JCP市原時夫です

千葉県房総の睦沢町から、政治・経済・歴史・オペラ・うたごえを考えるgabuku@m12.alpha-net.ne.jp

TPP関税撤廃で、長生郡でも壊滅的打撃

2010年12月19日 | Weblog
 17日の12月議会で、私はTPP参加の場合の睦沢町農業の影響の実態の公表を求め、全議員に配布されました。睦沢町酪農は完全に壊滅、コメも残るのは5.4%というおそるべき状態です。
資料はここをクリックしたください。


食料主権は世界の流れ
 まず、明らかにしなければならないのは、食料主権は世界の流れであり、TPPを許さず、食糧自給率を向上させることは、国内農業のみならず、世界に貢献することだということです。食料主権とは、「自国民のための食料生産を最優先にし、食料・農業政策を自主的に決定する権利」でありTPPはこの趣旨に反します。
 農業は他の産業とちがい、動植物の生育に依存し、自然環境に制約され、生産条件も各国の間で大きな差異があり、国民食料を安定的に供給することや、そのためにどんな農業・食料政策をとるかは、各国の主権に属する問題であり、もともと市場まかせに出来ない分野です。いま、世界は、食料を市場任せにするこちよる害悪が明らかになり各国の「食料主権」の確立を求める流れが広がっています。 
 2004年4月16日に、第60回国連人権委員会で、「各国政府に対し食料に対する権利を尊重し、保護し、履行(りこう)するよう勧告する」。こういう内容の「食料に対する権利に関する特別報告書」が出され、この報告書に関する決議が、日本を含む圧倒的多数の国の賛成で、採択をされました。
、加盟国は53カ国で、反対をしたのはアメリカ、棄権票を投じたのはオーストラリアでした、まさに、自国の農産物の輸出の拡大のために、世界の流れに逆らってごり押ししようとする、アメリカなどのいいいなりになっていいのかという問題です。
 世界の食糧不足にも貢献し、日本国民の食の安全・安定供給そして、美しい自然と環境を守り、次世代につなげることこそ、私たち世代に役割だと確信してするものです。 

 世界一の純輸入国
 第2の論点は、日本は世界一の農産物の産物純輸入国であり、鎖国から開国へという認識は誤りだということです。
 輸入額で 申し上げますと、日本は、438ドル、イギリス307億ドル、中国202億ドルとなっています。一方、インド90億ドル、オーストラリア159億ドル、アメリカ18億ドル、ブラジル370億ドル農産物の純輸出額の輸出国ですから。日本の農産物の輸入がいかし開かれているかがはっきりします。
 関税率で言いますと、日本の農産物の平均関税率が11.7%、インドが124.3%、韓国62.2%、・・・・EUが19.5%日本が11.7%、アメリカが5%となっており、アメリカも乳製品や砂糖など保護しなければならないもにについては、輸入規制を続けているわけですので。もっとも開国されている国の一つということになります。

 世界的食糧不足に逆行
 第3の論点は、食料増産による自給率向上による他国依存をやめることは、世界の食料不足の中での大きな国際貢献になるということです。
 世界の食料自給率は、2007年カロリーベースでオーストラリア173,カナダ168、アメリカ124、フランス111、低いところで、韓国44、日本40とまさに最下位クラスです。
 地球的規模での食料不足が大問題になっていますが、国連食糧農業機関が9月14日に発表した世界の慢性飢餓人口は9億2500万人に上り、09年11月の食料安全保障に関するサミット声明は「2050年には90億人を超えると予想される世界の人々に、食料を供給するためには、農業生産を70%増加させる必要があると見込まれる」強調しています。世界はもはや「食料は金さえ出せばいつでも輸入できる」時代でなく、また、食料の取り合いで他国の競合する事態を生まないことこそ、国際貢献です、TPPはこの方向に逆行する仕組みです。

