えぬ日和

日々雑記。第二、第四土曜更新を守っているつもり。コラムを書き散らしています。

夢のおわり

2009年11月25日 | 雑記
空を飛んでいい気分の時もあれば、ふっと地面に落ちて落ち続ける、
落ちたら冷たい床の上だった夢を見ることもあるかと思います。
ディズニーシーのタワーオブテラーにしろ、損保ジャパンビルの
くだりのエレベーターにしろ、落ちてゆく身体が重力につつまれて
ぎゅうと押される。押されていいのはあんまの指圧くらいです。

話がちょっとずれましたが、夢の世界を舞台にしたゲーム
「Nights」は、つばさや乗り物がなくても自在に浮かんで、空を飛ぶ
ゲームです。製作はソニックチーム、音速で走る青いハリネズミ
「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」を生み出したチームです。
セガサターンで最初登場したのは13年前になるでしょうか。
それだけ前に生み出されて続編も出ていないのに、ファンの気持ちを
がっちり11年間も掴み続けた作品です。

とにかく空が飛べる。大空を自在に駆けまわる。
そんなゲームにあってはならないものがありました。

落下アウトです。

「マリオ」や「ソニック」に代表されるように、アクションゲームならば
地面の穴や足場のない高所から落ちるとゲームオーバー、というルールが
あります。いっぽう「Nights」は基本的に飛びっぱなしなゲームです。
水に潜ってもへいちゃらで、高いところから落ちてもふわふわ浮いて、
また好きに空をひゅーんと飛べる感覚をコントローラ越しに味あわせてくれる、
そんなゲームに落下の影がこっそりと滑り込んでいました。

2007年の「Nights」には、主人公の少年少女たちを操作する専用ステージが
用意されていました。男の子のステージを遊んでいた時のことです。
高層ビルのネオン街を舞台に、立体的に街を抜けてゆくその街路は摩天楼でした。
下は真っ暗な闇です。しかも離れたところにあるスイッチは、飛び道具をジャンプ
して投げないと届かない。
ジャンプの目測を誤った少年は、柵を飛び越えて夜の街に墜落してゆきました。

普通のアクションゲームならば、単に落っこちアウトがあっても笑い事で
済まされますが、このゲーム、実は「落ちる」ということが最後の最後で
非常に大切な演出に組み込まれており、そこからラストのコースに向う
まっすぐな爽やかさがほんとうにどきどきするのです。
だからこそ「落ちる」ということは最後の最後まで取っておいて欲しかった。
ゲームとしてはたいへん楽しめたのですが、前作の魅力であった物語の深みが、
こういうところからほつれてゆくのは寂しいものだと思います。

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