竹原BLOG:奈良民話祭り ― グリム童話・メルヘン・語りの文化 とっておきの話。 

夏の奈良民話祭り:8月5日(金)午後3時より奈良町物語館で4回公演!
奈良燈花会に行きがてら、ぜひ来てくださいね!

県民だより掲載「奈良のむかしばなし」パネル展を見に、図書情報館に行ってきました!

2013年07月27日 | 日記
前から気になっていた民話記事がありました。

それは、奈良県の広報誌「県民だより」に掲載されていた「奈良のむかしばなし」です。

県内在住の随筆家 山崎しげ子さんが文章を担当、分かりやすいイラストや写真、
ゆかりの地の地図や行き方も載っており、とても親しみやすい民話紹介コラムです。

それが、現在まで39話、載ったそうです。

そのすべてが、県立図書情報館でパネル展示してあることを
昨日、奈良新聞で知って、早速、見に行ってきました。


図書情報館HPサイトより


しかも、会場では、第1話~39話まで冊子にして、無料配布していましたので
1部、頂きました。


左は冊子の表紙です。
右上は、第1話「神野山の天狗」(『県民だより』平成18年5月号)
右下は、第39話「きつねの井戸」(『県民だより』平成25年6月号)

時々、「県民だより」を手にして読んでいましたが、
こうして、パネル展で39話を通しで読んで、おまけに冊子までいただいて
とても満足して帰りました。

改めて、奈良の歴史の深さ、隠れた庶民の語りの文化のすばらしさに触れることができました。

あなたも、パネル展に行かれませんか?

8月4日まで、入場無料です。

下記サイトを見てください。
企画展示「奈良のむかしばなし展」



「奈良なら民話祭り」8月8日9日奈良町物語館で開催、プログラム決定! 燈花会の折りにぜひ来てください! 

2013年07月20日 | 日記
今年の民話祭りも、燈花会の期間に開催されます。
燈花会の行き帰りにぜひお寄りください。

今年の夏は、節電をして、ほの明かりの中でふるさとの民話を語り合おう!

「夏の奈良民話祭り」8月8~9日:奈良町物語館で開催。 ポスターをご覧ください!


 

ナーミンテラー(奈良の民話の語り手)が心をこめて、語ります。
NMN48(エヌ・エム・エヌ・フォーティーエイト)が、ただいま、リハーサル中です。
   

8日の第1部、第3部では、音声館のスタッフがわらべうたを歌ってくださいます。
9日の第2部~第4部では、村上郁さんが語ってくださいます。


プログラムが決定しましたのでお知らせします。

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★8月8日(木)奈良町物語館

【1部】14:00~15:00
挨拶
ナーミンのうた
采女神社のはなし
餅飯殿通り
不審ヶ辻子の鬼
わらべうた(音声館・今里さん)
紙芝居「帯解の龍」
園生姫のはなし
ほととぎすの声
わらべうた
蟻通明神 矢本
広岡の腰痛地蔵
わらべうた(音声館・今里さん)

【2部】15:30~16:30
挨拶
ナーミンのうた
奈良の大仏と京の大仏
紙芝居「良弁杉」
中将姫のはなし
わらべうた
久米の仙人
猿の肝
わらべうた
オオカミのおんがえし
あんころ餅とあみださま
虫の知らせ
わらべうた

【3部】17:30~18:30
挨拶
ナーミンのうた
餅飯殿通り
鬼子母神とザクロ
紙芝居「いうなの地蔵」
わらべうた
ふしぎな旅人
蟻通明神
弘法清水
わらべうた(音声館・高橋さん)
不審ヶ辻子の鬼      
おじいさんきたでぇ  
わらべうた(音声館・高橋さん)

【4部】19:00~20:00
挨拶
ナーミンのうた
十三鐘の石子詰
不審ヶ辻子の鬼
紙芝居「良弁杉」
わらべうた
染八ぎつね
きつねのお産
わらべうた
おふじ井戸
虫の知らせ
わらべうた


★8月9日(金)奈良町物語館

【1部】13:30~14:30
挨拶  
ナーミンのうた
十三鐘の石子詰  
中将姫のはなし  
紙芝居「良弁杉」
わらべうた
猿の肝  
オオカミのおんがえし 
わらべうた
伯母が峰の一本足
犬と笛
わらべうた

【2部】15:00~16:00
挨拶
ナーミンのうた
采女神社のはなし
餅飯殿通り
紙芝居「帯解の龍」
わらべうた
牛の宮
あんころ餅とあみださま
わらべうた
染八ぎつね
庄やん
戦火の弘法大師(村上さん)
わらべうた

【3部】16:30~17:30
挨拶
ナーミンのうた
良弁杉
十三鐘の石子詰
紙芝居「いうなの地蔵」
わらべうた
伯母が峰の一本足
園生姫のはなし
ほととぎすの声
わらべうた
蟻通明神
弓の名人(村上さん)
わらべうた

【4部】18:00~19:00
挨拶
ナーミンのうた
中将姫のはなし
鬼子母神とザクロ
蓮長寺の龍
紙芝居「良弁杉」
わらべうた
おふじ井戸
きつねのお産
蛙になった人間
おじいさんきたでぇ
天狗さんのまな板石(村上さん) 
わらべうた

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みなさま、是非ぜひ、お出で下さいね!!



