲しいお知らせのブログです。

イランラジオのWEBサイトを通じて、先日、井本英一先生の訃報に接しました。

日本のイラン学者、井本氏が逝去

今年1月26日に86歳でお亡くなりになりました。
詳しくは上記のサイトでお分かりいただけますが、
私にとっては偉大な恩師でした。

先生は、世界の宗教民俗学に通じておられ、東西の文化に共通する人間の普遍的な宗教現象を
考察されて、説得力のある論攷を多く発表されてきました。
例えば、次の著書一覧をご覧ください。
Amazon本

私も東西の説話の比較研究をしていて、壁にぶつかると、先生を訪ね、お教えを受けていました。
なぜ、東西によく似た話があるのか、ユーラシアに通底する宗教文化を見事に解き明かし、
私の疑問を解いてくださいました。

「味噌買橋」と「橋の上の宝」の説話については、お互いに資料を交換し、
それぞれ、論文を書き合う楽しい時期もありました。
そして、先生は次の本を出されたのです:
『夢の神話学』 井本英一著 法政大学出版局

また、数年前には、奈良教育大学の「地域と伝統文化」教育 連続講座では「ペルシア文化の日本への流入」と題して
講演をしていただきました。
有翼円盤と正月のしめ縄飾りとの関連性など、いくつもの興味深いお話がありました。
多くの一般の方を含む参加者があり、活発な議論が交わされ、好評のうちに終了いたしました。

次のサイトをクリックしてください。これがその時の講演ポスターです。
井本英一講演会

また、2010年には先生は瑞宝中綬章を受けられました。

その時、私が書いたブログをごらんください:
古代の日本とイランの文化交流を明らかにした井本英一先生

心から、ご冥福をお祈りいたします。

勿忘草から学会案内へ:日本口承文芸学会 ・シンポ「災害と口承文芸」東北大学 2014.6.7.-8.

2014年05月17日 | 民話
みなさま、お元気ですか?
厳しかった冬も過ぎ、我が家の庭には、薔薇、紫蘭、ジャーマン・アイリスと
賑やかに春の花が、咲き競っています。

その中でひっそり咲いてくれた花があります。


勿忘草(わすれなぐさ)です。

2年ほど前に知人からいただいたき、移植したのですが、今年、やっと咲いてくれました。

この花の名前はドイツでは「フェアギスマインニッヒト(Vergiss-mein-nicht)」と呼ばれ 
ドイツの詩人ウィルヘルム・アレントの下記の詩が有名です。

Ein Blumchen steht am Strom
Blau wie des Himmels Dom
Und jede Welle kust es
Und jede auch vergist es

 ながれのきしのひともとは、
 みそらのいろのみずあさぎ、
 なみ、ことごとく、くちづけし
 はた、ことごとく、わすれゆく
 (上田敏訳「海潮音」より)

また、この花には次のような伝説が伝えられています:

  昔、騎士ルドルフは、ドナウ川の岸辺に咲くこの花を、恋人ベルタのために摘もうと岸を降りたが、
  誤って川の流れに飲まれてしまう。
  ルドルフは最後の力を尽くして花を岸に投げ、「Vergiss-mein-nicht!(僕を忘れないで!)」という言葉を残して死んだ。
  残されたベルタはルドルフの墓にその花を供え、彼の最期の言葉を花の名にした。

花言葉「真実の愛」「私を忘れないで下さい」も、この伝説に由来します。

悲しい話ですが、とてもロマンチックですね。


さて、東日本大震災から、3年が経ちました。
ルドルフならず、多くの人々が津波に飲み込まれ、亡くなられました。

6月に東北大学で開催される「日本口承文芸学会」では、
「災害と口承文芸」というテーマでシンポジウムが行われます。

次の公開講演もありますよ。

  「災害の経験を伝える」活動の最新動向 ― 災害かたりつぎ研究塾の合宿活動をもとにして ―
                         東北大学災害科学国際研究所 佐藤翔輔
  「語り」「聞く」という営みについて ― 東日本大震災の波をくぐって ―
                       民話採訪者・みやぎ民話の会顧問 小野和子
   震災被災地にみる死者と生者の接点     東北大学大学院 鈴木岩弓

もちろん、瓜子姫、桃太郎、眠り姫、河童伝説などにつての興味深い研究発表もありますよ。

詳しくは次のサイトをご覧ください:
大会プログラム

ご都合つけば、みなさまも、思い切って参加されませんか?


