彼は学究的ではないし勉強不足だが彼の念頭にあるのは「治国平天下」に他ならず、その限りでは一切の「修身斎家」にはなんの興味もない。彼の少ない学識から「政治」につき「常識」として認識したのは吉本隆明直伝の強権弱民思想であり、政治が常にこのアンバランス上にある以上政治家が「保守」化することはどうみても「停滞」であり有りうべからざる「非倫理性」なのだが、かかる常識にないこの国の政治業労働者連中はおのれの職務を全くこなさず机上に鉛筆を転がして遊んでいるだけで一般市民が得るすずめの涙の給料からすれば途轍もない高給を稼いでいると言う、かかる情けない有様につき少しでも自覚はあるのかと眺めてみればなんのことはない、サラリーマン代議士を地で行くやからで占められているというわけだ。元々戦後の日本の民主主義はイラクアフガン同様のアメリカ押し付け傀儡型のそれであり、「誇り高き大和民族」なら慙愧して消え入るがごとき実態にあるのだが、如何せん、時の権力が居丈高に軽負担国防政治教育方針を継続永続しているが故についに本来的な自己回帰や主体性の回復には程遠いというのが現状である。尤もつらつら慮るに日本の国家権力の実質は「天皇」不可触体質の歴史的「無責任」指導性がどうやら正体で、「天皇制」を制度的に完全に廃止しない限りこの国の危機管理他重大事における機能性は改善しないのだろう。直接的な「我が身」の一大事にならない限りこうした不甲斐なくも恐ろしい政治不在の状況は続く(中断)。
彼は朝鮮戦争勃発と同時に会津の片田舎の温泉町に生まれたが、戦争の名残はラジオの「尋ね人」や周囲の在日イジメ、貧民窟などに散見される程度で肉薄する敗戦の情念に出くわすこともなかったし、教育ライブラリの一環で見せられた「原爆の子ら」はこの国が背負っている不幸にして薄暗い敗戦の影を予感させる程度であった。つまりはこの戦後戦無派の少青年時代は米映画「史上最大の作戦」を観てもBGMに興味を惹かれたくらいの唐変木でしかなくまして晩年に辿り着く沖縄に対してなどはおよそ東映ヤクザ映画の中でヤクザの抗争という場面でしかお目にかかったこともない半可通であった。首里高校の例の甲子園の砂事件は覚えているが沖縄戦米軍統治基地過重負担などということは全くその生活は勿論教育学習学問など通じ一切関係したためしがない。彼が沖縄に移住したのは5年前であり、現在沖縄北部ヤンバルのN村の一隅に新居を構え定住しつつある。彼の以前住んでいた場所は福島県郡山市だった。郡山市から沖縄に移住した途端に東北北関東に大地震大津波が襲来しあまつさえ事故を起こした大熊原発の放射能被害は現在も益々拡大拡散し多分福島県中浜通り全域はおろか県内すべての場所で風評被害含め継続してとんでもない事態になっている。かかる状況ではさながらこれを予見して郡山を捨て沖縄に逃亡を図ったかのようにさえ見えるが断じてそういうことはなく一切は偶然だった。現在郡山市に関しては放射能数値が比較的高い学校関係の校庭の表土を除去してこれを捨て土するのにされる側の土地に住む人々から猛反発を食らってスッタモンダをやっている。こういう土地にもし今頃住していたら自分ならどうしたろうと想像するが、ここに永年住んでいて勤務先もありといった状態ならそう簡単に余所に脱出するわけにもいくまい。つまりは蛇の生殺しに近い放射能浸潤生活を続けるしかないというわけだ。多くの西日本の住人はこれらの事実を「対岸の火事」と思うのが人情かも知れないし、それに対してクダクダ愚痴る気もないが、沖縄基地負担に関して本土の日本人がおなじように「対岸の火事」と思って全く関心を示さないことについてはどういうわけか非常な憤りを感じたのが鳩山失政時の無様な国政実態に触れたときであった。つまり日本人総体と政府こぞっての無視無関心無情な態度を見たときにである。その米軍基地だが、少なくとも彼ら米軍が戦争時に日本人を戦火から守るということの不可能性を今度の大震災で日本人は実体験してしまったので、(大震災大津波核放射能汚染から守れないのにどうして戦火から守れるのだい??)しかも戦争より恐ろしい世界を見てしまったので、今やあらゆるアメリカ従属奴隷輩の基地存続論のまやかしには誰ものりはしないのだ。
小出裕章氏のあきらめきった言説から勝手に推論すれば、世界の核エネルギー思想は(ここにも散見される)先次大戦で真っ先に大量殺人兵器の開発に成功しこれを広島長崎の一般市民の頭上に炸裂させることを憚らなかった征服民族アメリカアングロサクソンどもが欧州と連合し戦後の辻褄あわせに「平和利用」と称して、猛烈な勢いで軍拡した核兵器製造競争と並行して次々と世界中に危険極まりない原発をばら撒いた許しがたい覇権主義の裏返しに他ならない。現実に事故が起これば「手の施しようがない」状態へ危険レベルが上昇することを一般の日本人はようやく気づかされたというこの度の「フクシマ」(日本人よ、気づいてくれ、「ヒロシマ」とおなじことをまたしてもこの国は体験させられているのだよ)の惨状だが、ここでアメリカ海兵隊が「トモダチ作戦」とやらをかまして自己の行為の罪滅ぼしをしたという実情に気づかねば成らない。ましてやこの当然以下の活動を「うまく利用して」普天間固定化を図ろうとしている国賊北沢防衛大臣以下民主政権の末路は地獄行きと決した。