2005年12月のブログ記事一覧(2ページ目)-ミューズの日記
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前回お話した②の時間軸上での応答をめっちゃ良くしたのが、ミューズで見かける白い卵のスピーカーなんですが、それじゃあどんな部屋でも、どのように置いてもそのスピーカーはいい音で鳴るかってえと、それがおっとどっこい、なかなかそうはいがねえ。そんなにうまぐいっちゃあ面白くねえべな。趣味ってえのは、ちょっくらめんどぐさくなげりゃあ趣味にならねえべ?誰がやっても10年やってるもんとおんなしことがすぐできちまった日にゃあおめえ、趣味としちゃあおもしろくねえべ?(だんだんとうほぐべんっぽぐなっできじまっだでねえが)考えてみれおめえ。2年も3年も、雨の日も風の日もゆびさぎいだぐなるぐれえギダーさ練習してえ、やあっとごさラグリマさあ弾げるからおもしれえんだあ。昨日はずめでギダーさ買っでぎだやづがさなあ、すっと弾いでみでしまっだらおめえ、おもしろぐねえべさ。やっぱ趣味ってなあめんどぐせえもんさな。わがるが?わがっだらそうおもっでしっがり練習さしてけろ。(それにしても東北弁ってなんでこんなに濁点が多いんだ?)

そこで話を元に戻すと、CDに録音された音、つまり演奏家やディレクターが意図した音だけしか出さないあの卵のスピーカーを上手く鳴らすには、その部屋がなるべくデッドな方が良いんだなあ。デッドったって死ぬんじゃねえぞ。音があまり反響しないっつうこと。何故かっつうと、スピーカーを鳴らしている部屋にも前に言った「周波数特性」っちゅうややこしいもんがあって、スピーカーから1の音が出ても、周波数によっては聴いている人間の耳には1として聞こえないことがある。ことがあるどころかそういうことの方がずっと多いから始末に悪い。せっかくやっとの思いでスピーカーの音を良くしたのに、置いた部屋によって音が変わってしまうとは、「なんとご無体な」と思うでしょうが仕方が無い。それはその部屋によって音の反響の仕方や逆に吸収の仕方が、低い音から高い音まで同じじゃないことからそうなっちまう。でも録音された音しか出さない卵のスピーカーとしては、おかしな反響をしてCDに入っている音と違った響きになってしまうくらいなら、部屋はなるべく響かない方がいいということになるな。このあたりが従来あった箱を鳴らすタイプのスピーカーとは決定的に違うところじゃて。そういったほかのスピーカーは元々箱が鳴って、録音時とは違う音を出してしまっているので、「もうどうでもいい」っていやあ「どうでもいい」。あたかも「最初から入っていた音か」のように聞こえさえすりゃあええ、てなもんで、「やつらそもそも最初の音なんか知りゃあしねえ、おめえら、かまうこたあねえ、やっちまいな」てな具合で悪事のやり放題。遠山の金さんか大岡越前、はたまた水戸のご老公にお出まし願って、「元の音はこうじゃった」と言ってもらわにゃだあれもわかりゃせんがな。

そこで試しに卵のスピーカーをセットした部屋の壁や窓に厚いカーテンを張り巡らしたり、床にじゅうたんを敷いたりして反響を抑えてやってイエペスおじさんのCDでもかけてみな。おじさんが生き返っちまうぜ。「なむあみだぶつ。なむあみだぶつ」じゃなかった「アーメン」。おいおい、水戸黄門が出てきたからって、なんだか急にまわりに年寄りが増えてきたんじゃねえか?

                      内生蔵 幹

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昨日は今年二度目の大雪で交通機関に影響が出たにも拘わらず、『酒井康雄・野村芳生デュオコンサート』には大勢の方に来て頂きました。
流石に中部を代表するギタリストだけあってファンも多いんだと改めて思い知った次第です。また、お二人のデュオコンサートは3年ぶりとあって楽しみにしていた方々が居たんでしょうね。それにプログラムも魅力がありましたね。お話によると野村さんが殆どプログラムを決めた様ですが、カルッリ(最近はカルリではなくカルッリと書くようですね)、グラニャーニなどのギターの古典から19世紀のノルウェーの大作曲家・グリーグのピアノの抒情的小曲集から野村さんご自身の編曲による曲、そして現代の作曲家二人、ギターの曲では『歌と舞曲』で有名なルイス=ピポーのピアノ曲のアレンジ、そしてセゴビアの為に多くのギター曲を書いたテデスコの名曲、それにプラスして誰も知らないタイの作曲家のギター作品とそんじょそこらのプログラムとはチョット違うものでした。

