えぬ日和

日々雑記。第二、第四土曜更新を守っているつもり。コラムを書き散らしています。

つながるということ

2011年03月12日 | 雑記
震度七という数値を知ったのはiモードのサイトでした。

多くの友達がたくさんの情報を広めていることを知ったのはツイッターのサイトでした。

ことばをもらったのはメールからでした。

このことについては言葉がなにも出ません。ただ人の心がかようことばが交わされているということだけで、自分がそこに関わっていなくとも、少しずつ胸がおちついてゆきました。


外出もなく海に近い職場にいた私は、幸い津波の被害にもあわず、会社で一夜を過ごしてきょう帰宅することができました。
その間にも、電池がじりじりと減る中で連絡を取り合って状況を伝えて、急ぐ心をなんとか抑えながら電車をのりついでゆきました。


きのうと今日が寒かった分、まずは明日が少しでも暖かいことに一息つけますよう。
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梅香のひとつき

2011年03月08日 | 雑記
真珠をてのひらでつぶしたような丸くふくらみのある花びらが五枚、今年の枝を飾る梅は、うまく整えられて庭先を手まりのように愛らしくいろどるのもよく、太い幹からたくましい枝を生やしながらも包み込むように花を咲かせるのもよく、空へ空へと手を伸ばすように背が高く、向かいに立つしだれ桜と遜色のないすらりとしたからだの先で届かない花びらを開いているものを時間を忘れて見上げました。

その花のかたまりを、めじろの番がさかんにつついて蜜を吸っています。幹から最初に枝分かれした大きな枝にそれぞれ一羽ずつとまり、差し向かいで、一番高い枝から順々に顔をうめてゆきます。次の枝に飛び移る時はどんなに近い枝でもかならず細かく羽ばたき、好きな花を好きな格好でつかまえて、何度もくちばしを差し込んで蜜を飲むと、また羽ばたいて向かいの枝に。
ミルクに桜の花を溶かしたような、甘くほのかなのに深い芯の梅色と枝の銀色に混じった二羽の目白の黄緑色が、だんだんと距離を縮めてゆきます。
二羽が枝を移ろうと、つばさを動かして足を離し、足で掴むたびに、枝がさやいで花びらが散ります。
そのたびに花から香りがこぼれおちるのです。

梅はしとやかに香ります。空気にしのばせる香りは、誰かの鼻腔を突き刺すのではなく息を吸い込んでしばらくした後に、ほのかに思い出してから香りはじめる、わずかながらも確かな甘さをもって記憶に残ります。この春の梅の香りも、かぐたびにこんなにも薄かったかな、と思うのですが、あとからあとからしっかりと刻み付けられるみずみずしい甘さでした。

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