溝井裕一編『グリムと民間伝承 東西民話研究の地平』<竹原退官記念論文集>(麻生出版)が出版される!

2013年07月13日 | 日記
グリム童話の初版の第1巻が出版されたのが、1812年、
第2巻が出版されたのが、1815年です。
つまり、昨年から来年にかけて「グリム童話誕生200年」の記念すべき年です。
ドイツにおいても、いろんな記念行事やら、グリム童話にまつわる記念出版が目白押しです。

ところで、私たち「グリムと民間伝承研究会」では、
グリムと民間伝承にかかわる記念論文集を刊行しました!



溝井裕一編 『グリムと民間伝承 東西民話研究の地平』 麻生出版 5000円(税別)
<竹原威滋先生退官記念論文集>

(入手方法)
■本屋を通じて購入することができます。
 注文の際、JRC(取次店)経由でとおっしゃってください。

■麻生出版に直接注文する場合はメールかFAXでお願いいたします。
 メール:asao_pub@yahoo.co.jp    FAX: 044-989-1454 
 割引注文書は下記のサイトをクリック:   
 書店直通注文書

まず、本の装丁を見てください。
表紙カバーの、オモテには、ゲッティンゲンの市役所前の噴水、「ガチョウ番の娘」の像が載ってます。
そのウラには、シュタイナウの市役所前の噴水、「カエルの王さま」のお姫さまとカエルがいますね。

それはともかく、本体は570ページもある20本の論文が載っています。

目次を載せましょう!


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 竹原威滋  グリム童話とカルヴァン派と近代―「幸せハンス」(KHM83)と「貧乏人と金持ち」(KHM87)をめぐって―
 野口芳子  グリム童話における七の数字について ―不運な七の出現を巡って― 
 浜本 隆志 グリム童話の同類結婚と日本昔話の異類結婚 ―ヨーロッパと日本の動物観とのかかわりから―
 松村國隆  中世の遍歴作家 デァ・シュトリッカーの「三つの願い」
 大野寿子  グリム兄弟「こびと」像にみる古の世界と自然との共生 ―メルヘン、伝説、神話テキストをてがかりに― 
 溝井裕一  狩猟伝説と異界 ―グリム伝説集を中心とした考察―
 斧原孝守  東アジアからみた「赤ずきん」(KHM26)の原型 ―「赤ずきん」と「老虎外婆」との比較―
 久保華誉  白雪姫の身代わりになった動物 ―日本人のイメージをめぐって― 
 金城ハウプトマン朱美 グリム兄弟のメルヒェン「ヘンゼルとグレーテル」 ―その成立と現代ドイツにおける受容―
 鶴田涼子  ドイツ文学のなかの「ねずの木の話(KHM47)」
 梶田純子  オレンツァロ ― バスクの「歳神」伝承
 天沼春樹  物語の迷宮へ
 岩瀬ひさみ ヘンワイフまたはヤハリシュ・ウルラル ―継母の相談役―
 佐藤結佳  「クラバート」伝説の特徴 ―ATU325「魔法使いとその弟子」類話比較より―
 永池健二  消えた幽霊の足
 齊藤 純  神野山と「天狗さんの石合戦」―大和高原における「山の争い」伝説の展開―
 鵜野祐介  「鼠の嫁入り」の起源と構造 ―伝承文学にみる「子どものコスモロジー」―
 阿部奈南  世間話「口裂け女」に関する一考察
 間宮 史子 Vorstellungen von Raum und Zeit in der Anderswelt im japanischen Volksmärchen

 <献辞> ロルフ・W・ブレードニヒ  親愛なる同僚、竹原先生へ
<特別寄稿> ハンス=J・ウター 愚か者につける薬はない― ノルウェーの「笑い昔話」に関する小論― 

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論文名をよくご覧ください。

グリム童話や伝説にかかわるもの、現代伝説、グリム童話と日本の民話の比較研究など多方面にわたっています。

最後には、あのATU民話話型カタログの著者:ウター教授も笑い話についての論文を特別寄稿してくれています。

編者は、関西大学の准教授、溝井裕一先生です。

編者のことばを「はじめに」から一部引用します:


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タイトルにもあるように、この本がテーマとするのは「グリム」と「民間伝承」である。
グリムというとドイツのイメージが先行しがちだが、それだけでなく他のヨーロッパ諸国やアジアの民間伝承もとりあげている。
この本が企画された2012年は、奇しくもグリム兄弟が『子どもと家庭のメルヒェン集』を出版してから200年目にあたる。
本書におさめられた諸論文は、象徴史、ひとと自然の関係史、ドイツ文学、比較民話学、日本民俗学といった分野に大別されようが、
いずれも、かならずしもこのカテゴリーにとどまるものではないことも強調しておきたい。
それぞれの論文が、いかにひとつの分野や国の枠にとどまらないテーマをあつかっているかは、
じっさいに読み進めていく過程でおのずからあきらかとなるはずである。
そもそも民間伝承は、国境をこえ、各文化に適応しながら語りつがれてきたものである。
それゆえ、その研究もまた、常に既存の枠をこえていくよう運命づけられているのであろう。
この本をとおして、民間伝承研究のさまざまなアプローチや、そこに秘められた可能性についてご理解を深めていただければ幸いである。

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書名の副タイトル「東西民話研究の地平」が示しているように、ある意味、日本におけるグリム研究の最先端の論文集です。

ぜひ、お読みいただければ、幸いです。



リトアニアの国際口承文芸学会で「奈良民話祭り」を紹介してきました!

