JCP市原時夫です

千葉県房総の睦沢町から、政治・経済・歴史・オペラ・うたごえを考えるgabuku@m12.alpha-net.ne.jp

小規模水力発電にミクロネシアからも引き合い

2015年02月26日 | Weblog

「ちば民報」3月1日号に、船橋市が地元企業と行っている小規模水力発電実証実験が紹介されています。
 現在、1.5キロワットから10キロワットの発電装置で工事費込みで役1000万円とのこと。
 ミクロネシアからの引き合いもあり、自然エネルギー活用の現実的試みです。





記事の内容です。

いつでもどこでも発電
 
船橋で実証実験

 船橋市が地元のモーター製作会社・協和工業(株)とともにマイクロ水力発電実証実験をおこなっているというので、実験施設がある西浦下水処理場を訪ねました。
 対応していただいたのは船橋市下水道施設課課長の篠田晃司さん、協和工業(株)代表取締役会長の板谷直正さん。板谷さんは船橋商工会議所の副会頭も
なさっています。
 場所は船橋市南海神の工場地帯にある下水処理場、最終処理を終えた水を二俣川に流し込むところにありました。処理水のプールから川まで落差2~4メートルほどをサイフォンの原理で落とします。
 発電機はパイプライン7メートルほどの中間に据えられており、毎時5キロワットのものといいます。ちょっと見たところでは’、パイプラインの一部がほんの少し膨らんでいる程度にしか見えなく、また音も静かで、近くの湾岸道路の騒音にかき消されてしまうほどでした。
 この施設は実証実験ということで、パイプの一部が透明になっていて、水の流れがわかるようになっていました。現在は発電量などのデータを取るだけにしています。
 市では今後、電気自動車へ蓄充電し「小水力透明部分では、水流に空気が入っていることが確認できました。
 協和工業では1・5キロワットから10キロワットの発電装置を開発しており、費用は今回クラスの装置では工事費込みで約1000万円です。「試算では5年から10年で元が取れる」とのことです。

 空洞化、3・11契機に  いいますから、また一つ可

 板谷さんの小水力発電への思いを伺いました。会社はかつて、ほぼ100%日立の仕事を請け負ってきました。15年くらい前から、製造業が海外に出てしまうという、産業の空洞化が進んできました。「そのままでは私らも食べていけませんから、自立して仕事を作らないといけない」と、従来からのモーターやOA機器の部品作りなどに加え、新たに健康・環境・エネルギーをキーワードに事業を広げています。 また3・11も大きな契機でした。大学と共同して開発した電動歯ブラシ、バイオの力による生ゴミ処理のシステムなどもやっています。
 自然エネルギーの分野では、まず最初に風力発電に取り組みました。ただ風力
は「風まかせ」なので、今はどこでもいつでも発電できる可能性を秘めた、小水力に転換してきたといいます。
 小水力の出力は一見小さくても、24時間発電できることに注目しました。一番の課題は低落差・低回転での発電効率を高めることでした。そこで、東京理科大の研究室に参加してもらいました。また風力発電のときに関わった、板金関係の会社との連携も維持しているといいます。
 このシステムは水の流れさえあればいいのです。
 「農業用水からスイミングプールの循環水、食品会社や製鉄など大量の排水があるところも、大きな可能性を秘めています。食品や製鉄関係などは24時間動いて 能性が広がりつつあるよういるし、今は単に捨てているだけ。
 あまりにも、もったいないじやないですか。発電し生活用水に農業用水や河川は、今は管理が省庁ごとに縦割りで大  板谷さんの会社には、
変なんですが、農業に携わる方々がここに付けられます」と板谷さんはいいます。山間の観光地などでも、「小水力」ということなら様々な場所が考えられるそうで、今もそうした自治体から板谷さんの会社の相談があり、また、勉強に来ているといいます。
 お金がなければ導入できないかといえばそうとも限らない状況も生まれています。リース会社もその扱いをにらんでいるといいますから、また一つ可能性が広がりつつあるようです。

発電し生活用水に

 板谷さんの会社には。 「ミクロネシアの島々の発電施設を」と海外からの引き合いもあるといいます。ミクロネシアでは、かつて日本が統治していた頃に発電施設が作られましたが、今はどこも古くなりメンテもしなかったことから、ほとんど機能していないそうです。現地では重油を使うディーゼル発電機に頼っています。そんなわけで夜になると真っ暗になってしまいます。
 最近ようやく太陽光の発電システムが導入されて、夜はそれを使って子どもたちが勉強したり、本を読んでいるのを板谷さんは見てきました。「あちらではスコールが必ずありますから、それをうまく貯めて小水力発電機器をたくさんつけて再利用しながら発電ができます。最後は生活用水にすればいい。そんなことをODAなどで取り組めば、日本らしい良い支援になります」。そんなわけで国内より海外の方が先に動く可能性もありそうです。
 今は、東電への売電となることも多いようです。板谷さんは、「その地域で作った電力をその地域で使う地産地消の考えが大事」としながら、一方で、「水力の売電は1キロワットあたり35円くらい。太陽光の買取価格が下げられたけれど、水力は元から低いのでかわっていません。東電に自然の発電を売電し、東電の安い電気を使う」という考え方もあっていいと言います。
 ところで電力会社は、急増する自然エネルギーの接続を拒否したり、需要を上回る電気を買わないなど、自然エネルギーの普及に抵抗しはじめています。原発の発電を最優先にする露骨な「自然エネルギーつぶし」とも受け取れる対応です。国は自然エネルギーの割合を3、4割と高めているドイツなどを見習い、適切な指導や助言が必要ではないでしょうか。
        (編集部)