<プログラム>
デュオ No.2 Op.146 フェルディナンド・カルッリ
 1. ラルゴ
 2. ロンド アレグレット

カルッリに捧ぐ二重奏曲 No.2  フィリッポ・グラニャーニ
 1. アレグロ
 2. アダージョ
 3. ポラッカ
 
8つの抒情的小品        エドヴァルド・グリーグ(野村 芳生:編曲)
   
  1.アリエッタ   Op.12 - No.1
  2.ワルツ     Op.12 - No.2
  3.ゆりかごの歌  Op.68 - No.5
  4.妖精の踊り   Op.12 - No.4
  5.メロディ    Op.47 - No.3
  6.ハリング    Op.47 - No.4
  7.ノクターン   Op.54 - No.4
  8.余 韻     Op.71 - No.7

3つのタイ民謡         ウォラテプ・ラタナ=ウンパワン
 1. 美しい魔法の鶏
 2. カンボジア人の牛追い
 3. 神の招き

ボサ・ノヴァ風に        アントニオ・ルイス-ピポー
 ~ヴィラ-ロボス賛歌より~

前奏曲「エル・パティオ」    カルロス・グァスタヴィーノ
                (J.M.サラーテ:編曲)

カノン風ソナチネ Op.196    マリオ・カステルヌォーヴォ-テデスコ
 1. モッソ
 2. テンポ・ディ・シチリアーナ
 3. ロンド・アン・ファンダンゴ

お二人ともこの季節は超多忙でなかなか二重奏を合わせる時間を作れなかった事を知っている私としてはどんな演奏になるのかやや心配していましたが、なんのなんの、流石にお二人ともプロですね。見事に全プログラムを弾き切りました。お二人は楽器も違うし(酒井さんはルビオ、野村さんはフレタ)、普段はかなり違う音質と音楽を感じさせるお二人ですが、何故か二重奏をするとその異質なものが溶け合って一つの音楽を作るんですね。この辺りもやはりプロの仕事なんでしょうね。

私はグリーグの曲が好きでしたね。野村さんのアレンジもいいし、元々の曲もいいんでしょうね。とても楽しく聴けました。タイの曲もとってもアセアンしてますが、鶏の泣き声をまねる擬音も面白かったし親しみを感じました。今度楽譜を追加注文しておきます。テデスコの曲は昔『プレスティーとラゴヤ』でよく聴いた名曲で楽しみにしていました。結構難しい曲なんですが、カノン風の掛け合いを上手く聞かせてくれて楽しめました。
酒井さん、野村さん、楽しいコンサートをありがとうございました。

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ブログ『ミューズの日記』も装いを新たにしましたが、如何でしょうか?気に入っていただいてますでしょうか?
今夜は酒井康雄・野村芳生デュオコンサートがありましたが、そのご報告は明日に譲ることとして、気になる内生蔵さんの連載の続きをお届けします。今日でスピーカー編も4日目です。

えへん。このあいだのおねえちゃんは・・・・。じゃなかった卵のスピーカーは、この前言ったように、なかなかひつこい人が七転八倒、悪戦苦闘して考えたあげく考え出した(なんのこっちゃ)苦肉の策の大発明なのです。これにはいろんな人がびっくりしたんですねえ。また出てくる音にもこれまたびっくり。なんとなんとギターのCDをかけると、両側のスピーカーからはまったく音が聞こえず、スピーカーとスピーカーの中心の少し奥に、しかも少し上にソロギターの音がスパッと定位するんだねえ。何と気持ちのいいことか。やっと背中のかゆいところに手が届いたようなもんだわなあ。今まで聞こえなかった音があとからあとから聞こえてくるんですなあ。ギタリストの息遣いや指さばきといった緊張感というか空気感というか、そういったものがまざまざと伝わってくるんですわ。これは今まで経験したことの無い感覚ですぞ。ぜひ一度お試しくだされ。

 そしてもうひとつ忘れちゃいけない重要なことがある。それはスピーカーの特性を現す方法はいろいろあるんだけんど、代表的なものを上げると、①周波数領域での評価と②時間軸領域での評価というふたつの評価方法がある。またちょっと難しくなって恐縮だけんど、①はよく周波数特性と呼ばれるもので、ほとんどのスピーカーは「周波数特性がどれだけフラットか」ということを重要視しています。つまりアンプから1の入力を入れた時に、スピーカーからも1の出力が出るかどうかということなんだなあ。つまり銀行に1000万円担保で預けたら1000万円まで借りることができます、というようなもので(変な例えだけど、今これしか思いつかないので勘弁してね)、普通1000万円預けても1000万円まで借りられなくて、800万円までにしてね、なんて言われてしまう。でも中には気前のいい銀行があって1000万円預けたのに1200万円貸してくれたりする。それが周波数特性であって(どうもムチャクチャなたとえだなあ)とにかく低い周波数から高い周波数まで1入れたら1出てくる。そんなスピーカーを良いスピーカーと言ったりする。