 その影響農業だけでなく、地域経済、生態系破壊にも
 第4は、農業、地域経済、そして生態系への破壊的な影響という問題です。
 影響の実態
 農林水産省の試算では、たとえば、千葉県の農産物出荷への影響を見ると、コメは9割が外国産に置き換わり、残り1割は価格が39%低下するとしています。減少率は94%となるとし見られます。麦は消滅、乳用牛は消滅、など、睦沢町の農業は壊滅状態になることは明らかです。経済産業省は、TPPに参加しない場合の雇用減81万人としているが、農水省は、参加した場合の雇用減を、農業やその関連産業などを合わせて340万人と、不参加の4倍以上にもなるとしている。
 また、消費者の立場でも食の安全と安定的な食料提供を根底から破壊すること、
 さらに、生態系保全の役割が破壊されるということです。国会での農水大臣によれば 学術会議の内容として、洪水防止機能、土砂崩壊防止機能で年間約8兆円、森林では表面浸食防止機能、水質浄化機能などで年間約70兆円、水産業・漁村では、物質循環の補完機能、生態系保全機能などで年間約11兆円とその役割が明言されました。
ここが壊されてしまうということです。
 地域経済でいえば、たとえば北海道音更(ふけ)町の寺山町長は、「土木建設会社、運送業、製造業などにも波及し産業も雇用も失われて町は崩壊する」と述べています。
 
TPPと自給率向上は両立できない
 第5は、TPPと農業振興は両立できなということです。
 管首相は、開国と農業の両立をはかると言っていますが、たとえば、壊滅的打撃を受けると試算された、北海道農業、酪農のレベルは、一戸あたりの面積でも頭数でもEUより大きく大規模化しているのに、太刀打ちできないことは国会質問でも答弁がありました。 また、日本の米価の4分の1のアメリカ産米がそのまま輸入されれば、戸別所得保障制度を維持しても400万トンのコメが輸入され、コメの自給率も40%に下がると指摘し、どうやっても自給率は下がるとの指摘し対し、鹿野(かの)農水大臣は「計算に強くないのでこうだと言及するには時間が必要」と答弁不能に陥るような状態です。
 農水省も「巨費を投じて所得保障をしても、外国産農産物の輸入増加を止められず、国内農業の縮小はさけられない」としています。
なお、大規模株式会社でも経営が成り立たない状況です。農水省の調査によると08年31法人が参入しましたが、後退しています。黒字の法人は11%、赤字は63%と全国農業会議所のアンケート調査結果が示しています。
 

 アメリカ・オーストラリア、輸出大企業の自動車・電機産業のため
 それでは、いったい何のためのTPPかということになります。
 今回参加を表明している国は、シンガポール、ニュージランド、チリ、ブルネイの4カ国、交渉中が、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアの9カ国ですが、すでに、シンガポール、チリ、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ペルーなどは、FTA(自由貿易協定やEPT経済連携協定)を結んでいるわけですから、TPPは実質的にはアメリカとオーストラリアのためだということは明白です。
 アメリカは、日本の農産物輸入の32.5%と最大なのに、オバマ大統領は「全世界の市場を開放し、輸出を増大させる合意でなければならない」とTPP参加のねらいを語っています。
 そして、国内では自動車、電機などの輸出大企業が推進しています。しかし、その恩恵が国民回らないことは、この間、リストラなど労働者を犠牲にしてもうけを増やしてきたことからも明らかです。逆に、海外進出と称して、国内空洞化をさらにおしすすめ、過剰労働者人口だとしてさらなるリストラの可能性があります。
 09年末に内閣府でまとめたミニ経済白書でも「輸出の増加が・・・会計部門にも波及するというシナリオが描かれてきたが、そのシナリオは結果的には期待されたほど実現せず、長期にわたる「実感なきj景気回復」で終わっている。と述べているほどです。
 日本経済の再生には農業はじめ、国内需要の増大こそがカギであり、長期的にはこの方が大企業の健全な発展にもつながることは、近年のアジアの経済発展の状況を見ても明らかです。

 反対の声の広がり
 こうした、実態だからこそ、幅広い反対の声が上がっているのではないでしょうか。
たとえば北海道では、北海道農業協同組合中央会(JA北海道中央会)、北海道経済連合会、北海道消費者協会、北海道漁業協同組合連合会、北海道森林組合連合会の5団体が共同で集会を開き反対を表明しました。
 東京でも、▽全漁連、▽北海道議会農政委員長、▽鹿児島県商工会連合会・会長、▽みやぎ生協・理事長の決意表明や6政党も参加した反対集会が開かれています。
 農林水産団体だけでなく、経済界、地方議会、消費者団体幅広い反対の声が上がっています。
 さらに、農業委員会全国会長代表者集会、全国町村長大会反対の決議を上げています。