竹原BLOG:奈良民話祭り ― グリム童話・メルヘン・語りの文化 とっておきの話。 

夏の奈良民話祭り:8月5日(金)午後3時より奈良町物語館で4回公演!
奈良燈花会に行きがてら、ぜひ来てくださいね!

小澤俊夫:昔話へのご招待「昔話を語るときの言葉」をFM福岡で聞こう!

2011年05月30日 | 日記
ナーミン(昔話を語りつぐ会)では、いま夏の「奈良民話祭り」に向けて
語りのワークショップを開催しています。

約20人のナーミンテラー(奈良の民話の語り部)が
奈良で伝承された民話資料をもとに自分たちの言葉で語ろうと、
ともに議論しながら、再話テキストを作成中です。


ワークショップ風景(再話テキストを検討中)  奈良教育大学 図書館 絵本の広場

そして、その後、共に語り合い、話を自分のものにしていきます。

昔話を語るときは、どんな言葉で語ればいいのでしょうか?

昔話を語るとき、共通語ではどうしてもよそよそしくなるし、
自分たちの土地言葉で語れば、暖かく親しみがもてます。

本日は、そのことを端的に教えてくれるサイトを紹介しましょう!

昔話大学を全国で開催されている小澤俊夫先生がFM福岡で毎週金曜日に
「昔話へのご招待」という番組に出演されています。

先週の金曜日(5月20日)には、『昔話を語るときの言葉』と題してお話されました。
下記のサイトで聞けますので、是非クリックして聞いてください。約15分です。
昔話を語るときの言葉

このはかにも、語りの文化について楽しい話題が聞けますので
是非、ほかの番組も聞いてみてくださいね!
昔話へのご招待HP


口承文芸学会:神戸女子大で6月4~5日開催:昔話における山姥のイメージ・民話データベースの課題ほか

2011年05月23日 | 日記
昨日のブログでは、私も参加します【シンポジウム :「異界」へのいざない】を紹介しましたが、
同じく6月初旬に開催される別の催し【日本口承文芸学会】の案内をしましょう!

「口承文芸学会」は、文字通り、口伝えの文芸を研究対象としています。
昔話・伝説など「かたり」だけでなく、民謡・わらべ歌など「うた」も含みます。

プログラムを掲げますので、よろしかったら、是非いらしてください。
2日間にわたって、講演、研究発表、シンポジウムがあります。

★第35回日本口承文芸学会大会★

日時 2011年6月4日(土)・5日(日)

会場 神戸女子大学教育センター(三宮キャンパス)
       (神戸市中央区中山手通2-23-1)
三宮キャンパス案内

第1日目 6月4日(土)

★開会の辞 13:30         日本口承文芸学会会長 間宮 史子

★公開講演 13:40~15:50
 奥浄瑠璃「安達物語」―語り本文の時代認定― 神戸女子大学 阪口 弘之
 民話データベースの課題と可能性         専修大学 樋口 淳

★データベース紹介 16:00~16:35
 沖縄伝承話データベース(沖縄伝承話資料センター)
                     名護博物館 比嘉 久
 沖縄祭祀資料データベース(神戸女子大学古典芸能研究センター)
                   神戸女子短期大学 武藤 美也子

第2日目 6月5日(日)

★研究発表 9:00~12:00
[第1会場]
 白拍子伝承の一考察      立教女学院短期大学非常勤 内藤 浩誉
 乙女文楽―語られる大衆芸能― 沼津工業高等専門学校非常勤 神田 朝美
 日本昔話における山姥のイメージ-岩手県の場合-
               小澤昔ばなし研究所 泉  治恵
 昔話伝承における「会話」部分の働き 黄地百合子

[第2会場]
 サハリン島アイヌ民族の3人兄弟譚の成立仮説
       北海道大学アイヌ・先住民研究センター 丹菊 逸治
 アイヌ口承文芸における樹木神のpasekamuy型伝承について
       日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ 安田 千夏
 「佐銘川大ぬし由来記」の伝承世界   東京都市大学 保坂 達雄
 昔話「雀の仇討ち」の背景-北東アジアの類話からの考察-
                          齋藤 君子

★シンポジウム 13:00~16:40
 「口承文芸研究の再編成」
 怪談と口承文芸     国際日本文化研究センター 飯倉 義之
 史跡活用と口承文芸          早稲田大学 加原奈穂子
 録音資料と口承文芸        北九州市立大学 真鍋 昌賢
             (司会)神戸女子大学 川森 博司

少し前に紹介した「説話・伝承学会」と似ているようで
また、一味ちがった学会でしょう!

今回のシンポジウムは、口伝えの話をどのように記録し、
未来に伝え、活用するかをテーマとしているので
私たちにも大いに関心がありますね。

詳しくは、口承文芸学会HPをご覧ください。

シンポジウム :「異界」へのいざない―ドイツ、日本、中国の文学・音楽から― 聖徳大学・6月5日開催!