2013年07月07日 | 日記
国際口承文芸学会 (ISFNR) の第16回大会が
2013年6月25日~30日にビリニュス市(リトアニア共和国)で開催されました。


リトアニアの首都:ヴィルニスの旧市街の遠景

主催者はビリニュス大学のリトアニア民間文芸研究所で、
総合テーマ「現代社会における口承文芸、その統一性と多様性」のもと
世界から研究者が集まり、250名を超える研究発表がありました。

大会案内サイトをご覧ください。

学会の公式言語は、従来、英語、仏語、独語、露語でしたが、
今大会からは英語オンリーになりました。

そこで、英語のにがてな私は、ゲール語圏の民話研究者の岩瀬ひさみさんとの共同発表だったので、
その責務を果たすことができました。

発表題は、以下の通りです:

How can we hand down the traditional folktales of the area to the future generations?
Examples: Nara Folktale Festival and the Nara Folktales walking Map.
                      Takeshige Takehara (Ikoma/Japan)
                      Hisami Iwase (Fukuoka/Japan)
(日本語題)
私たちはどのようにして故郷の伝統的な民話を次世代に語り継ぐつぐことができるか。
その事例:奈良民話祭りと奈良民話地図


左:岩瀬さん、右:竹原  スクリーンには奈良民話祭りの写真がでています。

発表の要旨を下記に日本語で載せます: 

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 私たちは長年奈良県下でお年寄りから民話を聴き、それを報告書にまとめてきました。
昔は家庭において民話が語り継がれてきましたが、今日ではほとんどの家庭が核家族になり、
そのような故郷の民話が途絶えつつあります。
 そこで、日本の奈良において三つのプロジェクトを立ち上げました。

 その一つ目は、「奈良民話祭り」の開催です。
私がフィールド・ワークで集めた民話を再話して、子どもたちにも良く理解できるようにしました。
そして語り手講座を開き、学生やお年寄を現代の語り手としてとして養成しました。
その後3年前から毎年夏に「奈良民話祭り」を開催してきました。この祭りは少しずつ市民に知られるようになってきました。
 その二つ目は、「NHKお話ステージinなら燈花会」です。
地元の放送局のアナウンサーによる民話の朗読劇です。
 その三つめは、私が集めた民話を基にして、「奈良民話地図」の刊行です。
地図の表には奈良の伝説で語られているスポットを明示し、民話地図の裏には民話テキストを掲載しました。
この地図を持って、奈良町のお話のスポットに出かけ、テキストを声を出して読めば、
お話の内容が実地に良く理解できるようになっています。
これは、「地域の伝統文化」を知ることのできる教材にもなります。
また、日本語版だけでなく、英語、ドイツ語、中国語版、韓国語版も作成しましたので、
学校の生徒だけでなく、外国人観光客にも役立っています。

この事例を紹介し、民話を未来に語り継ぐ意義について考察しました。
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日本からも10名余りの研究者が参加しました。

その発表題の一端を挙げましょう:

Grimms' Fairy Tales in Modern Japan
Fumiko Mamiya (Tokyo, Japan)

Stories for Calling Soul: Roots of the Strangers Appearing in Japanese Folk Narratives Related to Tsunami
Yusuke Uno (Ibaraki-City, Japan)

Transformation from Individual Art to National Art in Ainu and Nivkh
Itsuji Tangiku, Chika Shinohara (Sapporo, Japan)

The Social Significance of Narrative and the Current State of Folktales in Modern Japan
Miho Saito (Tokyo, Japan)

Syllable Number Orientation and Accent Orientation in Ainu Epic Versification
Osami Okuda (Ebetsu, Japan)

The Japanese Version of ATU 410 (Nemureru Mori no Bijo)
Makoto Yokomichi (Kyoto, Japan)

Influences of Victorian Values in Japanese Grimm's Fairy Tales Used by English Translations
Yoshiko Noguchi (Osaka, Japan)


最終日の夕には、コングレス・ディナーが、ヴィルニスのシティー・ホールで華やかに開催されました。


右手は、挨拶する学会会長のマールツォルフ(ドイツ・ゲッティンゲン大学教授)

次回大会は、アメリカのマイアミで3年後に開催されます。

今後のブログでは、大会後に訪れたデンマークの旅も含めて、さらに詳しく報告するつもりです。