竹原BLOG:奈良民話祭り ― グリム童話・メルヘン・語りの文化 とっておきの話。 

夏の奈良民話祭り:8月5日(金)午後3時より奈良町物語館で4回公演!
奈良燈花会に行きがてら、ぜひ来てくださいね!

★グリム童話ミニ講義3★なんとグリム童話初版(兄弟所持本)は世界記録遺産になっている!

2012年02月27日 | 日記
★グリム童話ミニ講義3★ 初版グリム童話がなんと世界遺産だって!

ミニ講義1でグリム童話初版が1812年のクリスマスに刊行されてことを紹介しましたが、
グリム兄弟の弟ヴィルヘルムが所持していた初版本がユネスコの「世界記録遺産」になっているのをご存知でした!

誰でももし本を出版したら、自分の本だから大切に手元においておきますよね。
ヴィルヘルムも初版900部を印刷・発行して、そのうちの1部を手元において
そしてその本にいろいろ個人的にメモをしているのですよ。


これがヴィルヘルム・グリムが手元に持っていた本です。(その復刻版:奈良教育大図書館所蔵)

たとえば、「50番 いばら姫」のテキストのあとの余白に von der Marie と肉筆でメモっています。
つまり、「あのマリーさんから聴いた」と。


ちょっと読みにくいですが、(von der Marie)との肉筆メモが見えますよね。
そのあとは、「51番 みつけ鳥」(Vom Fundevogel) の活字テキストが載ってます。

当時の読者は、語り手の名前は初版には載せてないので、誰が「いばら姫」を語ったか知らなかったのですよ。
でも、これを見れば、「いばら姫」を語ったのはマリアさんだったと分りますよね。

このように、ヴィルヘルムが持っていた初版本には、いろいろ個人的なメモが書かれていているので、
グリム童話の成立の裏舞台が垣間見れるのです。

だから、ユネスコの世界記録遺産に登録されたのですね。

この本は、現在、ドイツのカッセル市の「グリム兄弟博物館」に所蔵されています。


グリム兄弟博物館は、1959年、カッセル市ならびにグリム兄弟協会により設立され、
バロック建築様式のべレビュー宮殿内にあります。

2005年にユネスコ世界記録遺産に登録された「グリム童話初版のグリム所持本」を
世界の人々に見てもらうため、グリム兄弟博物館は、2012年1月22日、
高額な修復工事を経て、リニューアルオープンしました。

3フロアーにわたる、新しいコンセプトによる充実した常設展示
「グリム兄弟の生涯と作品、そして画家の弟ルートヴィッヒ・エーミール・グリム」があり、
さらに特別展示『子どもと家庭のメルヒェン集』(1818-2012)があります。

展示室は年間を通して開館しています。開館日ならびに開館時間は、
火曜日から日曜日まで、午前10時から午後5時まで(但し水曜日は午後8時まで)です。
閉館日は毎週月曜日です。

入館料は、小人18歳まで無料、大人3ユーロです。
外国語によるガイドツアー(25 名様まで)は、独語35ユーロ、英語、仏語、露語、日本語は、45ユーロです。

博物館内にはミュージアムショップも併設されており、挿絵入りグリム童話集や、研究者向けグリム童話集、
またポスターやハガキといったメルヒェン関連商品も販売しています。

一度、ドイツ・メルヘン街道を巡られる機会があったら、
是非、カッセルのグリム博物館も尋ねてくださいね!


留学生とともにならまち民話散策をしました!

2012年02月20日 | 日記
2月17日午後、奈良教育大学の留学生とならまち散策をしました!
参加した留学生は、ドイツ・フランス・ロシア・中国・カンボジア・トルコから来ている6人の方々でした。
そのほとんどが文科省の日本語・日本文化研修留学生で、とても興味をもって参加してくれました。

薄日が差したかと思うと、雪がぱらついたりして、とても寒かったですが、
2時間近く熱心に付いて来てくれました。
コースは次の通りです。
近鉄奈良駅 → 東向き → 餅飯殿 → 猿沢池 → 不審ヶ辻 → 興福寺
→ 菩提院大御堂 → 春日大社・一の鳥居 → 向影の松

案内したのは、私とナーミン(奈良の民話を語りつぐ会)の会員有志4名でした。
もちろん、参加したみなさんには「ならまち民話地図」を配布しました。

ナーミン・テラーは、そろぞれ民話スポットで語りましたので
留学生も興味深く、身を乗り出して聴いてくれました。



菩提院大御堂で「十三鐘の石子詰め」を聴く留学生たち



ボランティアで参加してくださったナーミン・テラーたち (菩提院大御堂前にて)

民話スポットで語った話は以下の通りです。

★餅飯殿の由来
★采女神社の由来
★不審ヶ辻の鬼
★十三鐘の石子詰め

ナーミン・テラーにとっても、いい体験だったと思います。
なにしろ、伝説の舞台で語るのですから、雰囲気も出ますし、ごく自然に語れますもの。

最後には、留学生とともにわらべ歌「ならの大仏さん」を歌いながら、
鬼遊びもしました。

きっと、留学生も奈良の文化の奥深さを知ってくれたと思います。

寒さを吹き飛ばす熱い国際交流を持つことができました。

奈良の伝承文化を世界に発信する貴重な機会でした!