2011年05月22日 | 日記
今日は6月初旬に東京で行われるシンポジウムを紹介します。
ナーミンのみなさまは、遠いので参加できないと思いますが
情報として読んでみてくださいね。

私もコメンテーター(兼司会)で参加します。

関東にいらっしゃる方はよろしかったら、いらしてください。


シンポジウム テーマ:「異界」へのいざない―ドイツ、日本、中国の文学・音楽から―

日時: 2011年6月5日 13時~15時30分
場所: 聖徳大学生涯学習社会貢献センター (千葉県松戸市、JR松戸駅東口徒歩1分)
参加費: 無料(事前申請不要、入退場自由)
定員: 100名
主催: 聖徳大学言語文化研究所


(シンポジウムの趣旨)
「異界」を、「死後世界」(あの世、他界等)のみならず、「時間的空間的に異なった領域」
(ユートピア、非日常空間、空想世界等)をも指し示す、古来より現代に至る人間の精神生活の
「影」「裏」「奥」に存在しうる空間領域と定義します。
 その「異界」の表れ方、「異界」と「常界」とのコミュニケーションのかたちを、
ドイツ、日本、中国の文学・芸術作品において学際的視野より比較検証するとともに、
現代日本人の心の中の「異界」のあり方を、市民の皆様とともに考えていきたいと思います。


プログラム
発表1:異界への越境の音楽表現―グスタフ・マーラーを中心に―
               山本まり子(聖徳大学・教授)

発表2:ドイツの民間伝承における異界と異人
     ―ハーメルンの笛吹き男からメフィストフェレスまで―
               溝井裕一(関西大学・准教授)

発表3:日本の古典文学における異界への越境とその仕掛け
     ―「源氏物語」「夕顔」巻の場合―
               河地修(東洋大学・教授)

発表4:中国の古典文献にみる異界と異人―道教「神仙説」を中心に―
               山田利明(東洋大学・教授)

コメンテーター(兼司会):
  竹原威滋(奈良教育大学・特任教授)
  高橋吉文(北海道大学・教授)
  大野寿子(東洋大学・准教授)

詳細な案内はこちら

会場:聖徳大学へのアクセス

少し専門的ですが、シンポジウムの狙いどころを紹介します。

 本シンポジウムではまず、ドイツの伝承文芸や中世民衆本等に表れる「魔的世界」「ユー
トピア」とみなしうるマクロコスモス的な「異界」の表象とその越境の方法を考察の基軸と
し、ドイツ民間伝承を素材としたマーラー作品を中心に、音楽における異界(への越境)表
現とその限界を検証する。
 これらのドイツ語圏の文学文化研究をふまえ、日本古典文献における「死後世界」として
の「異界」との往還を『源氏物語』より検出し、ドイツの伝説における「異界」との整合性
や不整合性に言及する。
 さらに、古代中世日本に影響を与えた古代中国の神仙思想(道教)へと遡及し、「不老
不死の世界」としての「仙境」という「異界」の表象および、そこへ至るための功徳の存在
に論及しつつ、ドイツ語文化圏にも存在する錬金術的な不老不死思想との比較を試みる。
 これら日本および中国の古典文献研究をGermanistikの枠組みと関連付けつつ、「異界」
観の新しい位相における価値を探る全体討論へとつなげるものとする。

次回のブログでは、同じく6月初旬に行われる「口承文芸学会」の案内をしましょう!

ヘッセの『あやめ』:ジャーマン・アイリスが見事に咲きました!

2011年05月16日 | 日記
ようやく風薫る5月、昨日、我が家にも「ドイツ・あやめ」が見事に咲きました!



ジャーマン・アイリスは、酸性に弱く、水をやりすぎると育ちません。
3年前に知人から株分けしてもらい、手塩に育て、今年初めて咲きました。
しかも、本日はもう一輪咲き、2輪になりました。
きっと明日は3輪になるでしょう!



この花をみると、若き日に読んだヘルマン・ヘッセの『メルヘン』を思い出します。
ヘッセのメルヘンは、グリム童話のような伝承メルヘンとはちがってまったくの創作童話です。
ヘッセの心のうちをあらわにした自伝的短編小説といえるかもしれません。
ヘッセの『メルヘン』には、「アウグスッス」、「詩人」、「あやめ」など7編の創作メルヘンが収められています。

その珠玉の一編「あやめ」を少し紹介しましょう!

