あれも聴きたい、これも聴きたい<スピーカー編第2日目> - ミューズの日記
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 先日は世の中のほとんどのスピーカーが、実はふてくされたのち、開き直って箱を鳴らしている、というところまでお話しました。
今日はその続きですが、何故スピーカーはエンクロージャーと呼ばれる箱を必要とするのかおわかりですか。その答えは「音」というものの正体に関係しています。結局箱は必要なのです。

皆さんは音というものは空気の「疎・密」なんだということは知ってますよねえ。なに?知らない。それは困った。それではなるべく分かりやすく説明すると、スピーカーのコーン(とうもろこしではありません)が前に出ると空気を圧縮し、そこの空気は密になります。反対にコーンが後ろに下がるとそこの空気は疎になりますが、その空気の疎密が待機中、じゃなかった大気中を伝わり人間の耳の鼓膜を動かします。そうすると人間はそれを音と感じるのです。
ここまではいいですか?よそ見をしないように。ここからが大事なところなんだから。

ではスピーカーの裏側はどうなっているかというと、実は前に出ているのとまったく同じ音が裏側にも出てるんですなこれが。知ってた?
でもここでしばし待て。よく考えてみると、スピーカーのコーンが前に出てそこの空気を圧縮して密にした時、スピーカーの後ろ側の空気は疎になっとるんだわなあ。要するに空気の疎密が逆なんだわ。(なんで急に名古屋弁になっとるんだ?)これを専門用語で言うと「移送、じゃなくて位相が180度ずれとる」っちゅうんだわなあ。これはちょっとまずいことになった。ギターでimimと弾いてるつもりが、いつのまにかmimiになってしまっとるようなもんで、同時に聞こえるとなんかおかしい、ということになる。なんとかスピーカーの後ろに出ている音を聞こえんようにしたい。(まだ名古屋弁が直っとらん)そこでスピーカーをムチャクチャ大きな板、どれくらい大きな板かというと、理論的にいうと無限大に大きい板ということになるが、その板に穴を開けスピーカーを取り付け、うしろに出た音が、前に聞こえなくしてしまいます。そうすればうしろに出た音は聞こえず、音楽を聴いている人は音楽が変に聞こえなくてすむ。しかし考えてみたら無限大に大きい板(壁と言っても良い)をどうやって自分の家に置く?まさか家の壁に穴を開け、そこにスピーカーを取り付けて、スピーカーのお尻を壁の外に出すか?そんなことしたら壁の外を通る人はうるさいぞお。隣のばあちゃんが痛風で寝とったらどおする?子供が外から指でつついてコーンに穴を開けるかも知れんぞ。そうなったら許せんわなあ。そこでだれか頭の良い人が考えた。「そうだ。スピーカーの周りの壁をパタパタと折りたたんで、スピーカーの後ろを取り囲む箱(エンクロージャー)にしてしまったらええがな。」そうして現在のスピーカーができたんだわなあ。

ところがそうしたら今度別の困ったことが起きた。スピーカーのうしろから出た音が箱の中で溜まって溜まって、ある時箱が爆発してしまった。なあんてことはなかったんだけども、先ほど言った箱が振動して余計な響きを発するようになって、ステレオで聴くと、両側に置いたスピーカーからクラシックギターソロの音が聞こえてきてしまうということが起きた。スピーカーが二つあるんだから、両方から聞こえてきてもいいじゃん、と思うかも知れんがそうはいかん。そこが素人のなんとかじゃ。クラシックギターのソロは怨憎、じゃなっかた音像がひとつのはず。おかしいでしょ?ひとつの音像のはずのギターが両側のスピーカーから聞こえてくるというのは。要するに音像が二つあるということになってしまう。こりゃあまずいじゃろう。これはとりもなおさずスピーカーの箱が振動し、その振動した時の箱固有の音が、録音された音にまとわりついて一緒に左右のスピーカーから出とるっちゅうことなんじゃけん。(今度は広島弁か?)
そこで第一日目に言った②のタイプの、箱を振動させないことを目標としたスピーカーが脚光を浴びることになるんだわなあ。といったところで第二日目はこれまで。
内生蔵 幹


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