JCP市原時夫です

千葉県房総の睦沢町から、政治・経済・歴史・オペラ・うたごえを考えるgabuku@m12.alpha-net.ne.jp

ショスタコービッチ「交響曲第5番」は20世紀の傑作とされてた

2015年02月02日 | Weblog
「棒を振る人生」お薦めの理由 その③
◎佐渡裕氏が思っていたとおりの方だなあと感じたヶ所がここです。若い頃スイスの管弦楽のリハーサルで楽団員から「マエストロ、そのテンポでは弾けない」と指揮者を試すことを言われ、出来るというならとヴィオラを差し出して「弾いてみろ」と言われ、佐渡氏は「『ヴィオラが弾けたら、指揮者になっていない』」瞬間、みんながワッと笑った」。
 作為のない、ヨーロッパ人の好むようなジョークをとっさに言える、素直さとその人間性がいいですね。
 こんな、ジョークが言えたら素敵なのですが。
◎「指揮者の独裁的な支配ではなく、オーケストラがいわば民主的に運営されることは、一方では、いいことだろう。一方で客演指揮者にしてもソリストにしても、団員の多数決できめていくことが、本当に言い音楽をつくりことに貢献するのかについては疑問も残る」と佐渡氏は書いています。私はこの考えに賛成です。芸術は個人の感性、努力、能力によることが大きく、作品をどう創るかについては、多数決では決められないと思うからです。
 びっくりしたこと「僕が応募データを見ないまま、演奏だけを聴いて演奏者の出身地や性別をあてるというクイズ」「正解の確立は7~8割だった」こうした人と同等の立場で決定できるだろうか。
 ◎私のクラッシックの疑問に、カラオケでは当たり前の移調(キーを変えないのか?)という問題があります。この本では長調・短調の調性のちがいと言う形で、ニ短調のレの音とニ長調のレの音とのちがいを明確にしています。やはり、移調して演奏することは作者の意図とはちがうことになるのでしょうね。
 ◎なぜ、佐渡氏はショスタコービッチの「交響曲5番」をよく演奏するのか?という疑問がありました。氏は「「交響曲第5番」は20世紀音楽史上の傑作とされ、数多くの指揮者が演奏してきた。」と書いています。
 私は、友人にすすめられ「交響曲第4番」の衝撃的な音を聞いてから(CDだけでなく、友人の招待でサントリーホールでの日本フィルの生を聞き、「ブラボー」と叫ぶような音楽ではなく、重々しく考えさせられる音楽でした)「交響曲第5番」を聴いたので、その伝統的な音楽回帰にショスタコービッチの才能と転んではただで起きない姿勢にすごさを感じたのですが、この5番という音楽だけで聞き直す必要があるようです。
 ◎「すぐれた音楽は優れた音楽家たちによる演奏として立ち現れる」と言っています。才能と努力に裏付けられた高度なテクニックを前提とした言葉だと思います。一方「1万人の第九
」について「ベートーベンの作品の核心に触れるきっかけとなった」と述べています。「ガラガラ声もキンキン声も全部受け入れるから、一人ひとりが主人公になってほしい」まるで日本共産党の基本姿勢のようですが、佐渡氏は「一万通りの人生を響かせる」と言っています。一方では、職人技がすぐれた音楽を創り出すといい、一方では、そんな技術のない多様な人々が「ベートーベンの核心」と言う、この矛盾するようなことへの柔軟な姿勢が、佐渡氏の魅力であり、音楽にとどまらない、人間の創る出すものへの信頼ではないでしょうか。
 その他、数多くの考えさせられる問題が提起されています。お薦めです。

自由な表現と共同 笠木透さんのこと

2015年02月02日 | Weblog

笠木透追悼コンサートに行ってきました。
笠木氏に影響を受けた、フォークグループ、個人8組が笠木氏のことを語り歌い、彼の思いの一端を知ることが出来ました。
 私は、日本社会の異論を許さず権力の元に一体化させる流れから、自由な個人の自由な共同の広がりを感じています。
 笠木氏は、この思いをフォークソングというジャンルで、人を育てたということだと感じました。ここが、日本のミユージシャンの中で決定的に違うところではないでしょうか。今回の歌でも「一人一人ばらばらで、いっしょがいい」というような歌詞の歌がありました。
 私はこれまで、笠木氏の思いは、「歌のうまさではない、個人が、その思いを表すこと、伝える人を増やすこと」だと思っていました。
 今回は「歌った以上そのように生きろよできないことは歌うな!」と生き方そのものへと求めています。
 閉塞感の中で、反動的な打開をねらう勢力と自由・平和・民主主義・くらしをまもる、運動の広がりとの先鋭な対決の時代を直感していたのだと思います。
 今回の出演者にも、その気概を感じることができました。
 音楽的には、アメリカンフォークという同じ傾向のものです。山本さとしさん(ヒロシマの有る国での作者)は、叙情的なメロディーで違いがありました。
 みなさんそれぞれ、20年30年という長いバンドで、女性のすばらしさが目立ちました。
 「ヒューマン・ファーマーズ」や「いわき雑魚塾」のように、部分的にジャンルをこえた音楽集団との交流を積極的に広げているグループなど、笠木氏の思いを発展させる活動にも注目しています。
 出演者 ヒューマンファーマーズ、いわき雑魚塾、館林ロストシティ ランブラーズ、ウッドランド リンキング、ぽこ・あ・ぽこ、山本さとし、大沢和代、増田康記。