「幼年時代の春、アンゼルムは緑の庭を走っていた。母の作っている花の中の一つはアヤメと
いう名で、彼は特に好きだった。彼は頬をその高い淡緑色の葉にあてたり、指をそのとがった
先端に圧しつけて、さすってみたり、大きなすばらしい花の香をかいで吸いこみながら、長い
あいだ中をのぞいたりした。その中には、薄く青みがかった花托から、黄いろい指が長い列を
なして伸びており、その間をひと筋の明かるい道が走って、蕚の中へ、花の遥かなひょうひょ
うとした秘密の中へと下っていた。この花を彼は非常に愛していた。」(高橋健二訳)

こんな書き出しで始まります。主人公アンゼルムは、実によくこの花を観察していますね。
写真をみながら、もう一度テキストを読んでみてください。

幼少の日々、主人公が幸せを感じるのは、美しいアヤメの花の中を眺めるときだった。
その中には、人生の大切なもの・秘密を見ることができたから。
やがて長じて、友人の妹である「イリス」(ドイツ語で「あやめ」)という女性に惹かれていく・・・

主人公はイリスにプロポーズするが、彼女はある問いに答えなければ求婚に応じないと言う。

あとは、読んでのお楽しみ! 新潮文庫で読めますよ。

イリスの問い:
アンゼルムが恋人イリスの中に求めていたものは何か?
それは少年のころ「あやめ」のうてなにほのかに感じていたものだった。
それは、母性愛? 魂のやすらぎ? それとも心のふるさと?



今日はジャーマン・アイリスのお蔭で、久しぶりに大人のメルヘンの世界に浸ることができました!

旧JR奈良駅舎に「ならまち民話地図」のパネル展示あり!

2011年05月09日 | 日記
ブログを見てくださっているみなさんは
「ならまち民話地図」をご存じのことと思います。
その地図がなんとJR奈良駅の旧駅舎の中にパネル展示してあります。



旧駅舎は、「近代化産業遺構」に指定されている歴史ある建築物です。
奈良の寺院の屋根を模し、それでいて鉄骨鉄筋コンクリート造りで、まさに和洋の折衷様式の、とても美しい建物です。



旧駅舎は、二年前から「奈良市総合観光案内所」として利用されています。

奈良を観光される方がまず訪れて、パンフレットやビデオ映像をみて奈良観光の情報を
手に入れることが出来ます。「ならまち民話地図」のパネル展示もそのひとつです。

この地図は観光客に結構人気があります。
ここだけの話ですが、案内所のガイドさんにそっとお願いすれば、
希望者には白黒コピーの民話地図を配布してくれるようですよ!

そもそも、「ならまち民話地図」は、最初、奈良市観光課によって発行されたものです。
その経緯を少し説明しましょう。

みなさま、「東大寺サミット」という年に一度行われる会議をご存知でしょうか?

その昔、東大寺建立にかかわった地域の市町村長が集まって観光や町おこしについて話し会う会議です。
「東大寺サミット・2008in奈良」では「説話のシルクロード」と題して小生が基調講演をさせていただきました。
そして集まられた方々に「ならまち民話地図」を配布して、ならまちを歩いていただくイベントも
開催したわけです。

そんな経緯で今も、 JRの旧駅舎の奈良市総合観光案内所に民話地図のパネル展示もあるというわけです。

これからの観光客には名所旧跡をただ見ていただくだけでなく、
その背後にある「物語」にも触れていただき、奈良の奥深い文化を堪能していただきたいものです。

いつの日か、ナーミンテラー(奈良の民話の語り手たち)が観光客にも
ふるさと奈良の民話を語るときも、来ることでしょう!

武藤康弘『映像で見る奈良まつり歳時記』刊行される!

2011年05月02日 | 日記
奈良教育大学には、10年ほど前、いわゆる「ゼロ免コース」、
つまり「先生にならなくても学芸・文化をひろく学ぶコース」がありました。
国際文化コース・比較文化専修では「奈良伝承文化論」という
授業があり、それを担当していただいたのが
武藤康弘先生(奈良女子大 准教授)でした。

先生は学生に奈良県下の祭りを映像とともに呈示して
まさに奈良の伝承文化を教えてくださいました。
非常にユニークな授業でした。

先生はその長年の研究成果を今回
『映像で見る奈良まつり歳時記』(ナカニシヤ出版)として
刊行されました。


ある本屋の棚にその本をみつけました。

早速、購入し、読みました。(2500円)

奈良県下の貴重な33の祭礼が見開き2ページに
簡潔にまとめて解説されています。

そして、何より面白いのは、各祭りの見どころが
約3分の映像としてコンパクトにまとめられ、
90分のDVDが付いていることです。


DVDのリストページより

お水取りやおん祭りのような全国に知られた祭りでなく、
奈良県下のローカルな祭りがDVDで見られます。

私も民話調査の折に参加したお祭も懐かしく拝見しました。

東吉野村木津川の山の神まつり
金峯山寺の蛙飛び
清見原神社の国栖奏
大柳生の太鼓踊り
奈良豆比古神社の翁舞

本の解説と映像をみたら、今度は現地に行ってみるのもいいですね。

村に伝わる民話も祭りもずっと伝えていきたいですね。