えぬ日和

日々雑記。第二、第四土曜更新を守っているつもり。コラムを書き散らしています。

・ゲームで確かめる

2022年08月27日 | コラム
 読書がかつてそうであったように、今はコンシューマーゲームでその日の状態を確かめている。入れ込むとあっという間に数時間は経ってしまうので注意は必要なところがかつて「バカになる」と警告されていたことだろう。翻って現在はショッピングモールで『Minecraft』を通じコミュニケーション力と想像力を養おうという趣旨のイベントが開かれるほど、コンピュータゲームは日常にありふれた生活の一部としてすっかり親炙した。だが古いコンシューマーゲームはインターネットに接続しないため、基本的には個人とゲームデータの中で全てが完結する。インターネットに接続しないのが当たり前だった時代もだんだんと遠ざかる。過去にコンシューマーゲームとして発売されていても現在はインターネットがないとそもそもソフトが買えないほど、コンピュータゲームにとってインターネットは無くてはならないものになってしまった。
 だがインターネットでは買えない過去のゲームを実機でプレイする身としては、人と比べたりプレイングを批評されたりしない環境で遊ぶほうがほっとする。ゲームをプレイすることでその時の自分の頭の状態や疲労が感覚としてわかる。具体的にはケアレスミスを頻発してゲームオーバーになる。昔はそれが契機となってかえって何時間もゲームにのめり込んでしまっていたが、今は「疲れているのならもうやめよう」と諦めがつくようになった。中には諦めずにしぶとく続けることが打開のきっかけになるゲームもあるものの、RPGではなくアクションゲームなどの「引き際」が体調につながっていることは多少なりとも昔を思い出すようで心休まるいっときとなる。
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・明日の雨

2022年08月13日 | コラム
 淡々、恬淡、といった心地になれた試しがないと思う。雨音は雨戸と二重窓で聞こえないはずなのに一時間毎に夜中目を覚まし、とうとう腹痛が始まって朝焼けを眺めながらお手洗いに引きこもっていた。予報よりも遅く雨は降るらしいが、これから来る台風を予言するかのように東の空が真っ赤に染まっていた。不穏な赤だった。一日照って和らいだ夕暮れの日差しとは真逆の毒々しい赤が今日の天気の荒れ模様を予告しているようだ。赤い光を見て刺激されたのかまた胃が荒れだした。出掛けなければいけない。
 支度をしている間に日差しはかえって強まり、帽子を被って傘を持ち家を出た。雨は降っていなかった。すれ違う人も傘を持たずにランニングをしたり、自転車に乗ったりと、天気予報よりも今の空を眺めて出てきたような人ばかりだった。バケツを逆さにしたような帽子を被ってマスクをつけ、格好だけは昨日と変わらない晴天が続いている錯覚に襲われる。けれども空気は湿り、ひたひたと肌に空の雲が染みるような水気をくぐって駅まで歩こうとした丁度そのときにマイクロバスが現れ、私は点滅し始めた青信号を走り渡ってバスに駆け込んだ。乗客は皆傘を持っていた。
 目的地に到着してすぐに雨は降り始め、東向きの風を押し破るように歩いていると、ビルの軒先で自転車にもたれかかりながら茫然と空を見上げてスマートフォンを抱えた人が雨の止むのを待っていた。夕方には台風が来るらしい。
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