では、みなさま、来週末のまた、ブログでお会いしましょう!



★グリムと民間伝承研究会★第58回例会案内★麗澤大学・5月25日・「5月の木(Maypole)」をめぐって

2014年05月08日 | 民話
大型連休も終わり、新緑の季節を迎えました。
我が家の薔薇も開花しました!


昨年、信州の薔薇園から苗を買って、鉢植えにしたら、見事に咲いてくれました!
「オクラハマ」という薔薇で、色が真紅できれいです。
一輪挿しに活けて、食卓において、一日じゅう見とれています。

皆さま、お元気でいらっしゃいますか。

 さて今回は、日本独文学会の春季大会に合わせて、
大会2日目午後に★グリムと民間伝承研究会(グリミン)の例会を開催することになりました。

平素参加しにくい方々も是非奮ってご参加下さい。

★今回は京都府立大学文学部 専任講師  横道 誠先生にご発表いただくことになりました。
  先生は、「学者の文体、文学と民俗学・人類学の関係、ナショナリズム、人種論、ナチズム、メディア論など」 を
  研究テーマとして幅広く研究されてる新進気鋭の若き研究者です。
今回は「グリム・マンハルト・フレイザーの神話論の批判史と現代的意義」に関するご発表いただくことになりました。



●日時: 2014年5月25日(日)午後1時30分から(時間厳守)
     午後1時30分~4時 研究会(時間厳守)
午後4時~5時 懇親会(大学近辺の喫茶店・自由参加)
●会場:
 麗澤大学 キャンバス  校舎 「かえで」 1413教室
道順:東京駅よりJR山手線乗車 → 西日暮里にて地下鉄千代田線、柏・我孫子・取手行きに乗り換え
       南柏駅下車(東京駅より約50分) (〒277-8686 千葉県柏市光ヶ丘 2-1-1)
 キャンパスアクセスガイド

●内容:
 
★研究発表 午後1時半~ 
   
横道 誠 (京都府立大学文学部 専任講師)

「マンハルト派の理論」の批判史

 【発表の概要】  
ヤーコプ・グリムの『ドイツ神話学』、ヴィルヘルム・マンハルトの『森と畑の祭儀』、
ジェイムズ・ジョージ・フレイザーの『金枝篇』で採用された民間伝承の神話論的な
樹木霊・穀物霊研究は、のちに「マンハルト派の理論」(シドウ)と呼ばれ、
現在では学術的意義がほぼ否定されている。
批判史上の重要人物たち-スウェーデンのカール・ヴィルヘルム・フォン・シドウ、
ドイツのハンス・モーザー、インゲボルク・ヴェーバー=ケラーマン、ヘルマン・バウジンガー、
イギリスのロナルド・ハットン、日本の河野眞などの研究を参照しながら、
特に「五月の木」(Maybaum、英 Maypole)の解釈に 注目して、
批判史の意義を現代的関心にもとづいて考察する。
     
●参加費 500円

さらに詳しい案内と新刊情報は下記のサイトをごらんください。
グリミン案内・新刊情報

■次回グリミン例会予告■

★第60回例会: 2014年度日本独文学会秋季研究発表会
           [京都府立大学 10月11日(土)~12日(日)]
            の二日目:10月12日午後に開催します。
  上記の例会の研究発表を募っています。
  特に大学院生はじめ若い研究者の積極的なアプライを期待しています。
  希望者は世話人までご連絡ください。

★世話人
池田香代子
竹原 威滋
野口 芳子

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■学会情報■

★日本独文学会春季研究発表会
  2014年5月24日~25日
  麗澤大学
  ●ポスター発表(24日13:00~14:30)
   現代ドイツにおけるグリム童話 -現代の語り手からの考察  金城ハウプトマン 朱美
 そのほか学会の詳しくは右記サイト参照: 発表プログラム
★日本口承文芸学会 第38回大会
2014年6月7日~8日 
東北大学川内キャンバス(仙台市青葉区川内41)
マルチメディア棟 206教室
  ●シンポジウム8日午後 テーマ「災害と口承文芸」 
    そのほか詳しくは右記サイト参照: 大会プログラム


                        以上
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WWW URL: http://web1.kcn.jp/takehara-folklore/ ← 「竹原・語りの文化研究所」ホームページ

http://blog.goo.ne.jp/namin_2010 ← 語りの文化を楽しむブログ。原則毎週末に更新。
         奈良民話祭り-グリム童話・メルヘン・語りの文化、 とっておきの話。

以上です。