というのも、きっと留学生たちは、それぞれお国に帰った時、
つまり、ドイツ・フランス・ロシア・中国・カンボジア・トルコで
奈良の民話を語り継いでくれるでしょうから!
これって、素晴らしいことではありませんか?!

それでは最後に、「十三鐘の石子詰め」の英語訳を載せておきましょう!

Ishiko Zume of Jusan Gane (Thirteen Bells)

The deer of Nara have been treated with great care since early times
because they are regarded as messengers of the gods.
It is said that when the god of Kasuga Shrine moved to Nara,
he rode on a deer.
When anyone killed such a precious deer,
he or she was sentenced to be buried alive in a hole with the dead deer.
The punishment was called “Ishiko Zume”.

Bodaiin Omido Temple is popularly called Jusan Gane.
A long time ago, there was a temple school beside the temple.
One day, when a boy called Sansaku was practicing calligraphy chanting
“i, ro, ha, i, ro, ha (A, B, C, A, B, C)” at the school,
a deer came to the school and began to eat an important document,
which was laid in the corridor.
Sansaku was shocked to see it and, shouting “Hey!”,
he impulsively threw a nearby paperweight at the deer.
Then, the deer fell dead.

As someone who had killed a deer,
Sansaku was sentenced to be punished by Ishiko Zume.
A hole was dug in the east of the garden in front of the temple,
and he was buried alive with the deer.
Sansaku’s mother planted a maple tree in his memory at the place where he was buried.
It is said that this incident originated the combination of “deer with maple trees”.
The time when Sansaku was buried was between the sixth and seventh hour in the evening.
Hence, by adding six and seven, the place came to be called
“Jusan Gane (Thirteen Bells)”.

Documented from “Folktales of Nara City”
edited by Hideki Shindou, Takeshige Takehara and Akinori Maruyama.
Rewritten by Kaoru Murakami
Translated by Hisami Iwase.


吉野民話地図の中国語・英語・ドイツ語のヴァージョン試行版が出来ました!

2012年02月13日 | 日記
昨年度「よしの民話地図」を発行しました。


発行:奈良教育大学ESD推進プログラムまほろばプロジェクト
監修:奈良教育大学特任教授 竹原威滋 / 特任講師 青木智史
作画:デザイナー マスダ ケイコ  再話:村上 郁

さらに詳しくは、昨年8月18日のブログをご覧ください!


今回、その外国語版(中国語・英語・ドイツ語)を作成しました。



吉野民話地図・中国語版:   監修・橋本昭典 / 翻訳・鄒楽楽



吉野民話地図・英語版:    監修・頓宮 勝 / 翻訳・岩瀬ひさみ



吉野民話地図・ドイツ語版   監修 飯島昭治・飯島-Binder Edda  
翻訳・ハイデルベルク日本学科学生チーム

この地図の裏面にはそれぞれ吉野の民話9話が翻訳され、掲載されております。

1.蛙になった人間
2.義経の隠れ塔     
3.犬を飼わない村       
4.狼の恩返し
5.蟻通明神       
6.井光の井戸
7.弘法清水       
8.伯母が峰の一本足   
9.ガタロウの薬

これで、外国の方々にも吉野の民話を広く知っていただくことができると思います。
3月には、奈良教育大ホームページで正式に公開いたします。
また 印刷版(A3版)も出来ますので、希望者には配布する予定です。

「ならまち民話地図」については、すでに奈良教育大ホームページで
Web版、中国語・英語・ドイツ語版を公開中です。

今回、さらに「ならまち民話地図・韓国語版」も制作中です。

奈良の観光といえば、大仏さんと春日神社を見るのが定番ですが、
これらの民話地図をみて、奈良の奥深い伝承文化に触れて頂きたいと思っております。


吉野山・金峯山寺の節分会に行ってきました!

2012年02月06日 | 日記
この冬、一番の冷え込みとなった2月3日
吉野山の金峯山寺の蔵王堂では節分会がありました。


「福は内、鬼も内」との掛け声で全国から追われた鬼が蔵王堂に呼び集められ、
堂内を暴れ回った。


やがて、豆を投げつけられ、法力で改心した鬼たちは、本尊・蔵王権現の前にひれ伏した。


その後、鬼ともども豆まきをして、節分会を終えた。


また蔵王堂では7月7日には「蛙とび」の行事が行われています。

これについては、吉野の民話「蛙になった人間」を参照くださいね。

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昨日は、前回のブログで案内したグリミンの例会があり、
武庫川女子大と関西大学の学生さんの合同卒論発表会があり、
会員のほか、神戸子ども文庫連絡会の方も来られ、豊かな集会となりました。

また昨日は、京都では「グリム童話集 二百歳」と題して小澤俊夫先生の講演会があり、
その後、グリム童話を語る会も行われ、そちらに行かれた方もおありでしょう。