しかしここで実は落とし穴がありまんねん。(急に大阪弁か?)周波数特性がフラットだといい音がするのか、と思うとどうもそうではないような気がするんだなあ。周波数特性がフラットだと称するスピーカーを聴いても、いつも良いとは限らないような気がする。そうでんがな。じつはもうひとつの時間軸領域での評価を忘れてまんがな、という人が出てきたんでおまんがなでありんす。(なんのこっちゃ)
では時間軸領域での評価とはどういう評価かというと、スピーカーにひとつの「パルス」を入れた時に、そのパルスと同じようにスピーカーが急激に立ち上がり、そのパルスが止まった時にスピーカーの振動もスパッと止まるか、ということであります。これがまた実はなかなか難しいことでして、スピーカーのように質量のあるものはなかなかすぐには立ち上がりません。血圧の低いおじんのようなものです。また一遍動いてしまったら、止まれといわれてもそんな急には止まれまへん。坂道を降りだしたおばんのようなもんであります。(下世話な例えで申し訳ない)しかもそれに加えて箱も振動したときちゃあ、たまったもんじゃあありません。箱はもっと止まりません。従って音はめちゃくちゃになってしまいます。そこで先程のひつこい誰かは考えたんだなもし。(急に松山弁か?)
因みに「パルス」が解からないそこの君。ちょっとかわいい子。今度私がミューズへ行った時に教えてあげるからね。そこのむさい君。君は自分で勉強してきなさいね。

話を元に戻してさっき言ったひつこい人が「車は急には止まれない」を「止めてやろうじゃねえか」と。「エンジンの加速が悪い」のをエンジンの高性能化と軽量化、それと「味の素」も振ってやって「良くしてやろうじゃねえか」と七転八倒、四面楚歌、煮魚定食食べながら、またもや四文字熟語を駆使してやったんですねえ。そしてできたのがミューズ亭主人の山下さんが、皆さんが来たら素敵な音楽をかけてくれるあの卵のスピーカーなのですぞ。「頭がたかあい!」といったところで今日はこれまで。恐れ入ったらミューズで何か買って帰るように。ああこらこら。そこのにいちゃん。だまってこそこそ帰るんじゃない。弦の一本も買って帰んなさい。


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どこまで話しましたっけ?あそうそう隣の痛風のばあちゃんの音像が二つというとこまででしたね。
スピーカーが振動しても一緒に振動しない箱なんてどうやって作る?できるわきゃあないがな。そうなのです。できるわけはないのです。
振動というものは本当に性質が悪いやつでして、どんなことをしても伝わります。接触していれば。いや、接触して無くても空気を介して接触しています。物質は空気も含め、全て振動を伝えます。伝えやすい周波数が多少違うだけで、必ず伝わります。真空にしたら伝わらないんだけども、肝心な音も伝わらなくなっちまうし、第一その前に息ができんがな。ステレオ聴こうと思ったら窒息してどうするう。

あ、ごめん。周波数って分かりました?前に言いました空気の疎密が伝わって音と感じるのですが、その空気の疎密の速さっつうか、一秒間に何回その疎密を繰り返すかということが音の高さに関係してきます。440回繰り返すのが音叉でおなじみ「ラ」の音ですね。
あ、そこのあんちゃん。ちょっと難しくなるとすぐ外を通るおねえちゃんの方に気がいって。ダメ!ちゃんとこっちを向いて聴くように。

振動しない箱は作れない、ということは分かっているのですが、そこで、作れないまでも振動し難い箱は作れるかも、となかなかひつこいことを考えた人がいるんですね。サラ金よりももっとひつこい人。食い下がってやってみました。そしたら結構なかなかのものができたんですねえ。それが皆さんミューズ音楽館へ行った時目にするあの白いスピーカー。あの卵の形をしたスピーカーなのです。

ご存知のように卵の形というのは、結構強度が高いんですねえ。そして重要なことは内部に平行な壁がない。平行な壁がないから反射を繰り返すこともない。スピーカーの後ろに出た音を自然に減衰させることができるという、結構なすぐれものなんです。しかもスピーカーが内部で宙に浮いています。宙に浮いているといっても、無重力状態にしてあるわけではなく、宙に浮いているのに限りなく近づけて取り付けてある、ということなので誤解しないように。そこのあんちゃん。いいですか?今通ったおねえちゃん、わりかし良かったねえ。「えへん。失礼」

