どこまで話しましたっけ?あそうそう隣の痛風のばあちゃんの音像が二つというとこまででしたね。
スピーカーが振動しても一緒に振動しない箱なんてどうやって作る?できるわきゃあないがな。そうなのです。できるわけはないのです。
振動というものは本当に性質が悪いやつでして、どんなことをしても伝わります。接触していれば。いや、接触して無くても空気を介して接触しています。物質は空気も含め、全て振動を伝えます。伝えやすい周波数が多少違うだけで、必ず伝わります。真空にしたら伝わらないんだけども、肝心な音も伝わらなくなっちまうし、第一その前に息ができんがな。ステレオ聴こうと思ったら窒息してどうするう。
あ、ごめん。周波数って分かりました?前に言いました空気の疎密が伝わって音と感じるのですが、その空気の疎密の速さっつうか、一秒間に何回その疎密を繰り返すかということが音の高さに関係してきます。440回繰り返すのが音叉でおなじみ「ラ」の音ですね。
あ、そこのあんちゃん。ちょっと難しくなるとすぐ外を通るおねえちゃんの方に気がいって。ダメ!ちゃんとこっちを向いて聴くように。
振動しない箱は作れない、ということは分かっているのですが、そこで、作れないまでも振動し難い箱は作れるかも、となかなかひつこいことを考えた人がいるんですね。サラ金よりももっとひつこい人。食い下がってやってみました。そしたら結構なかなかのものができたんですねえ。それが皆さんミューズ音楽館へ行った時目にするあの白いスピーカー。あの卵の形をしたスピーカーなのです。
ご存知のように卵の形というのは、結構強度が高いんですねえ。そして重要なことは内部に平行な壁がない。平行な壁がないから反射を繰り返すこともない。スピーカーの後ろに出た音を自然に減衰させることができるという、結構なすぐれものなんです。しかもスピーカーが内部で宙に浮いています。宙に浮いているといっても、無重力状態にしてあるわけではなく、宙に浮いているのに限りなく近づけて取り付けてある、ということなので誤解しないように。そこのあんちゃん。いいですか?今通ったおねえちゃん、わりかし良かったねえ。「えへん。失礼」
あとは箱の材質を極力振動し難いものにしています。普通スピーカーの箱は木でできていますが、この卵は特殊な樹脂でできています。どんな樹脂かというと・・・・。とにかく特殊な樹脂です。それ以上訊かないように。とにかく特殊な振動し難い樹脂で卵を作り、その中にものすごく重いアンカーという錘があって、その錘にスピーカーが取り付けてあって、それ自体が卵の中で限りなく浮いている状態に近い状態で(ああややこしい)入っていると考えるように。いいですか?そこのあんちゃん。今外を通っているおねえちゃんの携帯を訊いてきなさい。「えへん」
今日の授業はこれまで。私はあんちゃんと先に帰ります。皆さん、よく復習をしておくように。いいですね。
内生蔵 幹
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