沖縄では、先日、辺野古移設推進県民の会設立を画策する一派が、およそ300名宜野湾市に集って会合を開いている。
名護、宜野湾市議会議員などのほか国会議員もこれに同調していて、西銘恒三郎(自民)、島尻安伊子(参)、中山恭子(維新)や島袋前名護市長らが名を連ねている。この糾合は今後全県キャラバンを組んで数万人署名を集め10月に地方議員、国会議員の会設立、11月24日には総決起大会を開催するらしい。
この極めて政治的な動きというのは、例えば西銘や島尻などは選挙対策で以前は県外移設を唱えていた張本人であり、どうしても信用ならぬ胡散臭いものを発しているわけで、普天間飛行場危険性除去のためには辺野古の犠牲は仕方がないという論調から、事態の推移を十二分に観察しないインスタントな空騒ぎを想像する。
差し迫っている仲井真知事の「公有水面埋め立て承認」決裁を睨んでのことだが、今や普天間閉鎖の現実性はなきに等しく、あっても恐らく10年、20年はあっというまに過ぎ去るであろう。つまりアメリカは普天間固定化を既に決定しているのだ。
これに対し、県民総意は辺野古移設反対で決しており、殆ど何の意味もない移設推進という政治活動は愚にもつかぬ政府ベッタリの恥も外聞もない、「政治屋」たちの暇つぶしとしか言い様もないことになる。
大衆運動の流れは、事に即して非暴力不服従を貫く以外手立てはないのであり、その対象が日本政府であったり米政府であったり沖縄防衛局であったり、あるいは工事屋、測量隊、警官隊であるわけで、日米の強権主義が行使する反人民行為を食い止めるための体を張ったものになっている。
現状、言ってみればこの決裁がどちらに転んでも、実際の普天間閉鎖、辺野古埋め立てはむしろ宙に浮いた形になるに決まっている。というより、県知事が承認したなら直ちに県知事リコール請求となり、全県的反対運動がより過激な局面を迎えるに違いない。いずれにしても沖縄の自然破壊と住民ストレスを倍加する軍事基地の増設など人間の仕業ではない。あの戦争と原爆、原発事故といった、米国の犯罪性を帯びた行為の犠牲になるのはもう御免だ。(つづく)