あとは箱の材質を極力振動し難いものにしています。普通スピーカーの箱は木でできていますが、この卵は特殊な樹脂でできています。どんな樹脂かというと・・・・。とにかく特殊な樹脂です。それ以上訊かないように。とにかく特殊な振動し難い樹脂で卵を作り、その中にものすごく重いアンカーという錘があって、その錘にスピーカーが取り付けてあって、それ自体が卵の中で限りなく浮いている状態に近い状態で(ああややこしい)入っていると考えるように。いいですか?そこのあんちゃん。今外を通っているおねえちゃんの携帯を訊いてきなさい。「えへん」
今日の授業はこれまで。私はあんちゃんと先に帰ります。皆さん、よく復習をしておくように。いいですね。
                     内生蔵 幹

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 先日は世の中のほとんどのスピーカーが、実はふてくされたのち、開き直って箱を鳴らしている、というところまでお話しました。
今日はその続きですが、何故スピーカーはエンクロージャーと呼ばれる箱を必要とするのかおわかりですか。その答えは「音」というものの正体に関係しています。結局箱は必要なのです。

皆さんは音というものは空気の「疎・密」なんだということは知ってますよねえ。なに?知らない。それは困った。それではなるべく分かりやすく説明すると、スピーカーのコーン(とうもろこしではありません)が前に出ると空気を圧縮し、そこの空気は密になります。反対にコーンが後ろに下がるとそこの空気は疎になりますが、その空気の疎密が待機中、じゃなかった大気中を伝わり人間の耳の鼓膜を動かします。そうすると人間はそれを音と感じるのです。
ここまではいいですか?よそ見をしないように。ここからが大事なところなんだから。

ではスピーカーの裏側はどうなっているかというと、実は前に出ているのとまったく同じ音が裏側にも出てるんですなこれが。知ってた?
でもここでしばし待て。よく考えてみると、スピーカーのコーンが前に出てそこの空気を圧縮して密にした時、スピーカーの後ろ側の空気は疎になっとるんだわなあ。要するに空気の疎密が逆なんだわ。(なんで急に名古屋弁になっとるんだ?)これを専門用語で言うと「移送、じゃなくて位相が180度ずれとる」っちゅうんだわなあ。これはちょっとまずいことになった。ギターでimimと弾いてるつもりが、いつのまにかmimiになってしまっとるようなもんで、同時に聞こえるとなんかおかしい、ということになる。なんとかスピーカーの後ろに出ている音を聞こえんようにしたい。(まだ名古屋弁が直っとらん)そこでスピーカーをムチャクチャ大きな板、どれくらい大きな板かというと、理論的にいうと無限大に大きい板ということになるが、その板に穴を開けスピーカーを取り付け、うしろに出た音が、前に聞こえなくしてしまいます。そうすればうしろに出た音は聞こえず、音楽を聴いている人は音楽が変に聞こえなくてすむ。しかし考えてみたら無限大に大きい板(壁と言っても良い)をどうやって自分の家に置く?まさか家の壁に穴を開け、そこにスピーカーを取り付けて、スピーカーのお尻を壁の外に出すか?そんなことしたら壁の外を通る人はうるさいぞお。隣のばあちゃんが痛風で寝とったらどおする?子供が外から指でつついてコーンに穴を開けるかも知れんぞ。そうなったら許せんわなあ。そこでだれか頭の良い人が考えた。「そうだ。スピーカーの周りの壁をパタパタと折りたたんで、スピーカーの後ろを取り囲む箱(エンクロージャー)にしてしまったらええがな。」そうして現在のスピーカーができたんだわなあ。

ところがそうしたら今度別の困ったことが起きた。スピーカーのうしろから出た音が箱の中で溜まって溜まって、ある時箱が爆発してしまった。なあんてことはなかったんだけども、先ほど言った箱が振動して余計な響きを発するようになって、ステレオで聴くと、両側に置いたスピーカーからクラシックギターソロの音が聞こえてきてしまうということが起きた。スピーカーが二つあるんだから、両方から聞こえてきてもいいじゃん、と思うかも知れんがそうはいかん。そこが素人のなんとかじゃ。クラシックギターのソロは怨憎、じゃなっかた音像がひとつのはず。おかしいでしょ?ひとつの音像のはずのギターが両側のスピーカーから聞こえてくるというのは。要するに音像が二つあるということになってしまう。こりゃあまずいじゃろう。これはとりもなおさずスピーカーの箱が振動し、その振動した時の箱固有の音が、録音された音にまとわりついて一緒に左右のスピーカーから出とるっちゅうことなんじゃけん。(今度は広島弁か?)
そこで第一日目に言った②のタイプの、箱を振動させないことを目標としたスピーカーが脚光を浴びることになるんだわなあ。といったところで第二日目はこれまで。
内生蔵 幹


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